シェイプ・オブ・ウォーター オリジナル無修正版 2枚組ブルーレイ&DVD [Blu-ray]

監督 : ギレルモ・デル・トロ 
出演 : サリー・ホーキンス  マイケル・シャノン  リチャード・ジェンキンス  ダグ・ジョーンズ  マイケル・スタールバーグ  オクタヴィア・スペンサー 
  • Happinet
3.68
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感想 : 94
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Amazon.co.jp ・映画 / ISBN・EAN: 4988142372314

感想・レビュー・書評

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  • 楽しみにしていたトロっち(ギレルモ・デル・トロ監督...)アカデミー賞受賞作。
    絶対好きなんだろうなあ、という、やめたほうがいい謎の確信をなんとか抑えつつ鑑賞。
    結果、やっぱり好きな映画になってしまった...。

    いろいろなおとぎ話をイメージさせるような物語、古き良きB級映画へのオマージュを散りばめ、監督がこだわりつづけている‘異形のもの’への愛を感じさせる映画でした。

    ヒロイン役のサリー・ホーキンスは話せない役。
    だからなのか、全身からエネルギーがほとばしるような演技。喜びも悲しみも怒りも、そして悦びも。超美人ではないけれど上品な顔立ちだと思います。彼女の操る手話はとても美しい。
    彼女の‘ヒーロー’となる‘異形のもの’の造形は『ヘルボーイ』に出てたキャラと似ていますね。そういえば彼も恋をしたんだった。『パシフィック・リム』にも通じるような滑らかな動き。触られるとぽうっと光るところがいいなあ。蛍みたい。いやホタルイカか?
    彼らの敵となるマイケル・シャノン。
    ...爬虫類顔?これは爬虫類VS両生類の対決だったのか(笑)
    ヒロインへの口説き文句がウケた。ある意味とても不器用な人なのか。
    人に言えない秘密を持つヒロインの親友、リチャード・ジェンキンズ。いい人過ぎない、いい人感がほっこりさせられた。

    まさしく大人のお伽噺。
    ラストまで映画の世界に浸れました。

  • とても観たかった映画 個人的にも好きな系統の映画だったし アカデミー賞とる前から注目していたが 映画館で観たかったけど 残念ながらDVDでの鑑賞になってしまった 前評判も良かったから期待し過ぎて外れたら嫌だなぁと思ってましたが、そんな心配は要らず とても感動したし、いい作品でした。寓話であり まるで お伽話のような 舞台も時代も小物や歌も素敵で絵本の中の世界もあるけど ラブストーリーしかも 大人のラブストーリー 映画のジャンルでラブストーリーは苦手だったけど…これは純愛 true Loveだった

    ギレルモ・デル・トロが監督
    1962年、冷戦下のアメリカ。政府の極秘研究所で清掃員として働く女性イライザは、研究所内に密かに運び込まれた不思議な生き物を目撃する。イライザはアマゾンで神のように崇拝されていたという“彼”にすっかり心を奪われ、こっそり会いに行くように。幼少期のトラウマで声が出せないイライザだったが、“彼”とのコミュニケーションに言葉は不要で、2人は少しずつ心を通わせていく。そんな矢先、イライザは“彼”が実験の犠牲になることを知る。
    サリー・ホーキンスがイライザ役で主演を務め、イライザを支える友人役に「ドリーム」のオクタビア・スペンサーと「扉をたたく人」のリチャード・ジェンキンス、イライザと“彼”を追い詰める軍人ストリックランド役にマイケル・シャノン。
    「彼は不完全な私じゃなく ありのままの私を見てくれる」
    という 半魚人に恋するイライザ自身 姿かたちじゃなく本物の愛を見つけたんだなぁって 映画を観ながら応援してしまった…不思議な生き物を実験の物として扱う軍人達に暗い雰囲気に包まれ不安な気持ちで観ていたが ハッピーエンドで終わって本当に良かった
    そして ラストの詩
    「あなたの姿がなくても
    気配を感じる
    あなたの愛がみえる
    愛に包まれて私の心は優しく漂う」
    詩が流れて 思わず 涙してしまいました。

  • 「人魚姫」の話が悲しすぎるので、いつか人魚姫が救われる話を読みたいと思っていた。
    本作はいわば、人魚王子が声を失った人魚姫を救い出す話。冷戦期アメリカのあらゆるしがらみ、資本主義的ヒエラルキー、人種差別、ソ連との対立……ともかくめんどうくさいしがらみをくぐり抜けて人間(女性)が人魚に戻るまでの物語。その橋渡しをするのが映画館。というのもすばらしかった。
    そうだよな。人魚姫を不幸に陥れたのが映画ならば、人魚姫を救うべき責任があるのもまた映画だったのだよな。

  • 1962年、アメリカ。政府の極秘研究所で清掃員として働くイライザ(サリー・ホーキンス)はある日、施設に運び込まれた不思議な生きものを清掃の合間に盗み見てしまう。
    “彼"の奇妙だが、どこか魅惑的な姿に心を奪われた彼女は、周囲の目を盗んで会いに行くようになる。
    幼い頃のトラウマからイライザは声が出せないが、“彼"とのコミュニケーションに言葉は必要なかった。
    次第に二人は心を通わせ始めるが、イライザは間もなく“彼"が実験の犠牲になることを知ってしまう。
    “彼"を救うため、彼女は画家の親友ジャイルズ(リチャード・ジェンキンス)や同僚のゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)の力を借り国を相手に立ち上がるのだが、彼女達の前には執念深い研究所の警備主任ストリックランド(マイケル・シャノン)や「彼」を研究に利用しようとするロシアのスパイが立ち塞がる。
    果たしてイライザは、「彼」を守り愛を貫けるのか?
    「ヘルボーイ」シリーズでもアウトサイダー同士の愛をリリカルに描いたギレルモ・デル・トロ監督が、人間の女性と半魚人の愛を描いたファンタジーラブロマンス映画。
    言葉が話せず孤独だが純真なイライザが、卵と音楽を通して心を通わせ、信頼し愛し合う交流が丁寧に描かれていて、アウトサイダー同士のピュアな愛が観る者をキュンキュンさせる。特にイライザと半魚人の水中のラブシーンは、アウトサイダー同士の「愛を確かめ孤独を埋め合いたい」というピュアな愛が伝わる美しいラブシーン。
    中盤のイライザたちが半魚人を研究所から連れ出すシーンやクライマックスの半魚人を逃がそうとするイライザたちと執念深いストリックランドの攻防が、ハラハラドキドキさせる。
    イライザがお伽噺にありがちな純真なだけでなく、性欲も強い意思もある等身大の女性で、ゼルダも旦那や上司に媚びない強い女性であるところが、リアル。
    イライザと親友のジャイルズの性差を越えた友情、イライザとゼルダの女性同士の友情も、ステキ。
    クライマックスのオチは、ギレルモ・デル・トロ監督の「美女と野獣」のオチに対する違和感が投影された説得力のある結末で、赤や緑など絶妙な色使いの映像美が美しい、ギレルモ・デル・トロ監督の集大成で最高傑作と言えるファンタジーラブロマンス映画。
     

  • うーん、みんなが良いって言うから期待度が高すぎて、好きだけどそんなに面白くはなかったなという感じ。いつも通りのギレルモさんでした。これで確信したけど、ギレルモさんは脚本が毎回あまりよくない。ダメ出しされてる方も大概はそこのとこみたい。ギレルモさんは自分の趣味的なことでしか映画作ってない。一番近いのはロバートロドリゲスだと思う。
    ただ、色んな監督の「成熟」という面だと(北野武の『アウトレイジ』や庵野秀明の『シンゴジラ』など)、この作品も当てはまるので、アカデミー作品賞はまあ納得かなと。『スリービルボード』の方が面白かったけど、ハリウッドはあれにはまだやらないと思う。

    アカデミー賞=面白い作品ではない、たまにちゃんと合致して面白い作品もあるけど、獲りやすい傾向の作品ってありますね。
    映画に関する映画とか、あとここ数年はマイノリティに関する映画。それと、これ言ったら身も蓋もないけど、年功序列で「こいつにそろそろあげてもいいだろう」ってあると思う。なので、その監督の面白い作品はちょい前ので、受賞した作品はそんなに面白くないことが多い。ギレルモさんだとやっぱ面白いのはパンラビとパシリムだなあ。

    いつものように全く情報を入れずに鑑賞。「彼」の腕だけチラッと写ってるスチルだけ見てたので悪い予感はしてたんだけど、『大アマゾンの半魚人』のリメイクじゃねえか!と笑。エイブじゃねえか!当然またダグジョーンズですね。
    『大アマゾンの半魚人』、観たことないけど知ってたのは『七年目の浮気』を観てたからです。ユニバーサルモンスターズのリブート、ダークユニバースシリーズあるのに大丈夫?と思ったら、ユニバーサルにリメイクを掛け合ったけど権利下りなかったみたいですね。たぶんダークユニバースがあるからだろうけど、ダークユニバースの方がコケて開店休業状態という皮肉。ギレルモさんに下ろしときゃ良かったのにねえw
    これパシリムも似た感じで、私の想像だけどハリウッド版エヴァの企画が進まなかったので、ギレルモ版のエヴァ対ゴジラを作ったんじゃないかなと思ってます。

    パシリムとの関係性で言うと、ゴジラオマージュがパシリムで、今回の『シェイプオブウォーター』はゴジラ以外の本多猪四郎作品が入ってると思う。変身人間シリーズとか『地球防衛軍』とか。ホフステトラー博士が平田昭彦っぽい。

    冒頭いきなり「ハンサムな王子の時代」とか言われて「んん?」ってなったけど、これは普通にケネディのことだと思う。カレンダーの曜日からも1962年って特定できるのだけど、13年前が釜山の戦いって1年ずれているのはミス?(余談ですが、あまりにみんなが良い良いって言うもんだから、キューバ危機の歴史改変ものになってって、「彼」との戦いで核戦争が起こったせいで冒頭の水没シーンにつながる…とか思ってたら全然違いましたねw)

    オクタヴィアスペンサーさんが『ヘルプ』『ドリーム』に引き続いてまた似たような役で出ている。マイケルシャノンもまた悪役で似たような役。典型的なサイコ野郎顔ですね。ふたりとも好きな俳優さん。

    ちょいちょい笑いがある点はよかったです。手話でFU○Kってやるのは私でもわかって面白いシーン。
    ギレルモさんがここまで社会派なメッセージを込めた作品を作るとは、と思ったけど彼はメキシコ人なのでやはり現政権にはそう思うよねと。メキシコ国境との壁の話は『マチェーテ』が名作だったけど、ロバートロドリゲスはメキシコ系で『ミミック』第2班監督してたりと、『アリータ』への布石が。

    ジャケは青いけど、中身の映像はグリーン。クロノスもパンラビも緑色の服着てるので、緑色が好きなんでしょうね。
    イライザの恋愛感情にしたがって、わかりやすくカチューシャやパンプスが赤くなる。逆にジャイルズの絵のケーキは、赤だったのに緑色にされる。
    これは同時に共産主義の赤の意味も若干あるのかなと。『ミツバチのささやき』の黒と同様。このへんもアカデミー賞を取った理由かと。

    最近けっこう注目してるのは、女性がセックスした後に「よかった♡」ってなるシーンがある映画。この映画でもあって、いやらしい意味ではなくハッピーな気分になれる。『恋人たちの予感』や『秋津温泉』、『ベティブルー』なんかにもあって、とても良かったです。

    エンドテロップのサンクス欄が、ギレルモさんの映画仲間、オタク仲間たちで楽しい。チャチャチャフィルムズのキュアロンとイニャリトゥ、ジェームズキャメロン、コーエン兄弟、エドガーライト…
    テロップにないけど先程書いたロバートロドリゲス、ピータージャクソン…と世界のオタクネットワークが素晴らしい。

    そしてスティーヴワン!!他の方のレビューで「真仮面ライダーに似てる」ってあったけど、竹谷&韮沢、そしてスティーヴワンって時代が昔ありましてね…この人も日本の特撮好きで『プレデター』や『ガイバー』やるんだけど。スクリーミングマッドジョージのお仲間で。
    「彼」はETと同じで神やキリストなんだけど、外見が気持ち悪いのは『幼年期の終り』と同じ意味合いだと思う。「もしも神様の外見が悪魔だったら?」ってやつです。

  • 序盤で早くもぐっと心をつかまれた。
    緑を基調としたカラーコントロール(ケーキまで緑!)もさることながら、部屋の壁紙や調度や小物がかわいいのだ!
    ゆで卵機。ポータブルレコードプレイヤー。
    そんな中で営まれる生活が、ミュージカル映画やテレビや音楽や絵画やに浸されながらも、几帳面に繰り返されている。
    代わり映えのない生活というと、えてして人は退屈だとか刺激がないというが、裏側からみれば丁寧な生活でもあるのだ。
    お風呂でオナニーし夢想することが日課であって何が悪い。

    ところで導入、水中でカメラがふわふわしていたが、現実を描き出してからもカメラはふわふわしている。
    つまり彼女は現実を通して夢想している人なのだ。
    このあたりの、現実忌避者/夢想家という紙一重の存在で思い出すのは「アメリ」だが、ただ家具調度といった見た目ではなく、スピリットも似ている。
    (好きなものを持つ者が、実は強いのだという卓見は「桐島、部活やめるってよ」でも描かれている)
    もちろん彼女が就いているのが掃除婦という「見えない仕事」であるのは示唆的で、現実/夢想の対比はそのままマイノリティの問題とも連結しているのだ。
    言葉を発せないのはただ身体上の特徴ではなく、話すことが許されていない当時の女性代表ともいえる。

    発端は、虐げられた者同士の出会った瞬間に感じる、友愛。
    小物として登場した卵が、異形の存在とのコミュニケーションに役立つあたり、気が利いている。
    彼の眼……瞼が上下ではなく左右に動くあたり、デル・トロらしい愛に満ち満ちたクリーチャー設計で、嬉しくなってしまう。
    幸せそうに彼女を見るのだ。話せない彼女を。手話やジェスチャーでなんとか意思疎通を図ろうとし、ある程度伝わっている様子。言葉が通じないからこそ。
    そんな魂の同胞が電気棒でむごたらしく躾けられたり(血の滲む皮膚!)、殺害計画が進んでいると聞き及んでは、もう居ても立っても居られない。
    「彼を助けられないなら私たちも人間じゃない!」と。

    このへんで色調が変わっているのに気付いた。
    インタビューにいわく、緑は現在(彼女と彼)。青は未来(ストリックランド)。オレンジは過去。そして暴力や喜びは赤。なのだとか。

    色彩と同時に彼女の世界に滲み入ってくるのは、他者だ。
    マチズモ全開のストリックランド。
    彼の造形が、ステレオタイプすれすれだが単純な悪と言い切れないところに、魅力がある。
    マチズモで他者を圧倒するが、そのマチズモに自ら首を締められている。
    わかりやすいくらい男根主義で他人を蔑ろにし暴力に傾き車や家やトロフィーワイフや子供を手に入れてもセックスのときには奥さんの口を閉めて喋らせない。
    喋れない掃除婦をセフレにしたいという、ひどい男だ。
    半魚人の彼に食いちぎられた指は、はっきりと男根の象徴。
    だから窮状進むにつれて腐ってくる。
    怒りに任せて指を千切るシーンは、凄まじい。

    他者2は、ストリックランド配下だが実はロシアのスパイのホフテストラー。
    冷徹ではないが、決して情に流されて現状を見失うわけでもない、なかなか微妙なニュアンスを、この映画に持ち込んでいる。

    さて、なんだかんだして彼を連れ出して、風呂場に匿う。
    この短期間ながらのイチャラブ生活も、大変多層的で奥深い。
    半魚人が猫を食ってしまい逃亡するのだが、逃げた先は同じ建物の1階の映画館なのだ!
    つらいときは映画館の暗がりに逃げ込む私たち自身じゃないか!分かり合える!
    このあたりで、他者3、画家の隣人ジャイルズの造形がぐっと深くなる。
    もともと彼女を励ます友人として、まずいパイやバイセクシャルや面白い場面が多かったけど。
    彼に頭を触られて、うわーそれは衛生的にどうかと思うよ、と眉をしかめ、しかしそのおかげでハゲに髪がちょっと生えてくる!
    このちょっとしたお笑いが、終盤に利いてくるのだ。

    そして、セックス。風呂場を密封して。
    1階劇場に水がぼたぼた落ちるくらい。
    窓の水滴が2つ重なる、というだけでなく、はっきりと性欲をもって交わるという事実を、誤魔化さず描く。
    ここにおいてもはや寓話ではなく、現実に踏み入ってくるのだ。
    (「美女と野獣」「人魚姫」の構図を逆にした映画、だけど、それらでは誤魔化された性をはっきりと描いた映画、でもある)
    だからここで生理的嫌悪感を覚える人がいるのは必然。
    毒は同時に味わい深い薬でもあるから。
    (少し話は逸れるが、結局彼女は彼をオナニー棒にしているだけじゃん、彼に主体性はないんじゃないか、文化の衝突っつったって猫食っちゃうくらいで、ひたすら被害者ぶるだけで、見た目長身でイケメンだから女にモテてというだけの話じゃん、という意見も、わからないでもない。が、周到に蒔かれた種のきめ細やかさを後で思い出すにつけ、そんなあらさがしなどどうでもよくなってくるのだ。)

    さて、彼女は雨の日を選んで桟橋に逃す、と決意する。
    もちろんつらい。
    だからテレビに入って、歌い、彼とともに踊る。
    モノクロになって。
    声が出ているわけだ。
    これが現実逃避ともいえるし強さであるともいえる場面で、甘美なだけでなく力強い。

    中盤から終盤に、凄まじい暴力が続くのも、デル・トロらしい。
    「パンズ・ラビリンス」で兵士が敵を撃って、倒れたところを足で押さえて2回、3回と打ち込むのを見て、震えたものだが、本作でもぎょっとするような銃撃場面がある。
    だが、彼は一度倒れ、蘇り(キリスト!)、彼女を抱えて海に飛び込み、治し、そのとき彼女の首には鰓ができて……と。
    夢想の向こう側へ行くという「パンズ・ラビリンス」の再話だ。
    ここ、単純に事実を描いているかどうかといわれれば、怪しい。
    導入と同じくジャイルズの語りで締めくくられるので、ひょっとするとジャイルズの願望や創作なのではというニュアンスが込められているので、厳然とした事実ではない別の切り口もあるという提示でもあるのだ。
    そしてまた個人的には、モンスターとして生き返った彼女が、ヒトとして彼と出会ったころを回想している=夢を見ているという解釈も、持っておきたい。
    ループものというほどかっちりしているわけではないが、夢の中で夢を見ているその夢の中でまた夢を、というボルヘス的なラストだと、思った。

    最後に、半魚人は何かといえば、アマゾンから来た異形の者。キリスト以前の神でもある。
    そしてまた、ハリウッドにメキシコからやってきたデル・トロ自身でもあるのだ。
    半魚人がマイノリティに寄り添うように、デル・トロもオタクに寄り添って、というかオタクである自身を恥じることなく堂々と、好きなものは好き、と公言してはばからない。
    蛸壺に閉じこもってぶつぶつ呟くのではなく、社会や時代も盛り込み、なおかつ、水=愛という人類史的記号を前面に出す、誰に出しても恥ずかしくない名作が、ついに出来上がったのだ。
    と、偉そうなまとめ方をしてしまったが、単純にグロテスクでかわいいものが好きなので、この世界観好き!

    番外編。シリーズ何を見ても何かを思い出す。
    ・緑および赤という色彩と水……ジャン=ピエール・ジュネ「ロストチルドレン」。
    (あ。「ヘル・ボーイ」のロン・パールマンは「ロストチルドレン」に出てるわ)
    ・家具調度およびキャラの滑稽さ……「アメリ」。
    ・唖者のサリー・ホーキンス……「レッド・ドラゴン」のエミリー・ワトソン。
    ・だんだん可愛くなっていく……「ロッキー」のエイドリアン。
    ・マイケル・シャノンのクレイジーさ……「レオン」のゲイリー・オールドマン、そしてもちろん「パンズ・ラビリンス」の義父。
    ・異形の生き物を海に還す(しかも全然別の場所に!)……「ドラえもんのび太の恐竜」のピー助。
    ・むしろ人類のほうがどうかしている……「E.T.」。
    ・公式いわく……うろおぼえだけど「美女と野獣」、未見だが「大アマゾンの半魚人」「半魚人の逆襲」。

  • 俺たちのギレルモ・デルトロが異種愛の入門編をこの世に残してくれた…。「形を変える水は愛を表すのに相応しい」と答えていたデルトロに涙した

  • THE SHAPE OF WATER
    2017年 アメリカ 124分
    監督:ギレルモ・デル・トロ
    出演:サリー・ホーキンス/マイケル・シャノン/リチャード・ジェンキンス/ダグ・ジョーンズ/マイケル・スタールバーグ/オクタヴィア・スペンサー
    http://www.foxmovies-jp.com/shapeofwater/movie/

    1962年アメリカ。「航空宇宙研究センター」で清掃員として働くイライザ(サリー・ホーキンス)は耳は聞こえるが喋ることができない。映画館の上のアパートで暮らし、親友は同じアパートに住む画家でゲイのジャイルズ(リチャード・ジェンキンス)と同僚の黒人女性ゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)。

    ある日研究センターに新しい研究対象とホフステトラー博士(マイケル・スタールバーグ)、警備の軍人ストリックランド(マイケル・シャノン)がやってくる。彼らの研究対象はアマゾンで発見され地元では神と崇められていた謎の半魚人(ダグ・ジョーンズ)。暴力的で威圧的なストリックランドの指を噛みちぎり理不尽な暴力に晒されるこの生物に同情と興味を覚えたイライザはこっそり彼と交流を試み、いつしか互いに心を通わせるように。しかし生物が解剖されることになり、イライザはなんとか彼を逃がそうと試みるが・・・。

    時代背景がはっきりしているにも関わらず、なぜかいつどこともしれないおとぎ話感。自分自身が生きていない時代の話だからかもしれないけれど、映画館やモノクロテレビから流れるミュージカルはノスタルジックだし、部屋のインテリアはレトロ可愛く、セットだけ見れば『アメリ』を見る気分と大差ない。米ソ冷戦時代という現実もありつつ、たとえば極秘機関の極秘研究のわりに警備態勢が杜撰なところなど、このおとぎ話的世界観のおかげでツッコミを入れる気がなくなるのは利点。

    障害を抱え、けして若くも美人でもないけれどチャーミングで少女っぽさのあるイライザは『ダンサーインザダーク』のビヨークの姿と何故か重なった。『モード・ルイス』も良かったけど、サリー・ホーキンスはこの手の役が本当に上手いですね。むくわれないゲイ画家、陽気で面倒見のよい黒人女性、オタク気質の博士、どっからみても悪役のマイケル・シャノン等、登場人物たちはある意味ステレオタイプともいえるけれど、そこいらへんも含めておとぎ話の安心感。とはいえエロも暴力もあり、そこがギレルモ・デル・トロとティム・バートンの決定的な違いかもしれない。シザーハンズは触れ合えないからこその崇高さだったけれど、こちらはなんと、ちゃんと性行為が可能なのだ!(びっくり)

    魚人を演じるダグ・ジョーンズは『パンズラビリンス』ではパン役を『クリムゾン・ピーク』でも幽霊の役をやっていたデル・トロ映画のクリーチャ―専門俳優(笑)この魚人、ビジュアルは仮面ライダーアマゾンをH・R・ギーガーがめっちゃリアルに描いたらこうなるかなという感じで、気持ち悪いと美しいの絶妙のバランス。魚人なのにどこか微妙にイケメンに見える不思議。南米になら本当にこういう生物いそうだし、原始的な神の姿はこういうものかもと思わされるリアリティもある。日本だったらこれ魚人じゃなくて河童かな~とかどうでもいいことを考えていたら、ふと大昔に見たカールスモーキー石井が監督した『ACRI』というトンデモ映画(浅野忠信が人魚と恋に落ちて人魚になっちゃうオチだったような)のことを思い出したりもしました(笑)

    ストリックランドはサディスティックで傲慢でものすご~くイヤなやつだけれど、彼は彼で頑張っても出世できない、上官の命令に逆らえない等、それなりに気の毒だなと思う側面もあり。お気に入りのキャデラック壊されたらやっぱり悔しいよね。でもまあ最期はやっぱりザマアミロと思ってしまうけど。そして全くの余談ながら数か月前まで「おっさんずラブ」というドラマに夢中だったせいで、ジャイルズがだんだん吉田鋼太郎に見えてきたり(笑)

    ラストはうん、これしかないだろうなと個人的には予想通りの終わり方。美女ではなくあえて不美人だけれどデル・トロ流の美女と野獣で異類婚姻譚。外見や種族の違いは障害にならないというファンタジー。そのロマンチックさよりもビジュアルだけでも個人的には十分満足。

    • 淳水堂さん
      こんばんは。
      ギンレイ二本とも気になりつつ、日程とれないので諦めていましたが、こちらのレビューで満足しました!
      いつも楽しいレビューあり...
      こんばんは。
      ギンレイ二本とも気になりつつ、日程とれないので諦めていましたが、こちらのレビューで満足しました!
      いつも楽しいレビューありがとうございますm(_ _)m
      2018/08/15
    • yamaitsuさん
      淳水堂さんこんにちは(^^)/

      私なんかのレビューで満足しちゃダメですよう!(>_<)
      こちらこそいつも楽しくレビュー読ませていただ...
      淳水堂さんこんにちは(^^)/

      私なんかのレビューで満足しちゃダメですよう!(>_<)
      こちらこそいつも楽しくレビュー読ませていただいてます!

      シェイプオブウォーター、あちこちで再映してたのですがギンレイでかかるまで我慢して待ってました(笑)お盆のせいか空いていて良かったです。

      先週までやってたグレイテストショーマンもとても見たかったのですけれど、平日から連日満席立見で諦めました・・・ヒット作上映ありがたい反面、混雑するのが辛いところです。
      2018/08/16
  • 俳優さんたちが地味なんだけどなかなか味があって楽しめるんだけど ファンタジーだからなのかちょっと感動できなかった。撃たれたのにいとも簡単に復活できるなんていかがなもんでしょう⁉︎ もうちょっとどうにかならない⁇

  • 宇宙人と聾女性との恋愛物語。二人を助ける同僚の黒人女性と同性愛者の絵描き。かたや仲を引き裂こうとする上司の白人男性。恋愛を謳いつつもマイノリティーが白人野郎と戦う二項対立の図式は現代アメリカを評した縮図か。と、率直な感想。

  • 町山智浩氏がギレルモ監督に聞いたところ、この映画は子どもの頃に観た『大アマゾンの半魚人』に影響された話(人間を好きになった半魚人は殺されてしまう)で、彼はその頃からずっと異種間の幸せな恋愛を夢想していたのだそうだ。もともと彼の映画にはモンスターに対する愛情が感じられるのでなるほど納得。主人公の女性が若くも美人でもなく、存在にリアリティがあるのがいい(オナニーまでしてしまうリアリティは人を選ぶだろうけれど)
    足を手に入れる代わりに口がきけなくなった人魚姫のお話のようにおとぎ話に落とし込んでいるけれど、実際は現代アメリカのマイノリティ差別を描いており、この辺の生々しさや、リアルな夫婦事情やセックスが描かれていたりとギレルモ監督らしい作品だ。評判がいいからと知らずに観ると拒否反応を示す人が出ても仕方がない。

  • 情報公開された頃からず~~~っと気になってた作品。人間と人外の絆というものにあまりにも弱くてな…
    ギレルモ監督作品ということで期待大だったので公開初日に朝一で観に行った。田舎なのに結構混んでた。
    そして今更ですがアカデミー作品賞&監督賞受賞おめでとう!(なんかもっと受賞してたような)
    観る人を選びそうな内容なので流石に作品賞は…と思ってたけどとても嬉しい。

    平和な世の中ではなくて何かしらの戦争や政治的な問題が絡んでいて、決して幸福とは言えない人々が登場するのがギレルモ監督らしいなぁと思う。
    「声を上げることができない人々」という意味を映画を観た後で実感できた時は鳥肌が立った。時代や国を考えたらそりゃそうだよね…

    R15指定なのはわかってたけどどの辺りが…って思いながら見始めたらいきなり序盤で中年女性の自慰行為を見せられたのはびっくりした。
    個人的にはすごく好きだし正直見たかったけど、イライザと半魚人の行為については人によっては無理だと感じるんじゃないだろうか。直接的なシーンを出さなかっただけマシなんだろうけど。

    最初のうちはイライザとジャイルズがパートナーなのかと思ってたけど中盤まで彼がゲイだと全然気づかなかった。一緒に観に行った母は何故かすぐ気づいたそうな。
    イライザと半魚人の出会い、よくある童話とかの美しいものではないけれど一目惚れってこういうことを言うのかなぁと思った。
    「彼はそのままの私を見てくれてる」というイライザの言葉、とても心に突き刺さる。これは普通の人間同士ではなかなか難しいことな気がするんだ…
    会話すればどうしても腹の内に抱えるものもあるし、伝えなくてもいいことを言ってしまったりするから、イライザと半魚人の関係ってある意味完成されていると思う。

    最初は怖い風貌だった半魚人がだんだんと可愛いと思えるようになるのは徐々にイライザに心を開いていくからなのかな。
    最早怪物って見てくれだけを指す言葉ではないよね。登場人物の誰が怪物かなんてそれこそ一目瞭然だけど、これは当事者にしか分からないんだと考えると少し悲しい。

    あと妙に突き刺さったのがゼルダと彼女の夫のやりとり。
    ストリックランドに追い詰められて、夫が口を割ってしまう。普段はゼルダの手伝いもしないしお礼も言わない典型的な亭主関白な夫がゼルダを助けた…ともとれるシーンだけど、何て余計なことを!と誰もが思う。
    「普段肝心なことは何も言わないくせにこういう時だけどうして口を挟むの」(うろ覚え)という言葉、もしかすると世の中の夫婦やカップルにも結構当てはまることなんじゃないだろうか…

    なんとなくイライザも半魚人も死んでしまうのかな…と映画を観る前は思っていた。
    水の中でやっと結ばれた演出がもう最高に美しい。イライザに元々あった首の傷、エラのように見えてたんだけど、半魚人による蘇生で本物のエラになったような気が…?
    半魚人がイライザの死体を持ち帰ったと解釈するも、半魚人によってイライザが生き返って水の中で呼吸できるようになって二人で暮らす、というのもいいと思う。
    どちらともとれるけどあくまでも種族の違う二人だからな…周りから見たら悲劇かもしれないけど二人にとってはハッピーエンドなので素敵なメリバ作品だと思う。

    私はすごく好きだけど人にはおすすめしにくいかもしれない。

  • 変わった作品でしたが結構楽しめました。
    主人公の周りにいる人達がいい人でそこも良かった。
    半魚人さんも最初気持ち悪いんだけど、段々見てると慣れてくる。
    ちょっと家族と観ると気まずいシーンが冒頭からあるので一人で観るのがいいですね(笑)

  • 出てくるのは、半魚人、聾唖者、ゲイと、マイノリティばかり。そんな彼らが迫害に屈せず、生きづらい世の中をサバイブしようとする物語(自分はそう解釈しました)。

    「ヘルボーイ」で似たようなキャラクターが出てましたが、あの半魚人の造形は最高です。そういうギレルモ・デル・トロの特異な作家性が全開になっているにも関わらず、アカデミー賞という結果を出したところが本作のすごいところですね。

    ちなみにラストシーンは「スプラッシュ」に似ているなと思いました。

  • あ~パンズラビリンスを撮った監督だ~というのがよくわかる映画。鑑賞後の気分もパンズラビリンスを見たあとと似ている…こっちはまあ良い終わり方なんだけどそれでもやっぱり手放しにハッピーエンドと言えるかといえば微妙なところだし、本当に大人向けのダークなおとぎ話という感じ。ヒロインの首の傷はどう解釈するのが正しいのか悩む。半魚人とまったく無関係というよりは子どものころに接触があってつけられたとか実は血を引いてるとかそういうのなのかな~。
    それにしても初見では気持ち悪いと思った半魚人が段々かっこよく見えたのが不思議だった……。

  • 凝りに凝られた、どことなく異次元感漂うセットが素晴らしい。物語の内容も相俟って、浮世離れしたお伽話のような作品です。
    個人的に気になったのは、主人公に無理やり迫ろうとする軍人、ストリックランド。だってイケメンだから…違います、そういう話じゃないです。
    この作品は、主人公側の登場人物が薄給の労働者、同性愛者、黒人…と、アメリカに於ける社会的弱者です。対して彼等が歯向かう軍人は金持ちの白人、かつサディスティックな差別主義者と、最初はステレオタイプの悪役だなと思ったのですが…。
    彼も頑張ってるんですよね、「まとも」で居るために。
    家庭を維持し、啓発書を読み、高級車だからって理由で車を選び、夫としての義務を果たそうとする。何が良いのか解らないけど、皆がそれが良いと思うから選ぶ。とりあえず人に見下されたくはないから、努力しなければならないと思う。
    私は半魚人を救い出せるタイプではないので、寧ろ彼に感情移入してこの物語を追いました。後半彼の指が腐り落ちていく度、当然の報いだと思いながらも辛かったです。
    そんな「まとも」だった彼が辿り着いた結末は、一番残酷な刑罰のようにも、或いは解放への切符のようにも思えました。
    監督はどちらを意図したのだろう。最近はぼうっとそれについて考えながら過ごしています。
    久しぶりにこんな長々と感想を書こうと思える映画に出会えました。とても面白かったです。

  • 「浮力」

    醤油や塩や辛味とか
    刺激的な要素が詰まってる
    何故だか全体にまろやかな何かに包まれているように感じます
    まるで重力を感じさせないかのような
    人が人たるが故にその浮力は無くなり深く沈む
    飛び越えればどこまでも自由に漂うことが出来るのかも

  • 水が綺麗。
    話すことのできない主人公と半魚人が恋に落ちるというお話。
    やっぱモンスターが人間に心を開いていくのは胸熱で、言葉が通じない種族の壁を超えるためにジェスチャーなどでコミュニケーションが取れていく様もかわいらしい。
    ここは喋れないイライザだからこそ、言葉に頼って根性でコミュニケーションをとるという手段がそもそもなかったからこそうまくいったのかなと。
    でもそのあと体の関係になるとは誰が想像しただろうか(笑)
    ユニットバスの部屋の水を貯めて半魚人とイライザと水で溶けあうかのように抱きあうのだけど、私は便器の水も交じりあってるよ~~;;ってことをずっと心配してたけど、愛し合う二人の間にそんな問題は些細すぎることだったんだろうな…。
    半魚人を助けたいことを同居人?お隣さん?のゲイの芸術家に伝える時に「彼(半魚人)は本当の私を見てくれていたの」といった旨の台詞が印象的。
    しゃべれないイライザだからこそ、今までたくさん誤解されたりとか、本心にないことを思っているフリをしなきゃいけなかったり、思っていないフリをしなきゃいけない場面がいっぱいあって、そうやって取り繕った自分を評価されてきたのかなと。
    ゼルダは話せないイライザと対等にコミュニケーションをとってくれていたけど、世の中そんな人ばっかりじゃないだろうからジェスチャーをしている最中に話を切られたりとかして、コミュニケーションに疲れて愛想笑いせざるを得なくなった相手なんていっぱいいるんだろうな。
    イライザも半魚人も「言葉」という手段はないけど、この映画のテーマに「コミュニケーション」がある気がした。
    逆に話すことのできるゼルダ夫婦は、旦那さんがゼルダを守るためにイライザの居場所をリークしてしまうシーンがあった。
    ここは逆に言葉のせいでゼルダ夫婦がぶつかり合ってたんだけど対比なのかな?
    口は災いの門、ゼルダも「なんで肝心な時は黙ってていらん時に口出しするの!」といった感じに怒っていたし…。

    最後の解釈は、半魚人がイライザの死体を連れて帰っちゃったに一票。
    半魚人として再生っていう解釈も十分できる演出ではあったけど、海の奥底で朽ちるイライザの肉体とともに静かに生きてほしいなって。

  •  ユナイテッドシネマにて。字幕版。
     【パンズ・ラビリンス】のネタバレもしちゃうので注意を。

     あの敬愛するギジェルモ・デル・トロ監督の作品ということでR-15はなぜだろう?とハテナを浮かべながらも(珍しく)ネタバレを観ずに鑑賞。
     半魚人だかと声を発することのできない女性とのラヴストーリーと言うからワクワクしていたら、若干のポルノ要素に少しげっそりしてしまったのは内緒。急だったもので。
     絵は美しい。現実をメインに据えているので、【パンズ・ラビリンス】ほど華美ではなく、【パシフィック・リム】ほどガヤガヤしていないのですが、時折映る、イライザとアセットとの逢瀬だとか、水の中の状態だとか、そういったものが美しい。
     ていうか、これ、【ドリーム】と同じ場所を撮影場所にしていたんでしょうか。なんかすごい既視感があって。ソ連との宇宙に行くなんだかんだって言ってたし。っていうかゼルダって【ドリーム】に出てた人ですよね。

     登場人物めも
     アセット……半魚人
     イライザ……発音することが出来ないヒロイン
     ジャイルズ……イライザの隣人で画家
     ゼルダ……イライザの同僚でおしゃべりさん
     ホフステトラー……アセットを気にかける博士
     ストリックランド……悪役

     ストーリーについて。
     声を発することのできないイライザは研究センターで掃除婦として働いています。同僚のゼルダはとてもおしゃべり。
     ゼルダのおしゃべりを聞きながらひたすらに黙々と掃除をするイライザは、ある日、研究施設に運ばれてきた半魚人みたいな存在、アセットを知ることになります。
     卵を差し入れたり、レコードを持ってきて一緒に聞いたり……徐々にお互いの距離感を詰めていくイライザとアセットですが、指を食い千切られたストリックランドはアセットのことが許せず、ソ連より先に宇宙に行くためにあの半魚人を解剖すべきだ!と元帥に詰め寄り、アセットを殺そうとします。
     それに気づいたホフステトラー博士とイライザはアセットを救うべく奔走、無事にアセットをイライザの住居にかくまいます。
     そしてイライザとアセットはお互いを想い合い、セックスし、このままずっと一緒に居たいと思うものの、イライザはアセットが衰弱しているために海に出て広い世界で生きるべきだとも思い、大雨で桟橋から海に向かって水が流れ出すと同時にアセットを流す算段を練ります。
     そしてようやく決行という日、ストリックランドにアセットの居場所がバレてしまい、慌ててジャイルズとともに桟橋に向かうイライザとアセット。
     さあ逃げるのだとアセットを押し出すのですが、アセットは向かおうとしません。わたしとあなたは一緒、と手話を送り、イライザに愛を伝えようとします。
     そしてその時、ストリックランドの銃弾が二人を襲います。
     まずアセットが倒れ、次にイライザの腹部にも銃弾が。
     ごとりと倒れ臥す二人。
     ジャイルズがストリックランドを木材で殴りつけ、イライザに駆け寄りますが、彼女はぴくりとも動きません。
     と、アセットがむくりと起き出し、肩払いを一つすると、銃弾の跡がすっかり消えてしまいました。
     慌てて銃弾を詰め始めるストリックランドですが、銃弾を詰める前にアセットの爪により喉をかき切られ、崩れ落ちます。
     アセットはイライザを抱き抱えると桟橋へと飛び込み姿を消しました。
     水中では、血が流れ出ているイライザの周りをアセットがぐるぐる回り、イライザの幼い頃に受けた首元の傷跡をそっと撫で上げ、口づけを落とすと、傷跡が魚のえらのようにパクパクと動き出し、イライザが目を覚まします。
     ーーそう、ジャイルズの怪我を治した時のように、イライザの怪我を治癒し、水中で生きられるようにしたのです。
     二人はきっと幸せに暮らしたはずだ、とジャイルズの独白で物語は締めくくられます。

     イライザについて。
     毎朝ソロ活動するのはなんでだろう?と、少しハテナ。そんなにしたいお年頃? 女性にもそういう欲求はある、っていうのは分かるんですが。
     純粋というわけではない、というのは、なんとなく思っていましたけど、手話でストリックランドに侮蔑の言葉を吐き出した部分で、あー、この人は、わたしには無理だ、と思いました。
     あるサイトのレビューで、「手話が分からないストリックランドに対してのこの仕打ちは、外国語で侮蔑されニヤニヤされているのと同じ」とあって、それだ!と。
     どんなセリフを吐いたから知らないからこその吐露。それは、ずるいというか、バカにしているというか。たとえばこれが、死にかけていてファック、とかならまだしも。元帥からけしかけられ、手段も選ばずに必死になっている(というのもなんだか変な話ですが)ストリックランドに対して、ねえ。
     純粋であれ、とは思わないですが、意地の悪い感じで少しショックでした。
     とあるレビューサイトで、「生まれた時捨てられていたとあったけど、半魚人に付けられた傷だったんじゃ? 彼女にも半魚人の血が流れてるのかな?」というコメントがあって、半魚人の血が流れているから致せたのかな?とぼんやり。

     アセットについて。
     ホフステトラー博士が、蛋白質も必要だ、って話した時点で、ヒトでも食っちゃうかなと思ったら猫さん食った。卵を食べたシーンが挟まれてなかったので、おなか空いてるんじゃないのかな、博士が蛋白質も必要だからね!って話してたのにごはんをあげてないけど大丈夫?と心配してたら……。
     アセットは、原住民に崇め奉られていたわけですし、一応、やっちゃいけないこととか、なんとなくわかってるんじゃないかなあ、と。映画を観たから設定なのか、映画館のシーンが挟まれたあと、ジャイルズの頭を撫でて自分の頭も撫でさせて、とか、ヒトの心が少しはわかるよボク、みたいな雰囲気に、ふふってなりましたw

     ジャイルズについて。
     わたしはてっきり、他人との距離がつかめない、友達を探している画家だと思っていたのですが、ゲイの設定だったんですね。
     ダイナーに勤める若いバイトくん?に、貴様とは話がもうできない、気味が悪い、と追い出されて、イライザに済まないと謝り、手伝いを申し出るジャイルズを見て、本当に承認欲求に飢えているのだなと……思っていたのです。
     誰かに認めてもらいたくて、元同僚の会社へと駆け込み、仕事を売る。誰かに認めてもらいたくて、ダイナーのバイトくんに顔を覚えてもらい話ができる友達となってもらいたくて通い詰める。だと、思っていたのですが。
     まあ、ゲイ設定だからなんだって話なんですが。距離感が掴めず、少し褒められただけで手を握るっていう、パーソナルスペースをガン無視で近づいたために追っ払われただけで、その矛先が愛情でも友情でもだからなんだ?っていう。愛情なら同性愛が受け付けない人もいるのだし、もっと距離を詰めてから近づくべきであったし、友情なら友人同士でもいきなり手を握り合うなんてしないのだから(あっでも海外だから友人同士でもいきなり手を握り合ったりするのか?)もっと距離を詰めるべきだった。それだけのお話。
     猫が食い殺された際、
    「彼の本能だから仕方ない」
    とアセットをかばったジャイルズは、死にそうな目に遭いながらもイライザを助けることも含め、なんだかんだ、良い人なんだと思いました。
     普通、よくわからない怪物が自分のペットだかを食い殺したら、こいつはやっぱり化け物なんだ!って追い出すと思うんですよ。でも、イライザに、彼を追いかけなさい、という辺り、良い人なのだと。

     ホフステトラー博士について。
     おっまえ最後! いい人だけど最後!
     バラしてんじゃねえよ! 嘲り笑ってざまあみろ、まではいいけど、バラしてんじゃねえって!
     おかげでイライザとアセットとゼルダは大変な目に遭ったんだけど!?
     しかも死にましたよね。絶対。最後、出てきませんでしたし。ていうか腹部にばっくり穴が空いてたし頰かどこか弾が貫いていたし。

     悪役、ストリックランドについて。
     彼の奥様のほうが力が強いんじゃないんかな。軍人の娘で、とか。キャデラックが良いわね、って、胸を触らせてセックスに至るまでの間、手を怪我しているとは言え、奥様主導な訳ですよ。
     昔なら、なんていうか、貞淑だとかなんとかいって、女性からセックスのお誘いとか、言語道断!っていうか。男性が、俺がしたいから来い!みたいな、そんな感じでしょ。
     だから、野心に燃えるのも、奥様の地位より上に行きたくて、そのために色々頑張って元帥に取り入ろうとしているんじゃないかと。
     しかし上手いこと行かず、精神薬みたいなのをバリバリし始め、指が腐っているのに付けっ放しにしている時点で、もうこの人病んでますよ。においだってヤバいでしょう。気づいて病院にでも通うもんですよ。でも彼はただビタミン剤なのか精神薬なのか分からないけどバリバリモグモグしているだけ。だめだこの人なんとかしないと。
     道中、イライザを口説いたのは、自分でも地面に叩きつけられる弱い存在だと思ったからじゃ、と思っているのですが、どうなんでしょう。
     上に書いたように、奥様のほうが多分強く、自分が勝った気にならないから、言葉を喋る事が出来ず黙々と掃除をこなす彼女なら、自分でも組み伏せることができる、優越感を持てる、と。

     ラスト。なんですが。
     【パンズ・ラビリンス】みたいだな、って。
     とどのつまり、最後、海へと繋がる桟橋へと、アセットと共に沈んでいったわけですが、実際、ジャイルズとゼルダは、イライザが伏して動かなくなったところまでしか見ていないのです。
     勿論、布石はありました。中盤、ジャイルズの怪我を治したところ。でもあれは怪我を治し、撃たれた弾を何処かへと消し去っただけで、息をしていない存在を復活させたわけではないのです。
     【パンズ・ラビリンス】では、オフェリアは実際死んでしまって、でも弟をかばって死んだから最後、それを(ある意味でオフェリアにとっては本物である)父や母から褒められ、幕は閉じる。オフェリアの空想だとも、王女であることが事実だとも、どちらとも取れる終わり方でした。オフェリアの待遇から、王女であることがとても望ましいしそうあってほしいと願うばかりですが。(空想の果て、母を喪い自分も死ぬ、なんて、とても哀しい。弟は守れたけれど。だったら、試練を乗り越え、王たちの元へと戻れた、が一番いい)
     ですから、同じく、イライザは死んでしまって、アセットはその死体を抱きしめて遠くへ、……という終わりであってもおかしくはないのです。
     でも、できたら、そうではなく、アセットの力によって息を吹き返し、二人一緒に末永く暮らした、が良い……なあ……。

     ていうか疑問なんですが、なんで今回、セックス描写が二度も三度も挟み込まれたのか……。
     ひ、必要……?
     毎朝のオナニー描写って、必要……?
     そういう欲望もある、っていうのを示した状態で、恋をしたからセックスにいたったんです、ということかなぁ。
     ルーティンを回すだけの日々ということを示すにしろ、毎日オナニーしなきゃいけないヒトがいるわけじゃないしなあ、と。あぁでも男性は毎日しちゃうんでしたっけ。男性も女性も同じだよ、ってことを言いたかったんでしょうか。
     でも、そうしたら、ルーティンだから、という点でオナニーの部分は理解できるとして、ストリックランドと奥様のセックスシーンは不必要じゃないかなあ……?

    めも 参考にした感想サイトさん
    https://eigakaita.com/drama/the-shape-of-water-2017/
    https://filmarks.com/movies/73566/spoiler

  • かなり好みでした。
    純愛過ぎない、ダークファンタジー。
    流血展開に昔話を思わせられて良かったです。
    命を失ってから蘇って、ふたりは幸せに暮らしましたとさ…きっと。
    めでたしめでたし。良いものを観た、としみじみしています。

    仕事は上手くいかないけど優しい隣人にも、自分ばかり喋りたいからくっついてるのかな…と思ってたけどちゃんと主人公のこと思ってくれてる同僚にも、埋められない部分はある。
    全体的に色合いが緑系だったイライザ、恋してたら堂々としてきたし赤を纏い始めるのも素敵でした。美人には入らないかもしれないけど、サリー・ホーキンスさん美しかったです。

    絵に描いたようなアメリカ人の警備主任が家族に苛ついて車に避難してきたシーン、とりあえず場所移動しただけよね?家族消してないよね…?と心配になりました。
    失敗しないようにしてるからそれはないか…イライザが襲われなくて良かった。

    力を合わせて研究所脱出シーンよかった!
    スパイな博士、良い人だった…他のシーンだけど、シャツをズボンに入れてるのかなこれ、と思ったらズボン履く暇もありませんでした。靴下留め!

    極秘生物の“彼”だけでなく、人種や性別、障害など、自分は違う……がこれでもかと描かれていたけど、飛び越えられるんだなぁと。
    このレベルのインパクトだから、飛び越えられるのかもですが。現実はすんなりとはいかなそう。
    猫が!となりますが、隣人が「無理だ!あいつは俺らと違うんだ!!」って激昂してもおかしくないような場面で「彼の本能だから仕方ない」と言ってて凄いな…と思いました。
    自分たちとは違う、という事でも、こう描けるのか。動物のやったことだから…みたいなことなのかも。。

    イライザのお部屋や、街並み、皆さんのファッションのレトロさも好きでした。
    調和〜卵茹でてたべよ。

    桟橋の上に立ち尽くして、隣人と同僚が水面を眺めてたの切なかった。かぐや姫の翁と媼みたい。
    幸せな水中との対比でした。

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著者プロフィール

映画監督・脚本家・小説家。
1964年10月9日生まれ。メキシコ出身。
劇場長編監督デビュー『クロノス』(92)が各国の賞で高く評価され、97年の『ミミック』でハリウッド・デビューを果たした。『デビルズ・バックボーン』(01)、『ブレイド2』(02)を経て、念願だったマイク・ミニョーラの人気アメコミの映画化『ヘルボーイ』(04)を実現。映画はヒットを記録し、続編『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』(08)はスタジオをユニバーサルに移して製作。その間にスペインで製作した『パンズ・ラビリンス』(06)は、アカデミー賞脚本賞にノミネートされたほか、カンヌ国際映画祭など各国で高い評価を受けて気鋭の監督として国際的に広く認知されるように。07年にはペドロ・アルモドバルらとメキシコで製作会社「チャチャチャ(Cha-Cha-Cha)」を設立。『ロード・オブ・ザ・リング』の前日談にあたる大作『ホビット』シリーズでは脚本を手掛けた。10年『パシフィック・リム』で、久々に監督に復帰。14年にはチャック・ホーガンとの共著で発表した初の小説「ストレイン」シリーズ(09年)のテレビドラマ化が実現。本作に続き、今後は『Pinocchio』『ヘルボーイ3』『パシフィック・リム2』などの話題作が予定されている。

「2016年 『ギレルモ・デル・トロ クリムゾン・ピーク アート・オブ・ダークネス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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