神坐す山の物語 (双葉文庫) [Kindle]

  • 双葉社 (2017年12月14日発売)
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みんなの感想まとめ

不可思議な体験を通じて、幼少期の思い出が描かれるこの作品は、著者の実際の生い立ちに基づいています。舞台は奥多摩の御嶽山で、神社や宿坊が登場し、古くからの神事に関連する出来事が語られます。科学では説明で...

感想・レビュー・書評

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  • この物語がほとんど脚色を入れていない実話だというところに驚いた。
    山上の屋敷で起こる数々の不思議な出来事、彼らにとっては日常の出来事。
    「聖」が強烈に心に残った。キゼンさんの強情さ、そっけなさ、まさしく世捨て人そのものを体現しているのに、一人井戸の傍らに隠れて泣く様が痛々しく、御師にも神にも仏にも救えない人なのだと思った。彼はまず救いを求めていない。はなから験力など欲しくなかっただろうし、帰るべき熊野すらもう手放していただろう。キゼンさんの絶望がすんすんとしんみりと五月雨のように心に染み入ってきて、何度も読み返してしまった。
    全体的に静かで大人っぽく、心地よい空気感の漂う素敵な描かれ方だった。
    気に入りすぎて、読み終えても後ろ髪を引かれる感じがする。また読みたい。

  • 「あやしうらめしあなかなし」とこの本は、浅田少年が経験した実話を元に書かれたそうだ。
    浅田さんって見える人だったんだ。
    浅田さんには神主の血が混ざっている。ふむふむ。
    よくぞ小説家になって幼少期の体験をこのような作品にしてくださったと思った。

    「遠野物語に匹敵するような『御嶽山物語』」と巻末ロングインタビューであったが、まさにその通り。
    舞台となった神社や宿坊「山香荘(さんこうそう)」は今も奥多摩にあり、その行き方まで小説の中に書かれている。
    御嶽山はオンタケサンではなくミタケサンと読み、大菩薩峠あたりだそうだ。

  • 奥多摩は御嶽山(みたけさん)の山上にある神官屋敷を舞台に、著者の実際の生い立ちに関連する、その幼きころの体験に基づいた、不可思議な話の数々。

    科学合理的な考え方では説明できないできごと。古くからの神事に由来するような、そうしたできごとの数々を、時に切なく、時にちょっとこわく、時に清々しく語らってくれる。この著者の個性である“人情味”が、もちろん存在はしているのだけれど、他の作品に比べると多少オブラートがかかっている感じで、さりとて感動が薄まるということはなく、むしろ すうっ と心になじんでくる、そのようなある種爽快さを伴った感慨をもたらしてくれるのは、舞台が神域であるからか。前述の通り、筆者の体験が反映されているゆえ、一連の話はミステリアスな「作りごと」としての事象でなく、「実際に体験した」こと、それを追体験できる、なんともぜいたくな体験を提供してくれる。

  • 不思議。御嶽山に行きたくなった。

  • ひょんなことから浅田次郎のご実家が武蔵御嶽神社と知り、自伝的?連作短編ホラーのこの作品を読みはじめました。しょっぱなから怖いのにハートウォーミング( ;∀;)

  • こういった神様の話は大好き。私自身、お寺よりも神社に惹かれるけど、仏様がもとは人間なのに対して神様は神様だから人間の価値観や善悪、理屈は通じないと聞いたことがある。確かに人間からすると理不尽に思える話は多いかも…。でも、山や川や至る所に神様がいるのは何となく良いなと思う。
    それにしても天狗に好かれてしまった浅田次郎さんの叔母さんや、狐に憑かれてしまった春子さんなど、日本の?妖や神様はほんとうに面食い。
    神様は美人が好きで(山神は女性なので男性を好むとか)、気分で怒ったり救ってみたり、悟りを開いたもとは人間の仏様よりも人間っぽい気がしてしまう。

  • 浅田次郎さんのルーツが東京御嶽山にあるのは知っていたけれど、その御嶽山に伝わる昔物語集。
    読んでいて心がスッキリする短編ばかりでした。
    浅田さんのお話はベタだけど、人間っていいね…って思えるから好きだ。
    今年は御嶽山に登ろう。

  • 読むと無性に山や自然や、目に見えないものと関わりたくなる。八百万神にまつわる寝物語。先日まで読みまった健康本でいうエビデンスとか科学と対極、真贋はどうでもよい。神様がいることは当たり前のお話。自分はすんなり受け入れられ、静謐につつまれ心地よかった。物語に大きな起伏はなく、ドキドキハラハラはないけど、かえってそれがよく、日本語が美しい。日常に追われているときに読み返したい。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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