- Amazon.co.jp ・電子書籍 (231ページ)
感想・レビュー・書評
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まさにそこにあったのは澄み切った音であり鮮やかな色であり爽やかな薫りだった。著者の瑞々しい表現により五感を持った音が読み手に迫り終章のリハーサルの場面では双子の一音に全身に震えが。何度も調律師さんと仕事をしていながら初めてその深淵を覗けたような気がする。
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ピアノの調律師となった青年の成長物語。
決して素養や才能があるわけではなく、上手く行かないことも多い。葛藤の中もがき、周りの人に助けられながら、自分の中での答えを見つけていく。
現実の仕事は往々に結果と数字が求められるけれども、こんな素朴な物語も良いなと思える作品でした。 -
子供の頃、すこしピアノを習っていたがピアノの仕組みについて詳しく考えた事がなかった。鍵盤を弾くと、羊毛のついたハンマーでワイヤーを叩いて音を出しているんだね。
『羊と鋼の森』は主人公外村が高校の時、素晴らしく調律されたピアノに出会い、調律師になり成長していく物語だ。
就職した楽器店にいる先輩調律師たちもいい。天才的に素晴らしい調律をする板鳥、お客さんの言葉を丁寧に聞いて調律する柳、ピアニストを諦めた秋野はお客さんのピアノのレベルも見極め迷いのない調律をする。
外村が挫折をした時に、自問自答する場面がいい。
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才能という言葉で紛らわせてはいけない。あきらめる口実に使うわけにはいかない。経験や、訓練や、努力や、知恵、機転、根気、そして情熱。才能が足りないなら、そうゆうもので置き換えよう。もしも、いつか、どうしても置き換えられないものがあると気づいたら、そのときにあきらめればいいではないか。怖いけれど。自分の才能のなさを認めるのは、きっととても怖いけれど。
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この本に出会えて良かった。こういう音楽の世界の話好きなんだな思えました。音が森の情景のように伝わってくる。17才でのピアノの調律師と出会い、調律師として先輩や調律を依頼する様々な人と出会い成長していく。
双子の高校生との出会い成長もいいなあ。 -
初めてのaudibleだったので、好きな本の再読でトライ。時間はかかるけど、思っていたよりも没入できました
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才能とか素質とか考えても仕方ないよな
ただ、やるだけ
自分に向いてるかとか考えても仕方ないよね
生きていかないといけないんだから
でも反面、才能とか素質を考える職に就いてみたかったなぁと思う。
柳さんと秋野さんの先輩コンビ好き。秋野さん最初ムカついたけど何かすごく好き。
星座は88種類
ピアノの鍵盤の数も88 -
外村がピアノの中に見つけたのは、ゆるされている、世界と調和している、言葉で伝えきれないことを音で表現したい、ピアノで森を再現したいという想いである。
ピアノの音色の調和は森のように美しい。
子供のころの山で育ち、四季と共に変化する森の色や音、安らかな気持ち、開放感をピアノの玄や木とコラージュさせた想いが醸し出されている。
羊の毛で作られたハンマーが鋼の玄を叩くことで音を奏でるピアノ。
ピアノの中の木が外村の生まれ育った森と合わさって「羊と鋼の森」に同調する作者の世界観がしっとりとした安らぎと、炎のような情熱を感じられた -
kindleにて。
とても綺麗な文体で、読み始めてすぐ、物語に引き込まれていきました。
調律師さんのお話。
ひたむきに仕事に打ち込む主人公と、その先輩たちやお客さんたちとの関係性が描かれます。
音楽に疎い自分にも「音」が見えるような秀逸な表現で、最後まで楽しく読むことができました。
ピアノに関わる仕事をしてみたくなる一冊。 -
きれいな文章だなと感じた。自分には音楽の才覚がないと思ってきたが、この本のように深みを持った視点から見るということは案外面白いなと思う。