「若者」をやめて、「大人」を始める 「成熟困難時代」をどう生きるか? [Kindle]

  • イースト・プレス (2018年2月15日発売)
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みんなの感想まとめ

生きる意味や幸不幸が個人の枠を超えていた時代と、現代の「成熟困難」な状況を対比しながら、大人になることの本質を探求しています。著者は、外的な要因が大人としての自分を形成し、成熟とは単に年齢を重ねること...

感想・レビュー・書評

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  • 熊代さんには勝手に親近感が湧いている。世代は自分より少し上の方なのだけれど、学歴社会にもまれてきたことや、読書好き(ラノベ中心で私とは違うが)や、ゲーム好きであること、ニコニコ動画などのSNS黎明期のサブカルチャーにも触れていたことなどだ。


    そんな熊代さんの本書のタイトルで私は射貫かれてしまった。帯には、「気が付いたらもう”いい歳”。立派な「大人」になれた実感、ありますか?」とある。うーむ、常日頃私が思っていることだ。
    そう、本書は、20歳以上40歳以下の「若者」に向けて書かれた人生論なのである。


    確かに時代背景として、「大人」になった実感を持ちづらい世の中ではある。都市部や田舎では程度の差こそあれ、世代間交流が貴重になった世の中で、社会から<大人強制装置>が失われていることも多い。
    要は、(前々から薄々気づいていたけれど)「大人」を引き受ける立場が争奪戦になっているのである。


    メディアのイメージ操作で、憧れや理想が「若者」であり続けてきたことも指摘されている。若者は理想を追う者だ。ただ最近の意識調査によると、下の世代では「大人」になることに意識的なのだそう。昭和レトロブームも関係しているのかもしれない。


    重要な指摘としてアイデンティティが確立していない人のほうが、概して「否定に打たれ弱い」ということである。
    なかなかドスッとくることも書いている。
    <何も備えず「若者」気取りで生きてきた人には、不意打ちのようなかたちでおじさんおばさんとしての人生が立ち上がってくる>、
    <何者にもなれなかった中年が爆誕する>という話などは焦りはないが耳が痛い。

    否定的であったり、批判的であることを受け入れにくい人は私の周囲にも一定数いて、本人は自覚していないかもしれないけれど、こういう理由からなのかなと思ったりもした。もちろん自分自身にもその面はあるけれど。


    「大人」を始める心構えとして、<自分にとってベターなアイデンティティを探している最中の人間にとって最適な生き方と、すでにアイデンティティができあがってしまっている人間にとって最適な生き方はイコールではない>と認識しておくことが重要なポイントであると挙げている。
    それを踏まえたうえで配慮することが大事、ということ。


    またエリクソンの「成熟の課題」に、大人へのシフトチェンジの方法として、「世話をすること」とあり、これもポイントとして説明している。私も最近甥っ子ができて、色々なことで機会あるたびにシフトチェンジするかもなと感じる日々。
    恋愛や結婚についても章立てして、しっかり書かれていて気づきがあった。


    ラスト章は、やはりオタクやサブカルチャーの「趣味」とどう付き合っていくかについて。やっぱり落とし所はそこなんだよなあと思った。


    どれだけ息巻いていても歳は取るから、衰えは必ずやってくる。
    その時に「若者」を引きずったおじさんおばさんになることは結構恐ろしいことなのではないか。

    東浩紀さんも『訂正する力』で似たようなことを論じていたかと思うけど、大人になることはそんなに悪いことではない、というものだったと思う。

    成熟困難時代をどう生きていくか。これでいいのだ、となるか、これがいいのだとなるか。それが問題だ。

  • “イエや一族郎党、地域社会といった単位が健在だった頃は、生きる意味も、幸不幸も、歴史も、とても個人単位で考えられるものではありませんでした。たとえ自分自身が他人から称えられる生き方をしていなくても、イエや一族郎党や地域社会の繁栄がその人個人にとっても有意味でしたし、その逆もまた然りでした。”

  • 未成熟化、あるいは表題の「成熟困難」な時代というレンズの配置は前半部では、観念的ながら深みのある問題のように感じられたものの、終始ジェネラルな年長者の説教といった感も否めない。
    筆者の個人的経験や、精神科医としての体験談などには目を見張るものがあるのだが。

  • 本の主旨はともかく中年のオタク生活脱落問題の話は面白かった。嗜好や環境の変化で楽しめなくなったらやめていいし、ぬるオタを無闇に軽蔑すべきでない。自分が選んで来たものを大切に、結果を受け入れて生きるのは大事ね

  •  図書館を散策中に目が合ったので、借りて自宅で読了。
     アイデンティティが確立せず様々なものに目移りするが、それだけのエネルギーがある「若者」と、アイデンティティが確立して「不惑」になった「大人」について著者の考えがまとめられている。
     中身を読んでみると、どうも40歳前後の読者を想定しているようであった。しかし、それよりも年齢が低くてもこれから自分にも訪れるであろう心身や環境の変化をプリインストールできる本だと感じた。
     個人的に面白いと感じたのが、現代は若者である期間を延長しやすい時代であり、それは「まだ何にでもなれる(=アイデンティティの不確立)」という感覚を(年齢的には40代やそれ以上であっても)得やすいという意見。
    確かに、今はSNSが普及しているため中高年であってもインフルエンサーとして再出発したり、そうでなくても転職などで「今とは違う自分」を目指せる環境にある。そのような環境は素晴らしいと思っていたが、このような影響もあるのだと目から鱗が落ちる気持ちだった。
     それと、年を取ると趣味に注ぎ込むエネルギーが減少していくという話も現実味があった。書籍の中では著者のゲーマー・オタクとしての衰えの体感が記されていた。私も、思いっきりプログラミングが出来る期間はそう長くはないのかもしれないことを実感したため、それが出来るうちにこれまで以上にプログラミングに勤しみたいと考える。

  • 2022/07/30 Kindle

  • 大人 になるとは、外因的なものによることが大きいこと。ある意味、形式や振る舞いから大人らしい何かになっていくこと。それは寂しいことでも、辛いことでもなく、自分が着実に積み重ねてきたもの。
    結婚と恋愛の違いとか、30歳が近くなってきた自分たちにとっては、刺さるものがあった。
    若者の恋愛は失敗をしたっていい。恋愛はそれでいいけど、ただ、結婚はカッコいいとか、ロマンティックだとかは置いておいて、背中を預けられる人としたほうがいい。
    胸が苦しくなるような、ときめきが止まらないような、そんな恋愛の感情は、すっかり遠のいてしまったように思うけど、それは大人になったからなのだと、少し恥ずかしくも嬉しく受け入れようと思った。

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著者プロフィール

1975 年生まれ。信州大学医学部卒業。精神科医。地域精神医療に従事する傍ら、ブ
ログ『シロクマの屑籠』にて現代人の社会適応やサブカルチャー領域について発信
している。
著書『ロスジェネ心理学』(花伝社)、『「いいね!」時代の繋がり』(エレファントブッ
クス新書)、『「若作りうつ」社会』(講談社現代新書)

「2014年 『融解するオタク・サブカル・ヤンキー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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