AI vs. 教科書が読めない子どもたち [Kindle]

著者 : 新井紀子
  • 東洋経済新報社 (2018年2月2日発売)
4.35
  • (11)
  • (9)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
  • 本棚登録 :85
  • レビュー :9
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (235ページ)

AI vs. 教科書が読めない子どもたちの感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • AIは算数は得意だが国語が苦手なので、完全に人間にとってかわることはあり得ないという。しかし、じゃあ人間は安泰かというとそうでもなくて、中高生の読解力の学力試験でサイコロの期待値以下の成績を取る生徒も多く、学力低下が嘆かれてもいる。

    えー、両方だめなんかい、どうすりゃいいんだ!?と思った。

  • AIの不得意な部分と、人間がどう進んで行くべきか解りやすく解説
    刺激的な話も多く、退屈せず最後まで読み切った

  • 本書の内容は大きく分けて2つである。
    一つは、少し前に流行った「東大ロボ」くんの結果を踏まえて、AIが現状では何ができて何ができていないのかを説明すること。
    そして二つ目は、AIが人間を駆逐する、という最近の主張は正しいだろうか?それを検証するために、筆者は中高生に対して文章の理解力を試す試験をしたようだ。その結果の詳細な分析である。

    1つ目の論点は、かなり一般的なことしか書かれていないので、それほど目新しい内容ではない。
    人工知能がどのように数学の問題を解いているのか、というような疑問には答えてはくれない。
    (ちなみに、かなり高等な数学(論理学)を使用している)

    興味深いのは二つ目である。
    ご存知のように、AI(というかコンピュータ)は計算しかできない。ということはつまり、手続き化されたものや計算なんかは得意中の得意である。一方で翻訳や人間の思考が入るような問題、たとえば言語構造の理解や翻訳は極めて不得意である。
    つまり、我々は今後、AIに仕事を奪われないためには後者スキルを伸ばしたほうがよいという結論になる。

    翻って、中高生のこれらの能力はどうだろうか?
    筆者らが全国の中高生に対して実際に試験を受けさせた結果が収録されている。
    結果はかなり衝撃的な内容である。

  • シンギュラリティと読解力が気になるキーワードだったので、購入。新井さんの学者としての行動力に脱帽。東ロボくんという、一般の関心、注目を集めやすいプロジェクトをきっかけに、子どもの読解力調査をRSTとして形にし、さらに全ての中学生が教科書を"読める"ようになることを目指すことで日本の未来をポジティブにしていきたい、ということに心惹かれる

  • AIについての理解が深まりました。
    私もAIやAI技術について誤解をしていた1人だったので、誤解をほどき、理解し直す作業に時間はかかりましたが、最後まで楽しく読めました。

    「入力に応じて計算し答えを出しているだけである」という、言われてみれば確かにそうだと思えることを何故誤解し続けていたのか。AIの「見せ方」が上手い人たちの存在に気付かされ、自分の頭で理解し考えることの大切さに気付かされる機会にもなりました。

    リーディングスキルを、係り受け解析、照応解決、同義文判定、推論、イメージ同定、具体例同定の6分野に分けて紹介し、AIと人間の得意不得意が説明されている部分も興味深く読みました。
    基礎読解力はどのようにして育むことができるのか、その後の研究を含む続編もぜひ読んでみたいと思いました。

  • いまのAIに意味を理解する能力はないし、今後も能力を持つ可能性もない。シンギュラリティなんて来ない。というのが前半のお話。
    本題は後半部分。AIには意味を理解できないのはわかった、では当の人間は意味を理解し読解できているのか?という問いを大規模に調査した「リーディングスキルテスト(RTS)」の結果が示される。
    この結果がなかなかに衝撃的。人間も意味なんて理解できてないじゃん、単純な文さえ読解できないじゃん。みんなが思ってたよりみんなの能力ははるかに低かったじゃん、ということが示されてしまった(調査手法にはいろいろ問題もありそうだが)。
    「ふつうに学校行けばふつうの文章は理解できる」という発想が幻想でしかなく、それどころか「ふつう人間には文を理解する能力なんてない」という絶望的な可能性がみえてくる。人間は知性なんかなくてパターンに反応するだけの生き物なんじゃないか、コミュニケーションと思ってるものはただのパターンに対する反応の連鎖に過ぎないんじゃないか、とか考えだすともうSFだが、とはいえそういう世界観や人間観も頭の片隅には持っておく必要はあると思う。

    ちなみに文中に「経済学者は、完全に自由な市場を理想とし、情報の非対称性や市場の独占を目の敵にします」とあって、なんだその素朴すぎる経済学者像はと。どんなに読解力があって意味を理解する素質があっても、まともな情報に触れる機会や環境がなければ、本人がきちんと知識を得ようとしなければ、あるいは本人が自分の知識不足を自覚しなければ、理解もなにもあったものじゃない、ということを著者自らが図らずも示していて、これもまた大事ことではある。

  • 前半は、東ロボくん、IBM WATSON、Siriなどがどうやって問題を解いているか話。
    文の意味や論理など捨てて、単語と確率・統計だけで頑張るのが一番スコアが高いということが、AIの限界を示す。

    後半は、ホラーである。こんな問題誤答するか?!という例題で恐るべき低さの正答率を目にすることになる。
    とは言え、自分も例題ではないが地の文の問題の方は自信満々に間違えてしまったりしているのだが。
    調査の結果、15歳以上で読解力が向上しないというのだから、この高校生の惨状はすなわち今の大人たちにも同じ比率で当てはまるはずなのだ。

    ともかく3章は小学生の子供を持つ親なら必読。子供のうちにこそ読解力を鍛えておかないといけない。

    その他、本題から逸れるところでも一々深いこと書いてあったりして読み捨てるところの少ない、それでいて読んでいてスッと入ってくる適切に砕いてあって読みやすい本でした。

  • この本はすごく面白かったです。

    著者はAIの研究をする数学者の方で、自身の研究を元にこの本を書いています。
    AIで東大合格を目指すプロジェクトを進めていて、現段階でAIは難関私立大学に合格する力(大学受験生の上位20%)はあるそうです。
    ただ、この辺りがAIの限界。いまの技術の延長ではAIによる東大合格は無理とのこと。

    また、現在のAI楽観論に警鐘を鳴らしています。
    汎用型AIなど無理、シンギュラリティなどあり得ないとも言っています。
    AIと言えコンピュータ上で動作するプログラムなので、四則演算で表現できない処理はできないってこと。

    画像からがん細胞を見つけるAIも、カメラの精度が上がり鮮明な画像を出力するようになると、一から学習のし直しです。
    それまでの教師データはゴミになります。
    などなどAIには可能性もあるが、できないことも多いと言うのが前半の内容。

    後半はそんなAIよりもできない人間が多い現実を知ることになります。
    タイトルにもある、教科書が読めないこども。
    学力低下の要因は読解力不足として、読解力調査のために開発したリーディングスキルテスト(RST)の結果を報告しています。

    RSTは6つの分野「係り受け」「照応」「同義文判定」「推論」「イメージ同定」「具合例同定」で構成されます。
    係り受け、照応はAIの得意分野。

    同義文判定(2つの文章が同じか判定)はいまのAIには難しいそうです。
    AIが同義文判定をできるようになると、国語の記述式問題の採点をAIができるようになります。

    推論、イメージ同定、具体例同定は、AIでは全く歯が立たない分野。
    ・推論 文の構造を理解したうえで、常識など様々な知識を総動員して、文の意味を理解する力
    ・イメージ同定 文章と図形、グラフを比べ、内容が一致しているかを確認する能力
    ・具体例同定 定義を読んで、それと合致する具体例を認識する能力

    AIの得意な係り受け、照応ができない中学生が30%いる現実。
    そして、推論、イメージ同定、具体例同定に関しては、進学校に通っている高校生でもほとんどできない。
    結構、衝撃的な内容でした。

    著者は、この書籍の印税をすべてRSTを運営する団体に寄付するそうです。
    素晴らしいですね。

  • 読解力というか、因果関係がつかめない、例えると「足し算ができない」(1+2=3などはもちろんできるが、申し込み・承諾が一致=契約成立、のように数字が文字になると関係性が捉えられない)若者は増えているように従来から自分も感じてきた。本書の中にもあるが、読解力が失われているのが若者に限らない点を踏まえると、ITの普及が原因ではないかと思う。検索して即座に反応が出て来て、似たようなもの、恐らくこれが出て来るだろうと推測していたものが大概出てくるから、脊髄反射的にピッピッとボタンを押せば事足りるような状況が。

全9件中 1 - 9件を表示

AI vs. 教科書が読めない子どもたちのその他の作品

新井紀子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジャレド・ダイア...
デール カーネギ...
トマ・ピケティ
ロバート キヨサ...
佐々木 圭一
ジェームス W....
岸見 一郎
有効な右矢印 無効な右矢印

AI vs. 教科書が読めない子どもたちはこんな電子書籍です

外部サイトの商品情報・レビュー

AI vs. 教科書が読めない子どもたちを本棚に登録しているひと

ツイートする