その可能性はすでに考えた (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 青髪オッドアイ痩身イケメン探偵。
    お金はないが、"ブラックチャイナ界の西太后"が常にそばにいる。そんな二人の探偵物語。

    ある過去の事件の調査を探偵に依頼した女性は、
    調査済みの資料が目と鼻の先にあるのに、
    探偵に喧嘩を売りに来る人たちと探偵の間の珍事に巻き込まれ、なかなか最終回答に辿り着くことができない。

    なぜだか、探偵にいちゃもんをつけてくる登場人物たちに、
    違和感を覚えてならなかった。
    最終局面で、ああ、なるほどと、展開の意図は綺麗に明かされるのだけれど、もう少しミニマムにまとめられたんじゃないのかな?と思ってしまう部分もある。

    また、依頼人の女性が、自分には無関係な探偵の売られた勝負に、なんの抵抗もなく、巻き込まれていく姿から、すでに違和感だったのかもしれない。

  • これは私が最も嫌いなタイプのミステリー。
    ぎんなみ商店街が話題になっていたので、その前に代表作を読んでみようと思って読んでみたが、これは無理。
    何がロジックだ!
    ぎんなみ商店街も読まないことにします。

  • 「奇跡の証明」といった、ミステリーとしてはとても珍しい方面から前提を置いた議論で展開されていくのが斬新で面白かった。
    キャラクター達が個性豊かで情景をありありと思い浮かべれる程浮き立っていた。
    最初はラノベのような文章の書かれ方に凄く困惑し読み進めずらく、合わない作者だと思ったが、話の流れや内容はよく考えられていて矛と盾がせめぎ合う議論も納得と合理的な結末にたどり着いた。
    アニメ化を狙っているのではないかと思わんばかりの文体だが、ぜひアニメ化するならして欲しいと思う。
    読み始めと読み終えた時の文体に関する感覚が変わり、いつの間にか一人一人のキャラクターに愛着を持っていた。こういった文体もありかもしれない。

    • ゅちさん
      「奇跡」ではなく「奇蹟」ですね、訂正致します。
      「奇跡」ではなく「奇蹟」ですね、訂正致します。
      2023/11/29
  • 近代推理小説を読み漁ってるミステリマニアなら楽しめるのかもしれないが、私にはまだ早かった。

    不可能犯罪を奇跡と信じる主人公側と、奇跡ではなく可能犯罪だと推理する敵側の対決なので、推理パートが多くを占めるのだが、否定されると分かっている敵側の推理を長々と聞かされるのがしんどい。

    悪手と言われる四天王方式で敵が現れるのだが、途中から展開が読めてしまうので、全体の5分の4くらいまでは正直退屈だった。
    そもそも私が事件自体に興味を引かれなかった所為もあると思う。

    殺人現場がいかにも推理小説に出てきそうな状況なので、無意識的に奇跡なワケがないと思ってしまい、本当に奇跡じゃなかった場合は驚きも何もないし、奇跡オチだと多分しらける。
    仮に奇跡だったとして、その事自体は奇跡なのかもしれないが、特に心を動かされたりはしない。
    私が信心深くないだけかもしれんが。

    探偵が犯人もトリックもなく奇跡だと証明するというテーマ自体が見所。

  • 切り口は新しくて可能性がないことの証明課程は面白かった。
    けれど、探偵以外の心中描写がやや文量が多く感じた。

  • 過去に起きた、カルト宗教集団自殺事件の謎を解いてほしいという依頼人。
    それを題材に探偵をはじめアニメ的なキャラたちが様々な推理対決をしつつ、真相に迫っていく(基本は探偵が天才なので全部解く)という、やや変則的なミステリ。

    カルト宗教集団自殺事件は面白い設定なのだが、あくまでも推理対決の題材というていなので、深く描写されることがない。そのおかげで軽快な読み味にもなっているが、個人的には物足りなかった。真相については、「内側から開けられない密室だった」という重要な部分が覆された後で提示されるため、やや卑怯に感じスッキリしない。しかし私の考えが足りなかっただけかもしれない。

    アニメ的な見た目・設定のキャラ達による推理対決という変則的な趣向は、メディア化も見越したものかと思われるが、この1作だけだと主人公の探偵をはじめキャラに深みが一切ないため、全体として茶番に付き合わされている感があった。
    しかし続編の評判が高いのでそちらも読んでみたい。
    作者の「文章の細かい部分にネタを仕込む」「チャレンジングな趣向」に敬意を表して☆2。

  • 井上真偽先生の『その可能性はすでに考えた』読了しました。
    理屈や論理がややこしてく、結構読むのに時間がかかりましたが、つまらなくはなく面白かったです。
    奇跡を証明する為に、可能性を否定していく物語。
    私的には斬新で楽しめました。

  • 奇蹟を追い求める探偵と探偵事務所に融資してる中国人女性の物語
    ある不可解な事件を追っていく
    仮説と反証を繰り返していくのだがやや展開が単調かもしれない
    まあまあ面白かったです

  • 不可能を証明するために、可能性を潰すっていう前提がミステリの中で読んだこと無くて面白かった

  • 想像した以上にファンタジーなミステリー小説だった。
    取ってつけたようなキャラクターと「可能性」という名のとんでも推理が矢継ぎ早に登場する展開には、正直言っていまいちノることができず。
    対決相手から助手まで、人物がいちいち現実離れしているせいで探偵の凝った造形も薄まってしまっていた。唯一まともそうな依頼人の振る舞いもやっぱり芝居がかっていて面映い。

    しかしながら、終盤に披露される「可能性」は、それらを帳消しにする美しさと慈愛に満ちており、確実に胸に迫るものがある。
    魅力的な謎とアイディアの豊富さという面でも優れたミステリーであることは間違いない。

    それだけに、前中盤の展開はもっとシリアスな内容であって欲しかった。最後とコントラストをつけたかったのだろうけど、荒唐無稽で咬ませ犬感が大きい推理の中にひとつくらい「これはあり得るかも」という仮説があったら。
    続編に期待。

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著者プロフィール

神奈川県出身。東京大学卒業。『恋と禁忌の述語論理』で第51回メフィスト賞を受賞。
第2作『その可能性はすでに考えた』は、恩田陸氏、麻耶雄嵩氏、辻真先氏、評論家諸氏などから大絶賛を受ける。同作は、2016年度第16回本格ミステリ大賞候補に選ばれた他、各ミステリ・ランキングを席捲。
続編『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』でも「2017本格ミステリ・ベスト10」第1位を獲得した他、「ミステリが読みたい!2017年版」『このミステリーがすごい!  2017年版』「週刊文春ミステリーベスト10 2016年」にランクイン。さらに2017年度第17回本格ミステリ大賞候補と「読者に勧める黄金の本格ミステリー」に選ばれる。
また同年「言の葉の子ら」が第70回日本推理作家協会賞短編部門の候補作に。
他の著書に『探偵が早すぎる』(講談社タイガ)がある。

「2018年 『恋と禁忌の述語論理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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