満願(新潮文庫) [Kindle]

  • 新潮社 (2017年8月1日発売)
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みんなの感想まとめ

犯罪者の心理とそれを追う者の心理が緊迫感を持って描かれた連作短編集は、リアルな人間の恐怖を際立たせています。各短篇はバッドエンドでありながら、読者を惹きつけてやまない魅力を持ち、特に美をテーマにした「...

感想・レビュー・書評

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  • Audibleで聴きました。第27回山本周五郎賞受賞作。「可燃物」のようにその年の主要なミステリーの賞の1位だった作品。
    思わず耳を塞ぎたくなるような犯罪者側の心理やそれを暴く側の心理が無駄の少ない文章で描かれていて、ホラーやファンタジーに行くこともなく、リアルな人間こそが一番怖いと思わされる連作短編集です。
    どの作品もバッドエンドでブラックな、それでも読む(聴く)ことを止められないような内容となっています。
    著者がどこかで、「フェアなミステリーというのは奇想天外というより、読後に『もう少しで自分も分かったのに!』という納得と悔しさが相半ばするものだ」と語っていましたが、この作品集もまさに分かったの一歩先を行くミステリーの醍醐味がありました。

  • 久しぶりの著者作品
    表題作を含む6つの短篇
    どれもがどこかセピア色的な空気が漂う中、一度入ってしまうと二度と抜け出せないような不穏な世界が展開してゆく
    最も心に、というか端的に言ってコワかったのは美が主題の[柘榴]
    人の欲とはここまで際限のないものなのだろうか

  • 個人的米澤穂信フェア♪

    この作品6篇中3つがNHKでドラマ化された。
    録画しておきながら見てなかった。
    ハードディスクの残量が気になったら削除してるので、残ってますように!後でチェックしよう〜

    ドラマ化に向いてると思った。
    どれも後味がちょっと良くないけど。

    印象が強く残っているのはドラマ化されてない『柘榴』と『関守』かな。

    立て続けに米澤穂信作品読んで、改めて引き出しの多い作家さんだと、お気に入り度がグイッと上がりました。

    面白い。
    では、他の積読本を少し読んだらようやく『黒牢城』を購入しよう♫

  • 史上初の三冠を達成したミステリ短編集の名作。
    全六篇と解説が含まれており、どのストーリーも非常に面白く、読み応えがありました。
    深い内容なので、読むのにかなりの力を使いましたが、その分満足感も得られました。

    推理において、大体の予想も立てることができましたが、後半になるにつれて別の考えが浮かんできたり、怖さに襲われる瞬間が…
    その瞬間は本当に恐ろしく、不気味な感覚を味わい癖になります。

    特に「柘榴」や「関守」については、気持ち悪さや衝撃があり、身の毛がよだつほどでした。

    短編集ながらしっかりとした満足感を味わえる作品であり、
    誰もがこの魅力に引き込まれるはず…

  • 一度本で読了してましたが、Audibleで聴いてみました。
    6つの独立した物語から成る短編集ですが、どの作品も不気味な雰囲気で展開され、人間の奥底に眠る怖さがジワジワと感じられる作品ばかりで後味の悪さがたまらないですね。
    個人的には「万灯」の最後の終わり方が1番好きです。

  • 本作のタイトルとなっている「満願」は短編集の最後の一作のタイトルでもある。一つひとつが異なったテイストの作品で構成されており、よく練られたトリックが仕掛けられている。その謎解きに引き込まれて、一気に読み終えた。

  • 著者の作品は
    「儚い羊たち〜」
    「氷菓」読了しています。

    自身はあまり短編を読みません。
    が、「満願」を読み終わった今、
    「江戸川乱歩傑作選」を
    読み終わった時と同じ
    衝撃を感じています。
    手放しで面白い。

    「儚い羊たち〜」
    「氷菓」も楽しめましたが
    今作はより、私の好みでした。

  • 最初の話でビビったけど、楽しく読めた。

    最初の「夜警」が自分にとってはとても怖い話でビビった。自分のいやらしくて弱い部分が出てしまったら、川藤巡査と同じような事を考え実行してしまうかもとすごく怖くて、読み進めるのを躊躇ったくらいだった。
    でもその後の話は全く雰囲気が変わって、それぞれ人間の怖さが描かれていたけど、面白くて引き込まれてどんどん読み進めていた。
    1番好きな話を上げようと思ったけれど、ビビった最初の話も含めて、どれも面白くて甲乙つけ難い。読めて良かった。
    米澤さんの他の作品も読んでみようと思う。

  • 『インシテミル』は面白かったのに、『氷菓』で「あれ?」となったので、評価を確認するためにこの本を読みましたが。。。

    普通に面白かった。

    この人は短編のミステリーが一番面白いかもしれないです。場面や状況がコンパクトな文で書かれているので、わかりやすい。その中に、いくつかの伏線が仕込まれているんだけども、それも無理な設定ではないので、違和感なく受け入れやすい。

    6つの短編が入っていますが、私は「関守」が一番意外性があって良かった。峠で連続して起こる事故死。何の変哲もない道でなぜ起こるのか。ライターが記事を書こうと近くのお茶屋にいるお婆さんに話を聞いていると、驚きの真実が!?まさか、あの人がっていうのが、最終的につながっていくと面白いですね。

    良くも悪くも、登場人物の感情にさほど深くは入り込まないので重たくもならない。
    ストーリー作りが上手なんでしょうね。他にも短編ミステリーがあれば読んでみたいです。

    ただ、長編の場合は、もう少し深く裏側まで入り込んで欲しいかと。そうしないと物語に引き込まれないので、読み切れない気がします。

  • 「夜警」誤魔化し癖のある新米警官のおはなし
    「死人宿」自殺の名所の近くにある旅館
    「柘榴」 あまりに魅力的すぎる男と結婚した女性
    「万灯」バングラデシュの小さな村と裁き
    「関守」都市伝説ライターと事故の多発するトンネル
    「満顔」 下宿先の優しい奥さんと殺人

    ゾッとするオチが魅惑の短編集
    芦沢央と作風が似ている気がする

  • 「上質なミステリー小説を読めた!」という気持ちになりました。真実が明かされる瞬間のゾクッとした感覚が心地良い。短編集なので読みやすいですし、「なんか面白いミステリー小説ある?」と聞かれた時におすすめしやすい作品です!

  • ミステリーというよりホラーに近いかも知れません。短編は作家のセンスが出やすいと言います。米澤さんの実力がよくわかる良作です。

  • ほんの些細なボタンの掛け違いから殺人をも辞さないのっぴきならない事情に巻き込まれる人々を描いた連作短編集。

    実に面白かった。評判通りの珠玉のミステリ集で大満足。
    特に「万灯」は解説でも言及されている通り序盤は使命感を持って辺境の地での仕事に励む男の物語でスタートしておきながら後半はクライムサスペンス。序盤で主人公の人となりに感銘をうけてしまったので後半の犯行も倫理に反するのに心のどこかでうまくいくように思ってしまうところがあった。そこさえも心がざわついてしまういい短編集だった。

  • Story Seller annexに収録された「万灯」がおもしろかったので他の作品もと思い読んだ。
    新米警官の発砲ならびに殉職事件を描いた「夜警」、自殺者が訪れる宿で置き忘れられた遺書の主を探す「死人宿」、離婚する夫婦のもとでとある目論みを実行に移す姉妹を描いた「柘榴」、バングラデシュでのエネルギー販路の開拓をする男を描く「万灯」、死亡事故の多い峠を調査するライターが付近でドライブインを営む老女に聞き込みを行う「関守」、世話になった女性の殺人事件に関して弁護を行う元法学生を描いた表題作「満願」を収録。
    やはり万灯がいちばんおもしろく感じられたが、いずれも思わぬ真実が隠れておりおもしろく読めた。
    万灯以外で特に印象に残ったのは「柘榴」。母親であるさおりの視点がまず描かるためそこに同調させられ、後の展開にひどくショックを受けるのと同時に、夕子の視点から驚愕の事実が明らかになり、その背徳の味と夕子の秘める感情の強さに感服もした。「柘榴」は米澤穂信作品にしては珍しいタイプの作品であると感じ、そういった意味でもおもしろかった。一介の大人としては姉妹のこれからが大層案じられるが……しかしフィクションに対して現実の心配をするのも無粋であろう。
    面白かったが、どの作品もやはり先に読んだ万灯ほどには感じられなかったため少し残念ではある。全体として時間軸の入り組んだ話が多く、著者はミステリー小説の新たな形を作ろうとしている過渡期にあるようにも感じられる。

  • 史上初のミステリーランキング3冠という事で読んでみました…が私には合いませんでした。
    6つの短編のうち「万灯」「夜警」は割と好みでしたが、どれも世にも奇妙な…的で展開がちょっと強引だったり突っ込み所も各所で目につき集中して読みにくかったです。
    読了後ドラマ化されてた事を知り、そっちの方が楽しめたかも…と思いました。

  • 心に残ったことば。
    「柘榴」
    感想
    短編の中で一番好きな話だった。
    イヤミスは湊かなえ先生の「サファイア」から2冊目。
    一番サファイアっぽい感じがして
    なんとも言えない気持ちになる。

    アダムとイブのイメージ
    禁断の実を食べてしまった
    もう戻ることできない。
    わたしはこの人が欲しい
    ずっとそばに自分の手から話したくない
    たとえどれだけ大事な妹やは母親であっても
    傷つけることすらいとわない

  • 嫌な気持ちになったな~!

    米澤穂信の作品は2冊め。今回も面白かった。
    特に「万灯」が好きです。あの作品のどん詰まり、四面楚歌、もうどこにも行けない崖っぷち加減、最高です。

    次の米澤穂信作品、黒牢城は歴史物でまだ手を出しづらい、シリーズ物も同じく、可燃物は文庫になっていない……ということで、フォロワーがおすすめしていた本と鍵の季節にしようかな~と考えています。

  • 短編で読みやすいのが良いね
    全部の話が読みやすく、それでいて最後に驚かされるものが多くて良かった

    睡眠薬混ぜるだけでそう簡単に毎回事故になるのか?
    とは思った

  • 6編の短編集。
    割と長編の方が読み応えがあり好きなのですが、今作は短編とは思えない重量感があり面白かったです。
    米澤さん作品は「氷菓」が良くて、今回の「満願」で更にファンに。
    読んでいると短歌や俳句で感じるような季節感と日本語の美しさがあって、背筋がシャンとする気持ち良さがあります。

    ①夜警 
    人間の弱さや見栄、保身、そして優しさを感じた物語でした。柳岡は自分の過去を反省して改善したはずなのに、改善出来ない人の犠牲になる。真実を知って良かったのか。また違う過去に傷つき生きていかねばならない方が辛いかも。

    ②死人宿
    人はいつでも、何歳からでも変われるというけれど。
    実際は変われないのかも…と少し切なくなる物語。
    でも、人を愛する気持ちはみんなあるから難しい。

    ③柘榴
    ある意味この物語が一番印象的。殺人はないのに怖い。
    綺麗なのに、文章を映像で想像するとゾワッとしてしまう。
    柘榴を頬張るところ。
    躊躇なく何個も食べたのだろう。半分とか3分の1ではなく。
    成海目線の日常も読んでみたいと思ってしまった。
    あれ?私も成海に…

    ④万灯
    仕事を一生懸命にしていただけなのに。
    何事もほどほどが良いのだろうか。
    バングラデシュを舞台に骨太な作品。
    落とし穴がある。悪いことはダメだよね。
    善悪の区別が出来ないほどのめり込む仕事なんて、しなくていいのだ。

    ⑤関守
    親の愛って…と。
    最後、のあと先輩が解決してくれたりしてと思ったけど、もうひとり犠牲者が増えるだけかな。

    ⑥満願
    「満願成就」とはこういうことなのか…と嘆息してしまうような読後でした。
    何が大切か、誰が大切なのか。
    人によって愛情(趣味嗜好も)のかけ方や向かう方向は異なるけれど、他人には理解し難いこともあるのだろうと。
    でも、他人には理解出来なくても本人が満足なら、殺人を犯すことも、借金の代わりに骨董品を受取ることも正義になるのだろう。
    それは、弁護士になったあとも、学生時代の感謝(淡い恋心?)を忘れずに尽力する彼にも通じるのかもしれない。
    秘めていることが人を強くすることも。

    6編とも違う角度から描く物語。全く飽きずにのめり込めました。読み終えると、異なる愛情の物語なのかもと感じました。

  • 短編集は、面白くても物足りないと感じることが多かったのですが、これは面白かったし、読みごたえもありました。もちろん、長編のように登場人物が深く掘り下げられることはありませんが、それも含めて「想像する」という面白さがありました。特に好きだったのは、「夜警」と「満願」

    「夜警」はドキドキしながら、「満願」は淡い恐怖と不安が入り混じった気持ちで読んだ。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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