エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング [Kindle]

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  • 「不確実性を減らすことがエンジニアリングの本質」をテーマに、これまでの組織のとこれからの組織の考え方の違いが書かれている。個人に焦点をおくメンタリングから、アジャイルなチームづくり、エンゲージメントを高める制度設計まで、様々な分野の要素が包括的に盛り込まれている。各分野を詳しく知っている人は、それらをどう組み合わせて組織を作っていくかを考える材料になる。逆に、各分野を知らない人には全体感を掴み、それぞれを深く知るきっかけになると思う。

  • ・自分にはChapter3以降が刺さった。
    ・P131:「アジャイル開発」は、チーム全体に対してメンタリングを行い開発出力を向上させる方法論
    ・P142:ウォーターフォールがスコープとする範囲は、「方法不確実性」とそれに伴う「スケジュール不安」です。アジャイルなチームがスコープとする範囲は、それに加えて「目的不確実性」とそれに伴う「マーケット不安」そして、「継続するチームマネジメント」つまり「通信不確実性」です。
    ・P147:リーン生産方式においては、トヨタ生産方式の徹底した無駄の排除と現場主義による改善を高く評価していました。それらの一連を秩序立てて、マニュアル化、パッケージ化したものがリーン生産方式なのです。
    ・P183:納期 = 実工期 + プロジェクトバッファ
    - 実工期 = 理想工期 + 制約スラック
    - 理想工期 = 工数人月 / 人数
    - 制約スラック:作業同士の依存関係による無駄
    - プロジェクトバッファ:見積もりの不確実性を吸収する為の期間
    ・P194:不安量の大きいタスク順に問題解決をする

  • 当たり前のことを意識してやる
    アクノレッジメントは

    ・ちゃんと挨拶する
    ・無視しないで話を聞く
    ・相手に感謝を伝える
    ・気にかけて話かける
    ・自分本位でなく相手本位で話をする

    いろんな不安や悩みを一足飛びに全部解消することはできないので、問題の範囲を適切に限定していくことが重要です。
    たとえば、メンティに「今やっている仕事のゴールがわからない」という話をされたとします。メンターは、この話を分解して、分解された要素の曖昧なところを順番に確認していきます。
    ・「今やっている仕事」とは何ですか?
    ・「ゴール」とはたとえば、どういうものですか?
    ・「わからない」というのはどういう意味ですか?

    *事実と意見を分ける
    強い感情は、「自らがおびやかされるのではないか」と感じたときに発生します。
    不安の根本となるものはこれです。その結果、「事実でないもの」が多く会話に表れます。
    強い感情が表れたときは、「傾聴」のモードに切り替え、感情に共感を示す必要がありますが、可視化することはあくまで、事実関係です。事実として起きたこと、邪推していることは分けていき、第三者的な課題を可視化します。

    相手の話を聞くときの「うなずき方」にもテクニックがあります。たとえば、アクティブな話を聞くときは早く細かくうなずき、ネガティブな話や感情への共感を示すときは、ゆっくりとうなずくといったことです。これによって、「あなたの話に共感している」という信号を送ることができます。

    メンタリングをしていると、メンティの事情ごとに様々な種類の問題が発生します。それらすべてに、「自分の経験だとこうだ」という回答をしても、「あなたの事情と私の事情は違う」で終わってしまうでしょう。
    メンバーの役割は、メンティがもつ「解けないパズル」を一緒になって解くことではありません。なぜ、そのパズルが解けないかの構造を明らかにして、解けるパズルに変換するための戦略を与えて導くことです。

  • ここでいう不確実性の概念は、組織においてもエンジニアリングにおいても人生においても、これまで言語化したかった曖昧で恐怖の対象だった。不確実性という表現を手に入れた事で、その不安や課題が言語化され、何故ダメなのか、何が怖いのか、どうして今やらないといけないのかが明言できるようになった。エンジニアリングに興味がない人でも問題へのアプローチが分からない人は読むべき。

  • 組織について多角的な視点から書かれていて、参考になる箇所が多くありました。
    ボリュームがとにかくあったので、組織について、エンジニアリングマネジメントについて悩んでいる方に幅広く勧められる一冊かと思います。

  • ★本を知ったきっかけ / なぜ読んだのか
    - エンジニアを本職としており、組織論に興味があった
    - 同僚に勧められたから

    ★本を読んでどう変わったか
    - 今まで何となく考えていた組織のあり方についての裏打ちができた
    - 特に心理的安全性が如何にエンジニア組織で大切なのかが、個人のメンタルヘルスの問題だけでなく組織にとって如何にプラスになるかがわかり、業務上も気をつけるようなきっかけになった

    ★この本をどんな人にすすめたいか
    - エンジニアに限らず、会社などの組織やチームに属している人の全て
    - 経営者・管理者・中管理者・新人といった全てのレイヤーの人に読んでほしい

    ★この本を端的にいうと(一言)
    エンジニア組織に限らず組織を形成・運用していくのに必要な前提となる知識が詰まっている

    ★読了時間(目安)
    - じっくり読む系
    - かなりページ数が多いので一気に読み進めるより何度か読み返して内容の理解を深めるのがいい

  • ソフトウェア開発のプログラミング的な話かと思いきや!

    目からウロコの解説が満載。組織論って、すごいです。

    「エンジニアリング」とは「実現するための科学」。

    「リファクタリング」とは「不要なプロセスを削除して考える時の指針を持つこと」つまり、「不確実性に向き合う考え方」

  • 開発を行う組織で不確実性にどう向き合うかという本です。
    内容は、メンタリング、アジャイル、技術的負債、組織構造など多岐に渡ります。

    この本は内容としては間違ったことが書いてあるわけではないのですが、正直おすすめしません。
    全体的に衒学的で冗長な内容が多く、本来重要である部分を読み取ることが非常に難しくなってしまっています。
    また、書かれている内容に出典が書かれているところが非常に少ないです。
    そのため、どの部分が定量的な研究に基づくものなのか、もしくは筆者の感想でしかないものなのか、読者が判断するのはほぼ不可能です。
    書かれている内容も目新しいものではなく、あえてこの読みづらい本を読まないといけない理由はないです。
    気になるトピックがあればそのトピックの有名どころの本を読みましょう。

  • 不可実性を無くそう。そのための理論や方法は。という本なんだろうけど、正直あまりピンとこなかった。
    各所の専門領域をかいつまんで説明している本という印象。
    自分が何か目的持って読んだわけではないのも原因の一旦か。

  • 人つのぶんせきだけではなく、
    実際はいろんなことが絡み合っている。

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著者プロフィール

広木大地(ひろき だいち)
株式会社レクター取締役。2008年度、新卒第1期として株式会社ミクシィに入社。同社メディア統括部部長、開発部部長、サービス本部長執行役員などを歴任。2015年同社を退社し、現在は技術組織顧問として複数社のCTO支援を行なっている。2018年2月22日に『エンジニアリング組織論への招待~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング』を刊行、第6回ブクログ大賞を受賞。

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