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- / ISBN・EAN: 4988013056114
感想・レビュー・書評
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2017年 日本 129分
監督:黒沢清
原作:前川知大「散歩する侵略者」
出演:長澤まさみ/松田龍平/高杉真宙/恒松祐里/長谷川博己/前田敦子/満島真之介/東出昌大/小泉今日子
http://sanpo-movie.jp/
沖縄(?)と思しき長閑な田舎町、イラストレーターの鳴海(長澤まさみ)は暫く失踪していた夫・真治(松田龍平)が発見され入院している病院に出向くが、夫は記憶の一部を失くしており別人のよう、言動もおかしい。しかし鳴海は心配や不安より、その真治が以前から出張と偽って別の女と旅行に行ったりしていたことへの怒りのほうが大きく、奇妙な言動をする真治に苛立ちをぶつけ続ける。
一方、一家惨殺事件の凄惨な現場から立ち去った女子高生・立花あきら(恒松祐里)について調べている記者の桜井(長谷川博己)に、あきらの友達だという奇妙な少年・天野(高杉真宙)が声をかけてくる。彼は自分と立花は地球侵略を企む宇宙人で、地球人についての情報を集めるために送り込まれた、二人の他にもう一人仲間がいるので探し出したいと言い、桜井に自分の「ガイド」になってくれと言う。半信半疑の桜井だが彼らと行動を共にするうちに、人間から特定の「概念」を奪う彼らの特殊能力を目の当たりにし・・・。
原作はイキウメの前川知大の戯曲、つまり元は舞台用の作品。同じく前川知大戯曲の映画化だった『太陽』は失礼ながら映画にするもんじゃないと思ったけれど、あれに比べたらこちらは成功しているほうだと思った。その最大の要因は、これがシリアスなSFでもホラーでもなく「コメディ」仕立てに味付けしてあったこと。『太陽』のほうは、もともと舞台だからこそ通用する突飛な設定や展開、チープなセットをシリアス一辺倒で再現しようとして安っぽさを露見させてしまったと感じたけれど、こちらは笑いの要素を増やすことで、そういうチープさを帳消しにできていた印象。
舞台というのは映像媒体と違って独自ルールが許される世界であり、50代の大竹しのぶがあどけない少女になりきり藤原竜也を双子のお兄ちゃんと呼んで違和感ない世界(※日の浦姫物語)まあこれは一例ですが、舞台というのはそういう突拍子もないことがなぜか舞台だというだけで許される世界であるので、これを映画の世界に移し替えるのは実は小説や漫画の実写化以上にハードルが高いのじゃないかと個人的には思う。
監督:黒沢清なのだから大仰なホラー仕立てにすることも可能だったろうに、あえて「はずして」きたところが個人的には良いと思った。もちろんツッコミどころは沢山あったけれど(あきらを捕まえた警察がなんであんな誰でも入れる場所にマヌケな刑事一人つけて放置なのかとか、そもそも宇宙人たちの侵略の目的、彼らの母星での本来の形状などSF的な設定はザル)基本的にコメディだと割り切れば許容できた。
あとはもうキャスティングの勝利でしょう。宇宙人に乗っ取られた夫をいつのまにか元の夫より愛するようになる妻・長澤まさみはとにかく美しいし、愛らしいエキセントリック演技で松田龍平の右に出るものはいない。最終的に「愛は地球を救う」とでもコピーをつけたくなる偽善的なラストのオチも、この二人の芝居ゆえに説得力があった。
猟奇的な女子高生・恒松祐里、人懐こい不思議ちゃん高杉真宙も、宇宙人だと言われれば信じてしまう奇妙な存在感があってとても良かった。で、シン・ゴジラや進撃の巨人では人類を守る側だった長谷川博己が、宇宙人の手下になりながらも揺れ動くゲスなジャーナリスト役というのもなかなか。途中で善良な牧師役で登場する東出昌大も、え、ほんとは寄生獣に乗っ取られてるんじゃないの?と思うとちょっと笑えるキャスティングの妙。
寄生タイプのエイリアン、地球侵略SFと大真面目に期待すると肩すかしだろうけど、変な設定のコメディ、最後にちょっとだけホロリ、くらいの気持ちで観れば十分満足。個人的には今まで見た黒沢清監督作品の中では二番目くらいには好きだった。(一番はトウキョウソナタ) -
私には合わない作品でした。なんだか消化不良です。
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「愛」という千差万別の概念こそが人類の礎であり,軸である。その概念を奪われた鳴海はもはや鳴海じゃない。それはもう「死」と同義だ。病室のベッドで魂を抜かれた様な鳴海と,鳴海が願った理想の信治が向き合うシーンは切ない。自分の魂と引き換えに旦那が理想像になるのなら,私は魂を遺したい。
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面白かったです。こういうお話好きです。
宇宙人が侵略するために人間の概念を奪っていく。侵略するために概念を…というのがどうして結び付くのかよくわからなかったのですが、人間を理解するため…?このへん、原作読もうと思います。
家族、所有、仕事、邪魔…自然と心の中にあるもんだと思っていたのですが、あると無いとじゃ大違いなのですね。無くなったことで解放されて幸せそうな人もいましたし。
物理的な侵略も怖いけど、こういう侵略も怖いな。物理的な侵略シーンが曇りガラス?の外の光というのも良かったです。少し、攻撃のシーンもあったけど。
宇宙人が「死」をどう捉えてるのか気になりました。親が無いみたいに天野くん言ってたので「生」も地球人とはきっと違うんだろう。
最後は奪った「愛」で侵略は収まったけど、、愛には色々な形があるから。
愛は地球を救う、と言うと陳腐な言葉です。愛を知った宇宙人が感情豊かになって、奪われた地球人が無感情になってるの、人の根底は愛なのか、な。
久々に黒沢清作品観ましたが好きです…映像がずっと不穏で良いです。誰も彼も普通じゃない空気。見入りました。 -
地球を侵略するために地球に潜入した宇宙人が人間の体を乗っ取り、人間の概念を奪っていくストーリー。
タイトルからはSFを想起させるが、宇宙人が人間から奪っていく概念を通して人間とは何者かを語りかけている。最後には概念を奪った宇宙人がその概念に苦しめられることになる。 -
面白い。宇宙人の地球侵略というテーマを、壮大ではなく、日常空間・日常生活の視点から見せるのは日本人の得意技でしょう。長澤まさみと松田龍平が好演で、ラブストーリーになりました。ただ、二人の間にある愛が、人類愛やましてや宇宙レベルの愛に昇華するというメッセージは浅い、浅すぎます。
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冒頭すぐからグっとつかまれた
金魚すくいに不穏な音楽は混ぜたらイケナイと思います
日常と非日常のサインを瞬間に感じ取るって導入にドキリとする
侵略者が普通の住宅地を散歩している日常に交じっていく非日常の現実
人が人であることの概念が
地球人(日本人)が思い悩んで答えに苦しんでいる現実なんだってこと考えもしなかったなと気づかされるストーリー構成が面白かった
長谷川博己の演じたアウトローな記者が見せる人間味が良かった
愛を教えてくれようとする牧師さんの東出昌大の生真面目さが絶妙で面白かった
人って何だ 愛って何だ
って書いてみたら、なんだか宇宙刑事ギャバンの主題歌を思い出した
あばよ過去 よろしく未来
あばよ涙 よろしく勇気
そうだ、ギャバンが教えてくれてた(笑) -
長谷川博己の線の細い、人生投げやりな感のする男の演技が好き。
どう地球が侵略されていくのかがテーマだとばかり思ってみたので、最後はチープさを感じたが題が「散歩する侵略者」である。散歩の途中で一つ賢くなったのでしょう。
色々とツッコミどころがあるけど、松田龍平演ずる侵略者が憎めない。 -
次はこうなるだろうという予測がまったくつかない。
松田龍平演ずる宇宙人が乗り移った男(なんと宇宙人役が似合う俳優!)に、長澤まさみ演じるその妻が、地球侵略が始まりつつある時、愛の概念を奪うように急かす場面で、今までに味わったことのないような感情に胸がうずいた。
映像もまた、ハリウッドほどお金を投入していないけれども、既視感のまったくないシーンばかり。とはいえ、このシーンはこの映画の引用では?というところは随所にあったが、それも、別様にアレンジして使われていた。
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