AI vs. 教科書が読めない子どもたち [Kindle]

著者 :
  • 東洋経済新報社
4.40
  • (26)
  • (22)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 150
レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (235ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 正しいAIの理解と、正しいAIとの向き合い方を、わかりやすく解説してくれる良本。

    誤った理解による危機感を誘導する、多くの著者に対するアンチテーゼを剥き出しにしており、著者の強い信念を感じた。

  • 数学者が語るAIの今と人の未来。

    話題の本でがっつり興味のある分野なので読んでみたが実にたーのしー。読書ってこんなに楽しかったんだ。

    AIはコンピュータプログラムだから、それが変わらない限りどんなに進歩しても与えられたフレームでしか課題を解けないし、解く方法も論理、確率、統計の数学的手法のいずれかでしかない。極論すれば文章問題は意味を理解しなくても人間に解を提示できる。Googleフォトで「猫」と検索すれば自分の写真から猫が写っているものをほぼ確実に検索できるが、Googleフォトは猫がなんであるかは知らない。

    では、と、意味を理解できる人間の方は、と試したら読解力は教科書が読めないレベルの人が予想以上に多かった。しかし、読解力はスキルである。適切に訓練すれば高めることができる。AIに仕事を奪われないためにはこれは重要だ。

    という流れ。しかし読解力を高める方法は研究途中として示さない。どこまでいっても学者の本。

    そしてベストセラーである。多くの人に読まれるということは当然その中のかなりの割合が本書のRSTで低いランクに該当してしまう。書評を見ると読解力不足の見本市になっていてまた楽しい。ベストセラーじゃないと書評欄はこうはならない。

    曰く「貧困は読解力に悪影響を与える」と「経済状況と読解力は負の相関がある」は矛盾してますね編集者読解力ないですね<お、おう(流れからして経済状況の横軸は就学補助率です)。

    曰く「ベーシックインカム導入がいいと思うが作者は否定的。なぜ反対なのか詳しい説明がない」<いや代案で十分説明になってなくない?

    RSTにハッとさせられるのは戸田市の先生ばかりではなく、自分もいくつかひっかかった。中でもグルコース・セルロース問題は怖い。ナチュラルに空欄に「グルコース」って入れて先に進もうとして、「ま、まて、セルロースとペアになる単語はデンプンだ」と化学知識でようやく切り抜けた。

    逆に言えば、リーディングスキル向上のヒントはそういったところにあると思う。コンピュータはテキストからしか考えることができないだろうが、ヒトは文章問題に化学の知識を持ってきてもいいし、図に書いて考えてもいいし、あらゆる人生経験を探ればなにがしか答えがあるはずだ。

    読解力はスキルで誰でも訓練により高めることができるというのは、絵を描くことがスキルで視力と普通の手先があれば誰でも可能ということからの類推。

    AIによる恐慌はあるのかないのかわからない。しかし、本書の後ろにあるように、人生を豊かにすることを考え、そのための道具として進歩したコンピュータを使うことを考えていけば、きっと明るい未来が拓けるだろうという気がする。

    ヒトは大脳新皮質という内なる情報ツールを利用して生きている。これをもっとうまく使えれば(リーディングスキル向上などが該当)、外部の情報ツールももっとうまく使っていけるだろう。

  • ブログ『7931のあたまんなか』に読書メモを書きました。

    親として危機感を持って読んだ本 ~ 新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』読書メモ
    http://wed7931.hatenablog.com/entry/2018/03/09/161637

  • わかってたことだが、今のAIの限界と、でも、そんなしょぼいAIでもある一定層以上の能力は持っているということが書かれた良書。自分も代替されないようにNP風に「おっさん」アップデートしよう(笑)

  • 分かりやすかったし、AIについても知れた。

    シンギュラリティがくるくると言われているけれども、AIが理解し共感するような時代は当分来ないのだなって思った。

    AIというとなんでも出来てしまうという気がしてしまうけど、得意なこと苦手なことがあるんだなぁと。

  • これだけの志と、これだけの分析力と、これだけの文章の面白さがある本がそこそこ売れているということがまず嬉しい。でもまだ足りないので、皆さんぜひ買いましょう。

    現在AIの本がたくさん出版されていて、捻くれ者な僕は「またAIか」と知ったようなことを思いつつ、それらの本を読んだことが全くないんですが、伊集院光さんがツイッターで、ラジオに出演されたこの本の著者の新井紀子さんのことをつぶやいていたのが妙に気にかかり、電子書籍のサンプルを開いてみたら、導入からすでに尖まくりのパンチライン炸裂でした。
    購入して読んでみましたが、本としてとても面白い上に、おそらくほとんどのAIに関係する本とは異なる視点からAIの事を解説していて、さすが数学者というか、問題を証明していく過程を読むような気持ち良さがありました。


    めちゃくちゃざっくり言うと、この本の中では将来AIに代替されてしまう人というのは読解力が身についてない人、という仮定のもと、実際に中高生に読解力を測るテストを行ったことが書かれています。
    そのテストの問題も掲載されており、それを自分で解くのも自分の読解力を測られているようでヒヤヒヤしてとても面白いんですが、このテストによって読解能力を判定した上で、その能力の高低の原因を突き止めるべく、アンケートを取ったことが書かれている部分がさらにめちゃくちゃ面白かったです。

    アンケートからは、読書習慣も得意科目も塾通いの経験も、特に能力を左右する原因なのかはわからなかったそうなのですが、ここで作者の新井さんは、そもそも読解力を図る基本的な問題に答えられない中高生には、「自分は読書が本当に好きなのか、数学が得意なのか、客観的に判断できていないのかもしれません!」と、最高に笑えると同時に背筋が寒くなる結論?をつけています。

    それでも作者の新井さんは、この状況をなんとかしたいと、この本を書き上げたことが後半になるにつれ分かってきます。
    まさにこの本に書かれているような未来を生きなければいけない我々に必読の書ではないかと思います。

  • AIの本質が分かりやすい。最終的に数式に表せるタスクはコンピュータが代替できる。しかしそれは決して多くない。常識、行間、感情…。人は日々数式には表しづらいとても複雑な処理をしている。そして、これから残っていく仕事は、それらを多く活用するもの。
    という仕事における基礎力になるのが読解力。だけど、その読解力がいまの日本に相当足りていない事実に驚愕する。何とかしなければ。
    という流れがすっと入ってきた。読んでいておもしろかった。

  • AI、AI技術について、著者が東大合格を目指しているプロジェクトの東ロボくんを中心にまとめた本。
    内容は、現在のAI技術状況、世の中で考えているAIを実現するのは困難であること、一方で学生の読解力が低いこと、将来のAI技術により奪われていく仕事と人間にしかできない仕事についての構成。
    前半は繰り返し同じようなことが書かれていたが、要は人工知能はあくまで人工であって教え込まれたものでないと分からない。応用させて考えることはできないので、どう教えるか、どう考えさせるかのアルゴリズムが重要で難しい。全般的な内容は面白かったので、前半の繰り返しがなければ、、、と思った。

    数学とは、論理的に言えること、確率的に言えること、統計的に言えることは、実に美しく表現できるがそれ以外は表現不可。というのは初めて知った。3つだけで、今の色んなアルゴリズムを作っているなんて凄い。論理的な表現は社会人になって学んだこともかなりあるので、学生教育に論理思考について取り込みのは大賛成。
    AIによってなくなる仕事もあるが人間にしか出来ないこととして、柔軟性、想像力を養っていかなくてはいけないというのは他でも言われているとおり。

  • 東大に合格できるAIを作るというプロジェクトを
    長年行なっている数学者である著者が、AIの将来を説く。日本におけるAIの専門家だけあって説得力がある。著者ははっきり言うが、所詮はコンピュータは計算機であって、計算できないことはできない。だからシンギュラリティ(コンピュータが人間を超える点)なんて来ない、と。決められたフレームの中での計算やデータに基づいた回答を出すことは得意だが、そもそもAIは意味を捉えることができない。そこが人間とAIの最大の違いだ。問題文における単語や文章の配置などからデータをもとに回答を予測し、確率が高いものを回答するという仕組みで成り立っており、問題文自体を理解しているわけではない。
    しかし、この本の怖いところは、その人間の優位性である意味を理解するということが今の子供たちができなくなってきているというのだ。自ら作った読解力のテストを中高生に行い、データに基づいた内容なので説得力は十分。
    読解力が無ければ教科書に書いてある意味がわからない。問題文の意味がわからない。そんな人間が将来大人になっても、できる単純な仕事はAIにとって代わられていると警鐘を鳴らす。シンギュラリティは来ないかもしれないが、仕事がなくなる人は確実に出てくるので、今からでも読解力を高めるべき。これは遠い将来の話ではない。

  • 人間って言うほど賢くないよね。論理的思考ができる人なんて実は少ない。なので、逆にシンギュラリティは来ると考えてしまう。

全24件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

新井 紀子(あらい のりこ)
1962年、東京都小平市生まれの研究者。国立情報学研究所社会共有知研究センター長・教授。専門は数理論理学、遠隔教育。東京都立国立高等学校、一橋大学法学部を経てイリノイ大学数学科に留学し、同大学数学科大学院修士課程に進学。1990年に修士号を取得。帰国後の1994年に一橋大学法学部を卒業、専業主婦を経て広島市立大学情報科学部助手に着任。1997年東京工業大学博士。2006年から国立情報学研究所教授。
代表作に『AI vs.教科書が読めない子どもたち』。同作で2018年日本エッセイスト・クラブ賞、山本七平賞を受賞している。

AI vs. 教科書が読めない子どもたちのその他の作品

新井紀子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
エリック・バーカ...
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印

外部サイトの商品情報・レビュー

AI vs. 教科書が読めない子どもたちを本棚に登録しているひと

ツイートする