へうげもの(25) (モーニングコミックス) [Kindle]

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  • 講談社
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感想・レビュー・書評

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  • 最終巻は何色になるのかずっと気になっていましたが、織部グリーンと家康ホワイトに、豊臣ゴールドをテキストで浮かべる形でしたね。緑と白が溶け合わず、ひとつの器の中で比重の違いで上下に分かれた飲料みたいな仕上がりで面白いなあ。お味はどんなものでしょう。マリアージュだったりするんでしょうか。

    ものすごくパワーのある作品で、戦国物、大河物を「所詮暴力と戦争と男の見栄を美談に仕立てた代物」と食わず嫌いに遠ざけていた僕を改宗させてしまった。茶道、工芸、建築の造詣が深まり、趣味の世界が広がり、充実し、新しい出会いをもたらす端緒になった。その意味で、大げさに言えば、もう20代になってしまってる僕の「人生を変えてしまった」作品。

  • 本作をここに至るまで「わからなかった」という事に、ぼくという人間の本質があった。硬く固く堅く閉じられていたぼくの感性の壁を暴いてくれた本作は、これからのぼくの人生経験に大きな影響を及ぼすだろうと思う。
    なにより痛恨だったのは、本作を「作品」として読めていなかったことだ。古田織部。いや山田織部という人間を好きになる努力を、ぼくは怠っていた。本作の織部は、ある歴史的文脈を縦横無尽に「二次創作」した。
    ぼくもそれに習わなければ。
    傑作でした。

  • 絵柄、内容含めて好みの分かれる漫画であることは間違いない。故にこの漫画が好きだって人とは仲良くなれる気がする。
    人の業と言うもの、業の先にある苦しみと、さらにその先にある諦観による一種の安らぎが描かれている。業とはある種の使命感。業は人を遥か彼方まで連れて行ってくれるが、そこは果たして幸せの地なのかどうか。業無き凡人たる自分はそれに安堵しつつ悲しくもあり、また業の者たちへの畏怖を禁じ得ない。
    ハイライトはやはり利休の死。あとは利休自らが侘びの芽をもぎ取ってしまった事に気づいたところか。そこから先も面白いが。
    人の弱さと、それ故に人とはかくも愛おしいものかと教えられる本。出会って良かったと思える漫画。

  • アニメをやってた頃に途中まで読んで放置していたのを、最終巻まで読了。史実を作者流にアレンジしてどこまでも『へうげもの』に仕立てる手腕は素晴らしい。こうきたか! と感心しながら面白く読んだ。

    織部が晩年に入ってからは失速した感があったけれども、終盤は貫いたなという感慨でじんときた。
    また、現代の世の中をとても生きづらく感じる大雑把な昭和人間としては、徳川の清い世の生きづらさという点にとても共感を覚えた。作者はここを書きたかったのか? そうではないとしても、自分にはそこがすごく大きな得物となったのだった。

    切腹であっさり終わらず、ちゃんと読者ケアして終わってくれてありがとうと言いたい。あっぱれでした。

  • 徳川と豊家との合一に努力したが

  • 徳川秀忠が骨のあるところを見せる。小人物と描かれることが多い中で新鮮である。織部と家康が正面からぶつかる。この上なくユニークな展開である。

  • 終わった
    江戸時代編に入ってから長かった
    松永、信長、荒木、蒲生、利休、秀吉、三成と前半の展開に比べるといささかの間延びを感じないわけにはいかないけど
    それでも終わったことで許せてしまう

    家康とのスレ違いを徹底的に書いてきたからこその切腹の場
    そこに家康が登場したときは「やっぱりね」と予想できてたけども、織部が家康を転がしたときはコンビニで「ええっ!?」と声を上げた
    「うぬの茶席で感じ入ったことは一度もない」から、織部ならではのもてなしを諦めたところで利休居士の一喝(一発?)
    そこからの余計な説明を加えない展開からの織部本人の登場しないエピローグへ…

    さて、織部はいくつまで生きたんだろう
    南の島で、右近との別れの茶席や木下長嘯子との席で思い浮かべたような、力の抜けた茶席を設けることができたのか
    想像はどこまでも膨らむ

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著者プロフィール

1968年、新潟市生まれ。大学在学中、「ちばてつや賞」に『大正野郎』で入賞。同作品でコミックモーニング(当時)よりデビュー。『デカスロン』『度胸星』『ジャイアント』など、斬新な着想、大胆な描写で、一歩先ゆく野心作を続々発表。第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、第14回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞作『へうげもの』では、実在の武将茶人・古田織部の生涯を描き、「日本人」の価値観を深く掘り下げる。そして興味の対象は「文化」から「文明」へ、五百年前から五百年後へ。『望郷太郎』のはてしない旅が始まった。

「2023年 『望郷太郎(9)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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