ワイルド・スワン 上下巻合本版 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 習近平政権が毛沢東時代に巻き戻しを図っている気配があるので、積読していたのを読んでみる。

    清朝末期から文化大革命まで、激動の時代に生きた女性の三代記です。
    戦後の激動もスケールが大きい中国に驚かされます。
    想像以上に過酷な文化大革命時代、そこに現代中国の文化破壊したはずなのに、儒教文化の負の部分が残った違和感の原因を見ることが出来ます。
    改革開放に希望を見出した著者は、現在の巻き戻りつつある中国を見て何を思うのかが気になります。

  • 清朝滅亡、軍閥の台頭、日本による占領、国共内戦を経て成立した中華人民共和国。20世紀初頭から後半にかけて、激動の中国を生き抜いた一族の女性三代の物語です。
    広大な国土を支配するには苛烈にならざるを得ないのでしょうか。国の統一後も理想と現実に引き裂かれる人々の苦悩が、著者の家族の生き様を通じて描かれています。
    後半で自分の人生を生きようと決意し立ち上がる著者、三代目ユン・チアンの強い意志が光ります。峻烈な時代を生きつつも、人々の至誠や真心を信じる彼女が、ようやく夢を掴み取る場面に心を動かされました。友情について語られる場面で、雪中に炭を送る(雪中送炭)、という言葉が出てきます。少し状況は違いますが日本には、敵に塩を贈る、という言葉があります。国や時は違えど、義を尊ぶ気持ちは共通なのでしょう。

  • 作者と作者の母、祖母が生き抜いた清末期から中華民国、満州国の成立と共産党による支配までを描いた作品。その内容が共産党主導の政治へ疑問を呈することから中国国内では発売が禁止されていたという。共産党政治下の自己批判や監視させ合う仕組み、毛沢東の権力を揺るぎないものにしようとした文化大革命についてリアルに描写されており非常に勉強になった。

  • 壮絶な内容に驚愕した。
    自分がまだ幼なかった頃、中国はなんだかベールにつつまれた謎の多い国といつた印象だったが、その背景にはこんな波瀾に満ちた歴史があったとは全然知らなかった。
    この本は、1920年代から1970年代に至るまでの中国の社会情勢を市民としての当事者目線で記した希有な書である。著者が単なる市民ではなく高級官僚の娘であったことから、当時の政治による社会生活への影響をより色濃く読み取ることができた。
    また、後書きも的を得ていて非常に良かった。読後感をまさに言い当てる後書きで共感できた。
    政治が問違えるとどうなるか、我々の隣国はどういう背景を経てきたのか、万人必読の本だと感じた。

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著者プロフィール

1952年、中華人民共和国四川省生まれ。文化大革命が吹き荒れた1960年代、14歳で紅衛兵を経験後、農村に下放されて農民として働く。以後は「はだしの医者」、鋳造工、電気工を経て四川大学英文科の学生となり、苦学ののちに講師となる。1978年にイギリスへ留学、ヨーク大学から奨学金を経て勉強を続け、1982年に言語学の博士号を取得。一族の人生を克明に描くことで激動期の中国を活写した『ワイルド・スワン』『真説 毛沢東』(ともに講談社)など、彼女の著書は世界40ヵ国に翻訳され、累計1500万部の大ベストセラーになっている。なお、上記の2作はいずれも中国国内では出版が禁止されている。

「2018年 『西太后秘録 下 近代中国の創始者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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