少女を殺す100の方法 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 白井智之『少女を殺す100の方法』読了。
    想像していたよりも遥かにミステリ的で、スプラッタ系を期待していた人より特殊ミステリを期待していた人の満足度が高い作品かもしれない。
    「少女」をテーマにした五つの短編だが、実は少女というテーマ性よりも特殊状況下でのミステリのバリエーションへの挑戦というような感じがする。ミステリでありながら同時に様々な特殊設定を試みていて、やはりこの作者は異常な状況下での「謎解き」を書かせたら抜群に上手い。
    最もロジカルでミステリ的なのは『少女教室』だろう。短編でありながら非常にロジカルで、この短さで「意外な展開」を用意できているのが秀逸。順当に評価すれば一編目のこの作品が最も優れている。
    『少女ミキサー』は映画『CUBE』や『SAW』のような不条理な状況が面白い。巨大なミキサーに放り込まれた少女たちが生き延びようともがく中で起きるミステリ、よく思いつくなぁ。
    『「少女」殺人事件』はメタミステリ。作中作を用いた作品で、ノックスの十戒の扱い方に注目。地味ながら僕は気に入っている。いつか書こうと思っていたことを先にやられてしまった(笑)
    『少女ビデオ公開版』は平山夢明のような作品。こんな作品も書けるのか、と思った。新境地かもしれない。残酷さ、徹底したアングラ感、グロ描写や不快な描写、その中で光る純粋さのようなものに焦点を当てたもの。こういうのをもっと読んでみたい。
    『少女が町に降ってくる』タイトル通り、突然20人の少女が空から降ってくるという怪異現象に対して行われるロジカルなミステリ。設定が突飛すぎて面を食らうが、実はこの短編集の中ではミステリ的な部類に入る。
    プチ炎上騒ぎもあったが、どれも新たなミステリへの挑戦心を感じ、率直に面白い。

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著者プロフィール

1990年、千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。『人間の顔は食べづらい』が第34回横溝正史ミステリ大賞の最終候補作となり、同作で2014年にデビュー。『東京結合人間』が第69回日本推理作家協会賞候補、『おやすみ人面瘡』が第17回本格ミステリ大賞候補となる。『名探偵のはらわた』は「2021本格ミステリ・ベスト10」で第3位。他の著作に『少女を殺す100の方法』『お前の彼女は二階で茹で死に』『そして誰も死ななかった』『ミステリー・オーバードーズ』『死体の汁を啜れ』がある。衝撃的な作品で読者の度肝を抜く、気鋭の本格ミステリ作家。

「2022年 『お前の彼女は二階で茹で死に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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