Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2018年 2/6 号 [世界を読み解くベストセラー40]
- CEメディアハウス (2018年1月30日発売)
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感想 : 3件
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Amazon.co.jp ・雑誌 / ISBN・EAN: 4910252510287
感想・レビュー・書評
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歴史が示すように
ポピュリズムは国家などアイデンティティの源が弱体化した時に蔓延する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
目玉記事は米、露、仏、中、韓、印、英、エジプトの最新ベストセラー。それらから各国の国際情勢と国民感情を理解できる上、異文化理解を深めるのにも役立つ。邦訳がないのも多く、原文(英訳)で読むか検討中。また、普段はあまり知る機会のない各国の政治・経済のニュースに興味津々。各国の政策や外交、シリアやコソボといった内戦中・紛争後の地域情勢…。映画欄は『スリー・ビルボード』のM・マクドナー映画監督をピックアップ。映画館で見た予告が印象に残っており、制作の背景を知ってますます観たくなった。
興味を持った本
ロシア
「したい、そして、する/ミハイル・ラブコフスキー」
メッセージは非常にシンプルで、心の声に耳を傾け、自分の気持ちに正直に生きようというもの。「したいことをする」といったシンプルな6つのルールに従い、人間関係などの問題を解決しようと提唱する。
フランス
「カオスの力学/ダニエル・ロンドー」
描かれるのは、学校や病院や消防などの公共サービスが提供されなくなり、ギャングが幅を利かせる地域だ。そうした土地では怒りを抱く若者がイスラム過激派に、さらにはテロになびいていくが、当局は見て見ぬふりをしている。
中国
「君のためなら千回でも」
「駱駝祥子-らくだのシアンツ-」
「東京一年/蒋方舟」
日記スタイルノンフィクション。蒋方舟は9歳で作家デビューし、一躍人気作家に。名門の清華大学に入学、卒業後も常に注目を集めてきた彼女が「東京は私を救ってくれた」東京での1年のおかげで「本来あるべき自分になれた」と記す。
「中国」「日本」という枠を超え、「私」という個人の空間としての「東京」がそこにある。
小冊子の付録で読める「雨男」という短編では日本人男性と中国人女性の恋を描く。
韓国
「82年生まれのキム・ジヨン/チョ・ナムジュ」
主人公ジヨンの生まれた頃は産児制限があって、女児の堕胎が増え、新生児は男児過多になった。小学校の教室は前の席が男の子で、後ろが女の子。誰もがそれを、当たり前だと思っていた。
受験の頃には女の子が進学を諦めるケースも多かった。ジヨンは大学に進むが、就職の段になって初めて社会の壁にぶち当たる。何十通も履歴書を書いた末に、ようやく手にした働く喜び。しかし仕事で成果を上げても、先に昇進するのは男ばかり。この世は決して公正でないことをジヨンは悟る。
結婚すれば周囲から子供を望まれ、やっとの思いでしがみついている職場も、出産前に退職せざるを得なくなった。「子供をだれかに預けて働くこたは、子供を愛していないことではない。」失望がジヨンの心を覆う。
男女の就業率や賃金格差、育児休暇など、さまざまな統計がストーリーの中にさりげなく盛り込まれている。
男女不平等の現実のなかで次第に壊れてゆく心。ある日ジヨンは他人の言葉でしゃべり始める。実家の母の言葉でしゅうとめに話し掛け、かつて夫を好きだった女性の口調で夫に話し掛ける。凍り付く周囲の人々。単なる育児ノイローゼなのか……。
女の悩みは、実は男の悩みでもある。
「ことばの温度/イ・キジュ」
バスや電車、コーヒーショップや街角でのおしゃべりに、著者はじっと耳を傾けている。さりげない日常のなかで交わされる無数の言葉。激情ではなく、ささやきのような言葉をすくいとり、その意味を心の中でかみしめる。「慰めの表現は、よく熟した言葉を適正な温度で伝えてこそ効果がある」。思慮深く温厚な著者のたたずまいは、最近やけにおとなしい若者たちの姿と重なる。
インド
最高幸福省/アルンダティ・ロイ
インドの少数派と彼らが織り成す多様性に満ちた「天国」に焦点を当てらひたすら世俗主義を称揚する。
イギリス
「ザ・グッド・イミグラント」
BAME(Black Asian Minority Ethnic=黒人・アジア人・少数民族)ライター21人のエッセー集である。「良い移民」という意味だが、「悪い移民」と見なされる人々もいることを暗示した辛辣なタイトル。かつ白人は自らにとっての有用性で移民を切り捨てたり仲間にしたりする、という皮肉を込めている。
全編が刺激的、挑発的、啓蒙的なエッセーだ。
「ホーム・ファイアー/カミラ・シャムジー」
宗教と社会と家族と愛をめぐる問題をロンドンのパキスタン系の2家族の物語に託して描いた小説。
「イグジット・ウェスト/モーシン・ハミッド」
難民が流れ込みISISに似た武装集団に蹂躙される年に生きるサイードとナディアという若い恋人たちの物語。ある日彼らは奇妙な噂を耳にする。西側に通じる扉があちこちに発生しているというのだ。村上春樹がしばしば活用する異世界への通路としての井戸や穴を、ハミッドは意識していたに違いなく、「入ることで死に、出ることで生まれ直す」扉はマジックリアリズムの符丁だった。
2人はエージェントに手引きされ、ある家の納戸の扉へ飛び込む。するとギリシャのミコノス島に出た。2人は島内でまた別の扉を見つけ、今度はロンドンに至る。この辺りから本書は未来を描いた黙字録であることも分かってくる。ロンドンの中心地区には、ドアをくぐってやって来た世界中の移民が集まり、イギリス人は「先住民」と呼ばれていた。
移民たちは「死に生まれ」の反復の、中で帰属場所と人間的つながりの再構築を繰り返す。サイードはそこにより良き社会を建設する潜在的可能性を感じ取って高揚感を得たりもする。ちなみにバラク・オバマ前米大統領は、本書を17年に読んだベストブックの1冊に挙げた。 -
ベストセラー。
