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Amazon.co.jp ・電子書籍 (248ページ)
感想・レビュー・書評
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Kindle版が激安セールされていたので(1巻無料、2~7巻までが99円)、全7巻を一気読みしてみた。
1990年代初頭に『週刊現代』で連載されていたころ、ときどき断片的に読んだことがあるが、全編読むのは初めて。
先ごろ亡くなった劇画原作の巨匠・小池一夫は、幅広いジャンルの作品を遺したが、やはり真骨頂は時代劇画にある。
駄作も少なくないが、『子連れ狼』『半蔵の門』『首斬り朝』などはマンガ史に残る傑作といえよう。
この『片恋さぶろう』も、それらの代表作と肩を並べる傑作だと思った。
徳川家康の遺命により、孫娘・和子姫を守り抜く役割を託された腕利きの武士・片乞三郎。
和子は、近く皇后となって入内することが決まっている。が、徳川家の者が入内することに反対する公家勢力が、和子を亡き者にしようと次々と刺客を送ってくる。それらの刺客たちと三郎の壮絶な戦いと、和子と三郎の絆を描く物語である。
和子と三郎は、互いを深く想い合っている。しかし、その想いはけっして報われることはなく、表に出すことすら許されない。ゆえに「片恋さぶろう」なのだ。
本作は何より、切ない「秘めたる恋」の物語として秀逸だ。
また、刺客たちとの戦いにそれぞれ凝った趣向がなされており、娯楽的なアクション時代劇としても一級品である。
幕府と朝廷の暗闘を描いた時代劇画としては、古山寛原作・谷口ジロー画の『柳生秘帖――風の抄』という傑作があるが、本作もそれに勝るとも劣らない。
松森正の絵も、緻密・端正でじつに素晴らしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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