日経サイエンス (2018年3月号) (月刊誌)

  • 日本経済新聞出版社 (2018年1月25日発売)
3.50
  • (0)
  • (2)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 30
感想 : 2
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・雑誌 / ISBN・EAN: 4910071150381

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 特集は生命の起源。現在の通説は、最初の生命は海で生まれたというのが現在の通説だが、陸の温泉近くで誕生したという説や地下深部で生まれたという説もある。決着がつくかどうかはわからないが、ロマンのある話ではある。

    今号でなかなか衝撃的なのは、不法ペット貿易の話題である。
    多くの動物が絶滅に瀕しているが、その大きな原因は、自然破壊=生息地の喪失と見るのが一般的だろう。だが、これを上回る原因があるのではないかというのが記事の主旨である。
    広くは飼育されていない「エキゾチック動物」と呼ばれる野生動物がいる。珍しい動物を好むコレクターは、他の誰もが飼っていない種を手に入れたがる。東南アジア等には、巨大な野生動物市場があり、さまざまな野生動物が檻にぎゅうぎゅう詰めで売られている。多くは飼育に向いていない、あるいは飼育法が確立されていないもので、弱ったり病気になった状態で、劣悪な環境にいる。
    こうした動物を欲しがるのは、原産地周辺の愛好家だけではない。市場を動かすのは欧米の収集家の巨大な需要だ。希少になればなるほど、動物の価値は上がる。有効な取り締まり手段のない中で、業者は目先の利益に駆られて、乱獲をエスカレートさせていく。彼らにとってはその種が絶滅寸前であればあるほど「儲かる」のだ。
    環境保護団体も目を光らせてはいるが、関与する種が多く、また乱獲のスピードが速すぎて、到底追いつかない。
    そうこうしているうちに多くの種が激減していっているのが現状だという。
    業者の中には、絶滅危惧動物を飼育下で「保護」して、繁殖を助け、種の保全に一役買っているのだと主張するものもいる。だが、飼育下での繁殖は想像以上に難しい。売買には飼育下繁殖した個体を使っていると言いながら、それを隠れ蓑として野生環境から捕獲しては売り飛ばしている業者も多い。
    気まぐれな収集家は、消耗品のように、とっかえひっかえさまざまな「エキゾチック動物」を飼育する。その陰で、魚、鳥、カメ、サル、ヘビ、さまざまな動物が絶滅に瀕しているかもしれないのだ。

    もう1つ、別の話題で、微生物と闘う話を。
    排水管や浴槽の内側にこびりつくぬめりや汚れ。こすってもこすってもなかなかとれないそれは、「バイオフィルム」と呼ばれるものだ。微生物が作り出す「バリア」である。これに包まれて、細菌は根強くしぶとく増殖し、抗菌剤や有毒物質から身を守り、周囲の微生物と栄養素を交換する。単細胞であっても、バイオフィルムを介して、多細胞生物のようにふるまったりする。
    水回りにある程度なら、汚いとか不快どまりだが、体内に出来るとかなり面倒である。カテーテルなどの医療器具、人工関節や心臓弁のような埋め込み型装具に出来てしまうと、抗菌剤も効かず、感染症を引き起こす原因となる。院内感染の65%はバイオフィルムの形で増殖している細菌が原因という。
    バイオフィルムは三次元の頑丈なマトリックスである。
    これを壊すために、いくつかの戦略が考えられている。
    ・細菌が付着しにくい素材を開発する。そもそもくっつかなければよいのだという考え方だ。
    ・マトリックスの粘性を低下させるため、マトリックス中のDNAを切断する。
    ・抗菌剤や細菌に感染するウイルスを小さなカプセル状のものに入れて、マトリックス中の細菌に送る。これを取り込んだ細菌は死滅する。
    ・細菌がマトリックスから離れるときに出すシグナルを送り、マトリックスから脱離させる。
    しつこいバイオフィルムを叩くには1つの方策では不十分で、こうしたものを組み合わせて使用する必要がありそうだ。

  • 生命の陸上起源説
    地下にいた原子生命体

全2件中 1 - 2件を表示

日本経済新聞出版社の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×