十五の夏 下 (幻冬舎単行本) [Kindle]

  • 幻冬舎 (2018年3月28日発売)
4.00
  • (3)
  • (7)
  • (0)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 33
感想 : 4
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・電子書籍

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  濃密な上下巻だった。Kindleで読んだのだが、紙だとかなりのページ数だろう。15歳の夏の経験でこれだけのことを書けてしまう。そのことだけ見ても、その後の人生も濃いものになるということが予想できる。
     著者の文章はドライなのでスルスルと読めてしまう。自伝ではあるが小説ではない。エンタメの書き方はしていない。なのに惹きつけられて何冊も読んでしまうのは、文章の奥から感じる熱量だ。文体よりも著者の見たことに対してどう思ったのかを知りたくなる。
     この本を読んで、旅行気分を味わうのもいいだろうが、それはまやかしだ。やはり実際にその地に行かなければ何も分かりはしないんだろうなと思う。だけど今26歳になる私が外国に行ったとして、ここまでしっかりと旅が出来るのだろうか。著者の発言はかなり大人びていて間違いがない。距離を保った人格者の話し方だ。
     下巻はソ連ゆえか大人しくて閉鎖的だ。佐藤少年はソ連に対して、日本での書物のイメージとは違って良いと思う。この事から一番学んだのは、やはり偏見を持って見てはいけないという事だ。旅の中では、実際に見ても偏見から駄目に見えてしまう老教授もいた。フラットな視線を持ち続けたいと思う。

  • 東欧~ソ連を巡る壮大な旅の後編。
    ソ連と一口にいっても本当に広大で、モスクワと中央アジアではまるで文化が違う。
    上下刊通じて訴えかけてくるのは「本当のことは自分の目で確かめなければわからない」ということ。
    そして下巻になり度々顔を出すテーマは「その人の価値観により同じ事象でも受け取りかたがまるで違う」ということ。
    異なる表現でいうと「偏見」の存在である。

    佐藤氏の経験や考え方自体、いわゆる平均的な日本人のものからは距離をおいたものであるが
    であるがゆえに当たり前だと思っている価値観への疑問を抱くきっかけを与えてくれる。

    ペンフレンドや現地の若者と交流がありエモーショナルだった上巻と比べ淡々と進むため(ソ連の閉鎖性ゆえしかたのないことと思う)、単純に読み物としての面白さは上下ほどではない。

    が、十五歳の少年の実体験を通して往時の社会主義国家をみつめるーということは読書だからこそなしえる経験であり、多くの人がこの上下巻を手に取り、そしてなにかをかんじてほしい。

  • ソ連に入国後、モスクワではモスクワ放送局を訪問するなど、なかなか興味深い旅となっている。かつての趣味としてBCLをやっていたことなども語られており自分の若い頃を少し思い出した。
    その後、中央アジアの都市を旅し、船で横浜へと帰国する。
    15歳の若者が個人で一人旅をしていることがおそらく影響しているのだろうが、概ね旅先で出会う人々は親切であったようだ。
    佐藤少年は、夏休み明けの数学の試験が相当重荷だったようで、上下巻を通じて同じ事が何度も語られる。

    1975年頃の東欧からソ連を旅するので、それぞれの国の状況がとても興味深く面白かったのだが、この旅が著者のその後の人生に大きな影響を与えたことがよくわかる。

  • 「先生と私」で浦和高校に合格した佐藤優さん、高校1年生の夏休みに、東欧〜ソ連ひとり旅に!冷戦の70年代に15歳でだもんねぇ。送り出した両親もまたすばらしい。深夜特急のような感覚でグイグイ引き込まれて、久々に読み終えちゃうのがもったいないなぁと感じられた1冊。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤優の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×