会計学の誕生-複式簿記が変えた世界 (岩波新書) [Kindle]

  • 岩波書店 (2017年11月21日発売)
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みんなの感想まとめ

会計学の歴史とその変遷を辿る本書は、複式簿記の成立から現代の会計学に至るまでの重要なエピソードを時系列でわかりやすく解説しています。著者は日本の会計学史の権威として、複式簿記の役割や財務報告の意義を明...

感想・レビュー・書評

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  • 学生時代から会計が身近にありながら、会計史には全く興味を感じてこなかった。歳を重ねてくると、このようなエピソードがとても素敵に感じられる。

  • 1062. 2024.02.01
    ・複式簿記の成立から会計学の成立に至る諸段階をそれぞれの特徴づけを定義した上で簡潔かつ時系列順にたどっていく。著者は日本の会計学史家として第一人者であり、事実の記録としての複式簿記および会計と、情報としての有用性のための財務報告や価格ではなく価値を取り扱う経済学との区別を明瞭にすべきだという主張は明確に伝わってくる。

  • 自分がこの本を読む前に考えた会計学の課題

    金融機関の場合の話である。満期保有目的債券に保守主義(間違っているかも)を適用して債券が値下がり、減損する。

    また売買目的有価証券やその他有価証券が値下がりし、当期の損失が確定すると債券の価格が戻る可能性があるのにも関わらず、または資本が充実しているのに金融機関の預金者が現金を逃避させることによって、金融危機を誘発させることになる。

    要するに核となる経営基盤があるにも関わらず会計の処理方法により思わぬ危機を引き起こす可能性がある。

    本書が提示した会計学の問題点

    財務諸表の情報提供機能を重視した公正価値に基づく開示は、過去の損益計算が本来の役目であるはずの財務諸表に、未来の情報を提供することになった。それは過去の収益を素に利子率を乗じて将来価値を算出して将来予測をするという管理会計的な機能を持つことを言う。(将来価値の部分に自信がない)

    本来、経営の将来予測は困難であるのにも関わらず、今までの収益を素に資産の現在価値を計算することは、キャピタルゲインの獲得を目指す投機的取引が増えた昨今の市場環境に適合したものであるが、そのような投資家は企業のゴーイングコンサーンに関心が薄い。

    投機的投資家を重視すると不正会計を誘発するリスクが生じる。投資家は配当金と次期の純利益の予測を素に投資判断をする。経営陣は投資家の期待に答えようと粉飾会計に手を染めてしまうだろう。

    感想
    会計学が過去の損益計算を主軸として発展したことがよくわかった。著者の主張にも説得力があるが完全に首肯できるかといったら私自身はそうでもないかなと思った。

    現在受け入れられている将来の予測に基づく財務諸表の作成は、粉飾の動機を生むのは確かであろう。しかしそれに応じて、特にアメリカでは厳格な会計基準へと進化してきた。

    この過程から時計の針を戻し再び損益計算のみ(著者はここまで言及していないが)に特化した会計学に再構築するのは金融市場との関係からもはや不可能であると思うからである。

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著者プロフィール

大阪経済大学名誉教授

「2023年 『会計と倫理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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