送電線は行列のできるガラガラのそば屋さん? (NextPublishing) [Kindle]

  • インプレスR&D (2018年2月23日発売)
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みんなの感想まとめ

電力会社の送電線に関する詳細な分析を通じて、実際の運用状況やその透明性の重要性が浮き彫りになります。全国10社の基幹送電線を比較した結果、平均利用率は10%〜20%と安定している一方で、混雑発生路線の...

感想・レビュー・書評

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  • 全国電力会社10社399路線の基幹送電線に対する分析に対する極めて興味深い比較分析。エビデンスベースの議論の基礎として。
    ※年間利用率、混雑発生路線割合の比較分析

    ・運用容量:電力設備(送電線、変圧器、発電機等)に通常想定し得る故障が発生した場合でも、電力系統の安定的な運用が可能となるよう、予め決めておく連系線の潮流(電気の流れる量)の上限値のこと
    →熱容量等、周波数維持、電圧安定性、同期安定度
    →しかし、熱容量、熱容量(作業)の2要因のみを考慮?
    →定格出力、予約分の積み上げ×実潮流によるべき

    ・送電線の冗長性の設計思想(三相2回線の場合、設備容量の50%が運用容量が単純計算値、ただし個々の状況に依るため必ずしもこの値ではない)

    ・N-1基準:「万一1回線故障したとしても安定的に電力系統全体の運用が継続できる」という系統運用の考え方

    ・電気は順方向と逆方向を同時に流すことができ、互いに相殺したものが実潮流

    ・送電混雑:実潮流が運用容量を上回っている状態

    分析結果:
    ・各電力会社の平均利用率は10%~20%台に固まっているものの、送電混雑の発生状況や空容量ゼロと判断された路線の比率には大きなバラツキがある
    ・平均利用率と空容量ゼロ率、混雑発生路線割合と空容量ゼロ率の相関とも、相関性はほとんどない

    著者の結論:
    地内送電線の空き容量の考え方は各電力会社で開示されておらず同じか不明(分析結果からかなり差異がある可能性)

    「送電線空容量問題は単純に利用率の高い低いの数値の問題ではな」く、「再生可能エネルギー電源の接続の可否や送電線増強費用の負担額がどのような根拠で決定されたのか?」という透明性の問題の方がむしろ重要

    ・リスクマネジメントの定量化の必要性(最過酷断面の想定、出力抑制の実施・これを見込んだ運用)

    ・柔軟性導入のための優先順位(既存インフラの活用の優先)を徹底した検討の必要性
    いきなり、系統線の増強、蓄電池の導入とならない!

    ・系統連携の「原因者負担の原則」から「受益者負担の原則」への転換
    ※一般負担(受益者負担)に移行したと見せかけ、特定負担(原因者負担)を認める構造

  • 表題がアトラクティブ(ショッキング)だったので読んでみた。
    太陽光発電業者の系統接続問題は聞いていたが、その際のキャパシティの算出方法の理解を深めるために役にたった。
    タイトル通り、実際には系統接続のキャパが全国的に足りないという問題よりも、各電力会社でキャパ見積り方法に大きな違いがあり、特定の電力会社ではとても余裕を見ているということが問題であるという説明に納得がいった。
    逆に、最近とある電力会社が太陽光発電の出力制限したことが大きなニュースになっているが、ここでは出力制限が必要になるまで送電キャパいっぱいに接続しているという意味であり、この本で書かれている内容を裏付けることになった。
    再生エネルギーはまだ新しい 分野であり、新聞やテレビのニュースくらいでは理解出来ないことが起こっているということを肝に命じよう。

  • 日本の送電線は空容量が大きい。それは、送電線が故障やメンテナンスなどで使えなくなったときのために空けているのである。しかし、外国に比べあまりに多すぎる。天文学的な発生確率の災害に対しても膨大な費用をかけて対策しなければならないのか?

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著者プロフィール

京都大学大学院経済学研究科再生可能エネルギー経済学講座特任教授。専門分野は風力発電の耐雷設計および系統連系問題。現在,日本風力エネルギー学会理事,各種国際委員会エキスパートメンバー。

「2019年 『再生可能エネルギーと固定価格買取制度(FIT)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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