趣味は読書。 (ちくま文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • おもしろうやがて悲しくなったベストセラー、評論本であった。

    「ベストセラーなのに、読んでいる人が周りにほとんどいないのはなぜか?今まで誰もが気づきながら口にしなかった出版界最大の謎に、気鋭の文芸評論家が挑む。」(帯より)

    先世紀末から今21世紀にかけてのベストセラー本41冊を、読書代行業兼評論家と称して斎藤美奈子が、読んでいない人の替わりに読んでくださり、ベストセラー作家にとっては恐怖の辛口評論をおもしろく述べてある。

    題名は知っているが読んでいなかった本ばかり。ちなみに5/41冊。批評能力はないのだけれど、なぜかいつもほとんどのベストセラーに食指が動かないだけ。

    ああ、こんな内容だったのね、とミーハー心が満足させられてよかったのだが、やはり読みたくはならなかった評論ではある。辛すぎるにしても納得させられてしまう説得力。

    ベストセラーってそんな風でいいんだろうか心配してしまったが、でも売れるのだから。

    この本によると、「読書依存症」ないし「過食型の読者」の私、ベストセラーはほどほど、これからも好きなものを食べていくのねと確認。


    斎藤美奈子式読書人分類。
    読書する人は少数民族で、多民族社会で、次のように分けられるそう。

    「偏食型の読者」:「…」だけしか読まない人。「…」に健康、ミステリ、ビジネスとかが入る。特定作家の追っかけ的になりその作家の本ばかり読む人もはいる。

    「読書原理主義者」:本であればなんでもいいひと。乱読。本信奉者。人にも勧める。

    「読書依存症」ないし「過食型の読者」:新刊情報にやたら詳しく、本におぼれている。頼まれないのに書評のブログを書いたりする。「本の置き場所がない」と嘆いていても、捨てる勇気はない。

    「善良な読者」:健全で友好的な、素直に感動する人たち。ベストセラーを支えている主な読者だそう。


    ところで、私の読んだそのころのベストセラー5冊は「海辺のカフカ」「話を聞かない男、地図が読めない女」「朗読者」「鉄道員(ぽっぽや)」「白い犬とワルツを」で、みんなそれぞれに適当に泣けて、つぼがあり、面白かった記憶が…、ということは「善良な読者」の素質もあるのだろうね。

  • 平凡社のPR誌『月刊百科』(Wikiによると2011年6月に休刊)にて1999年7月から2002年10月まで連載された「ベストセラー」本の書評を元に、文庫化にあたって新たに付け加えられたものをまとめた書評集。
    Kindle日替わりセールにて購入。

    五木寛之『大河の一滴』から藤原正彦『国家の品格』まで、全49冊が収められています。

    ちなみに取り上げられたこの49冊のうちで私が読んでいたのは、茨木のり子『倚りかからず』、B・シュリンク『朗読者』、宮部みゆき『模倣犯』、J・K・ローリング『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』、『世界がもし100人の村だったら』の5冊、『電車男』は2chのまとめかなんかで読んだし、『買ってはいけない』は『週刊金曜日』連載は読んでいたので、それを加えても7冊でした。どうでもいいけど。

    斎藤美奈子さんなので、普通の当たり障りのない書評とは一線を画しているのは言うまでもありません。

    私が好きな、茨木のり子、宮部みゆき、といったところも遠慮なくズバッと切られているので、ちょっと心が痛みますが…

    読んでいるもののうち一番納得できたのは『朗読者』の書評。

    ああ、読まなくて良かったな、と納得できるもの、逆に、ちょっとこれは読んでみようか、と思われるものもあったりして、当時のことを思い出しながら楽しく読みました。
    ある意味ゴシップ記事的な興味を覚えます。

    最後、おじさんのために付け加えておくと、この書名『趣味は読書。』そう最後の句点の「。」までがタイトルですのでお間違いなく。

    ==追記 ちょっとネタバレあり==
    高森顕徹『光に向かって100の花束』1万年堂出版
    この著者そして出版社、新聞広告でよく目にし、私よりも年長の方が手にしていることが多く、なにこれ?とおもっていたら、疑問が氷解しました。仕掛け人は井狩春男さん。『返品のない月曜日』(1985年刊)は当時 本好きの間で話題になったもの。その井狩春男さんがこういう本を、と思うと、うーん、ちょっと微妙な感じでした。たしかに売れる本ではあるのでしょうが…

  • 歯に衣着せない書評で面白い。書評家のものよりも、書き手の分析が的を射ていると思われ、本好きでも参考になると思う。本を読まない人に読ませたいような人にはいいかもしれない。

    分析するので内容がわかるので、その点のみ注意したほうがいいが、今となっては一昔前の本なので、気にしなくていいと思う。

    著者の作品は知っていたが読んだことはなく、こちらをきっかけに読みたいと感じている。

  • ベストセラーを、基本けなしながら紹介してる本。
    何冊か読んだことのある本もあったが、『話を聞かない男 地図が読めない女』はクソカスやったけど、『金持ち父さん貧乏父さん』には割と好意的。
    『iモード事件』は読んでみたくなった。

  • 読書家というのはそもそも母数が少ないのに、一癖も二癖もある人というのをバッサリと切るところが痛快
    実際自分もベストセラーを好まなかったりといった偏屈な読書家になっているため、中々グサっときた

  • 小気味が良くベストセラー書を切っていく斎藤節にいつものように失笑してしまいました。

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著者プロフィール

1956年新潟市生まれ。文芸評論家。1994年『妊娠小説』(筑摩書房)でデビュー。2002年『文章読本さん江』(筑摩書房)で小林秀雄賞。他の著書に『紅一点論』『趣味は読書。』『モダンガール論』『本の本』『学校が教えないほんとうの政治の話』『日本の同時代小説』『中古典のすすめ』等多数。

「2020年 『忖度しません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

斎藤美奈子の作品

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