ラピスラズリ (ちくま文庫) [Kindle]

  • 筑摩書房 (2012年1月10日発売)
3.42
  • (2)
  • (4)
  • (4)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 126
感想 : 11
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・電子書籍 (196ページ)

みんなの感想まとめ

美しい言葉で描かれた幻想的な世界が広がる作品は、連作短編として三枚の絵画を基にした物語が展開されます。各話は緩やかに繋がりながらも、捉えどころのない雰囲気が漂い、読者は物語の中で迷子になりがちです。し...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 美しい言葉で、幻想的な世界を物語るものがたり。いわゆる幻想小説というジャンルに分類されている作品で、一言一言に言葉以上の意味を込めているかのような丹念さを感じた。その分、ものがたりの中に入っていくことに集中しなければ途端に迷子になるような心もとなさもある。三枚の絵画から話は始まり、連作する短編はそれぞれの絵画に対応した物語となっている。各話がゆるく繋がり、しかし霞のような捉え所の無さから「明確な解釈」を阻まれているようでもあった。全体を纏う希死念慮にも似た頽廃的な空気と、反して「繋がり」「目覚める」ことを希求する"物語の構造"は相反しているように見えて実はそうではない。ことはむしろ逆で、「終わる」ことと「始まる」ことが美しく結びついている情景を描くことで「生」というテーマが浮かび上がってくるようだった。世界が寂しくなっていく光景と、再生することで世界が輝きだす光景は、私たちが一年という月日に対して感じるそれと似ている。

  • 『銅板』
    『閑日』
    『竈の秋』
    『トビアス』
    『青金石』

  • 不思議な小説だった
    時間も場所も、ふわりふわりと行ったり来たりするから頭の中もふわふわしてしまって
    物語の世界に取り込まれるような感覚に陥る

    冬寝室で冬を眠って過ごし、春を迎える
    題材としてとても魅力的
    時間をおいてまた読みたい

  • 〇白河夜船
    〇「冬を避けているのではないのか」 「違う。ただ知らないだけ」 「どうするのだ、これから」 「眠くなったら、また眠ると思う」  小娘はふたたび微笑した。「それまでは起きていたい。できる限りのことを知りたいし、覚えていたい。何もかも」
    〇春が来たらいっしょにもっと遠くへ行こうね
    〇わが上に翻したる旗は愛なりき
    黄色のハイライト | 位置: 2,213
    〇その歯痒さを宥めようなどと けっしてしない ものこそ、優れたフィクションなのです。

  • ※この本は途中で挫折しました


    大変個性的な文体。
    文章は一貫して長々しく、長短の変化がないせいか韻を踏んでいるのかすらわからない。
    視点役の主人公の観察眼は鋭いが、その描写は細かいを通り越して執拗。どこか病的にすら感じる。印象としては重箱の隅をつついてくる目上のおばさん。
    主人公が女性であること、そして謎めいた絵画の話から始まるので、作品にあった文体ではある。

    だが文体の件を横に置いても、オチのないふわっとした終わり方が自分にはどうにも合わず、表紙を閉じた。

  • 冬眠者が出てくる連作集。文章自体は読みやすいが、登場人物と物語の流れを掴みにくい。久しぶりに感想を述べることも難しいくらい難解な小説だと感じた。しかし、最後になって表題のラピスラズリの意味がわかって腑に落ちる。もう一度読み返すべきだと思うが、またの機会にしよう…

  • 駅の停車場近くにある深夜のギャラリーに飾られている不穏な版画から、ヨーロッパの城に住まう「冬眠者」たちの物語が幕を開ける。冬眠中は年をとらないためにいつまでも若く見える城の主たちと人形、彼らに仕える召使たちが入り混じり、さらには、城に住まうゴーストたちと、枯葉の中に埋められて生きながら朽ちたかつての城の主たち…まるで一本の映画を観ているかのような不穏さと劇的な展開に魅了される。

  • 幻想的な小説。冬眠する者がいる世界。そして冬眠者を世話する召使たち。いつの日か、両者が交代する日が来るようだ。

  • p.2020/7/27

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

山尾 悠子(やまお・ゆうこ):岡山市生まれ、小説家。同志社大学文学部国文学科卒業。1975年、「仮面舞踏会」(「SFマガジン」早川書房)でデビュー。2018年、『飛ぶ孔雀』で泉鏡花文学賞、日本SF大賞、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。小説に『ラピスラズリ』、『増補 夢の遠近法』、『歪み真珠』、『山の人魚と虚ろの王』、『仮面物語 或は鏡の王国の記』、『初夏ものがたり』(酒井駒子と共著)、エッセイ集『迷宮遊覧飛行』、歌集『角砂糖の日』など。

「2026年 『山尾悠子偏愛アンソロジー 構造と美文』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山尾悠子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×