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感想・レビュー・書評
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ウクライナ東部の”併合”の宣言直後、その一部を奪還されたニュースが飛び込んできて、プーチン大統領としては恥をかいた形になり、しかも同盟の周辺諸国の首脳から”弱腰”の批判も受けた。追い詰められた状態の人間は何をやるか分からない。核実験をするかもしれないとか、核兵器を使用するかもしれないとか囁かれている。
核兵器は”小型”のものを使用するかもしれないとニュースで聞いたが、核は大きさではない。この兵器は破壊力だけでなく、その後の長期間にわたる悪影響も懸念されるべき。以前の兵器は、広島型原爆の10倍とか100倍とかいわれていたが、現在のは分からない。”75年人が住めない土地”と噂されていた広島は、そこまでにはならず復興を遂げたが、時代は変わっている。
池上さんは核がなぜなくならないか3つの理由を挙げて、本書でわかりやすく解説する。抑止力は有名だが、奇妙というか恐ろしいのは、迎撃ミサイルを持つのをやめよう、としたところ。落とし合っていてはいつまでも戦争が終わらないから”そのまま”国をさらしものにする。国民を人質にすると池上さんは指摘しているが、いかにも国民を軽視する指導者らしい国策だと思う。ふと、ある国が思い浮かぶ。
意識されにくいのが核が「ビジネス」になる、ということだ。核に限らず、軍事はビジネスになるだろう。ウクライナ侵攻でも、欧米はどのくらい軍事物資を提供しているのだろうか。確かにこれでウクライナは領土を奪還している。平和憲法を持つ日本の国民としては、どうもばつの悪い思いがする。なにかしっくりこない感じが否めない。
いま、核を持つことが”大国”の証し、と感じている首脳はどれくらいいるんだろうか?大国、というより不安とか恐怖心・不信感から核を持たなくてはいけない、と脅しのように感じているんじゃないか?不安も恐怖も人間の根源的な感情だから。
本書を読んで、恥ずかしいけど初めて知った驚きの事実があった。それは「核なき世界」が現実に存在することだ。
「ラテンアメリカ及びカリブ核兵器禁止条約」。33か国が参加する奇跡の条約。すごいのは参加している国が核を持たないとか使用しないというのはわかるけど、すでに持っている5カ国にも条約を認めさせたこと。
とはいっても33もの国にもそれぞれの思惑はあり、一筋縄にはもちろんいかない。参加するすべての国が、すべての項目に合意するのに34年かかった。
本書ではそのほか、オセアニアやアフリカなど4つの条約が紹介されているけど、核保有国5か国すべてが批准しているのはこの中南米の別名「トラテロルコ条約」ただ1つ(ちなみにその他はなぜかアメリカだけ批准していないものが多い)。何年かかろうとも「核なき世界」は実現できる。そのことを教えられた。「核の傘」に”守られている”日本はどの条約にも入っていない。どうせそんな世界は実現しないから核の傘に潜っていよう、という声も聞こえてきそう。でも具体的に動いている国々があるのも事実だ。
ロシアの部分動員令を見ても分かるように、ひょっとすると”対岸の火事”と思っていたロシアの国民も、事態が長期化すれば自分たちも確実に影響を被るのが分かったんじゃないか。戦争とはそういうもの。だから体験者は強硬に戦争反対というのだ。日常の生活も、愛する人も奪う戦争の中でも最たるものが(戦争に上下はないんだけど)核の存在。ヒバクシャがこれ以上増えないように祈るばかり。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
既読のタイミングで北からミサイル‥
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