平家物語 池澤夏樹=個人編集 日本文学全集 [Kindle]

  • 河出書房新社 (2016年12月9日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • まだ25%しか読んでないけど、期待以上に良い。勢いで読んだらもったいないから、少しずつ読むつもり。
    男も女もよく泣くし、天皇や上皇は自分についても敬語を使うのが楽しいし、寺の僧たちは昇進に執着して何かというと武器をとって攻撃する等全然宗教者らしくないし。この時代の知識が全くないから、面白い。

    読了。ことごとく滅んでいく平家の一族達。戦いで討ち取られる者、もうこれまでと入水する者、捉えられて処刑される者。たまたま平家として産まれたからこその運命が空しい。それは源氏とても同じ。何よりびっくりしたのは巻末の平家の家系図。大河ドラマで頼朝を支えてきた坂東武者たちは、みんな平氏だったのね!北条時政が平清盛と遠く繋がってたのは知らなかった。

  • 6/7

  • 800年前に書かれた、琵琶法師の語りで伝えられた物語を、42歳になってやっと読了した。
    あとがきや解説も含めて900ページ超えの「黄色い鈍器」のようなこの本、一体いつ読み終えることになるのだろうと思いながら、1ページ目、訳者古川日出男の前語り。
    「私は、平家が語り物だったという一点に賭けた。
    その時代、琵琶法師たちがこの物語を語り広めていたのだ、という史実に、賭けた。
    つまり読者とは聴衆だったのだ。
    そして、だとしたら-誰が今、この時代に語るのだ?
    その妥当性を、何者(たち)が持つのだ?」

    ここを読んで、スッと入っていけた。私は聴衆である。書かれたものを読むのではなく、聞くのだ。

    それに足りる古川日出男のリズミカルな文体。改行、倒置、句読点、繰り返しを駆使した、耳と目から入るような文体、見事としか言えない。読んでいて気持ちが良くて、こんなに古い物語なのに、全く新しい読書体験だった。

    素晴らしいアニメ化作品と並行して読んでいたことも大きい。最後、「灌頂の巻」で語られる建礼門院が身を寄せる寂光院とその周りの風景描写の美しさと哀しさが、アニメでもしっかり描かれていて、より一層涙が溢れた。
    祈りの物語として私は読んだ、聞いた。
    訳者、古川は、供養の意味合いを込めて、原稿は全て手書きしたという。原稿用紙1800枚の、祈りの歌だった。

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著者プロフィール

1966年生まれ。著作に『13』『沈黙』『アビシニアン』『アラビアの夜の種族』『中国行きのスロウ・ボートRMX』『サウンドトラック』『ボディ・アンド・ソウル』『gift』『ベルカ、吠えないのか?』『LOVE』『ロックンロール七部作』『ルート350』『僕たちは歩かない』『サマーバケーションEP』『ハル、ハル、ハル』『ゴッドスター』『聖家族』『MUSIC』『4444』『ノン+フィクション』『TYOゴシック』。対談集に『フルカワヒデオスピークス!』。CD作品にフルカワヒデオプラス『MUSIC:無謀の季節』the coffee group『ワンコインからワンドリップ』がある。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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