片恋さぶろう1 (マンガの金字塔) [Kindle]

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  • グループ・ゼロ (1992年4月1日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • Kindle版が激安セールされていたので(1巻無料、2~7巻までが99円)、全7巻を一気読みしてみた。

    1990年代初頭に『週刊現代』で連載されていたころ、ときどき断片的に読んだことがあるが、全編読むのは初めて。

    先ごろ亡くなった劇画原作の巨匠・小池一夫は、幅広いジャンルの作品を遺したが、やはり真骨頂は時代劇画にある。
    駄作も少なくないが、『子連れ狼』『半蔵の門』『首斬り朝』などはマンガ史に残る傑作といえよう。
    この『片恋さぶろう』も、それらの代表作と肩を並べる傑作だと思った。

    徳川家康の遺命により、孫娘・和子姫を守り抜く役割を託された腕利きの武士・片乞三郎。

    和子は、近く皇后となって入内することが決まっている。が、徳川家の者が入内することに反対する公家勢力が、和子を亡き者にしようと次々と刺客を送ってくる。それらの刺客たちと三郎の壮絶な戦いと、和子と三郎の絆を描く物語である。

    和子と三郎は、互いを深く想い合っている。しかし、その想いはけっして報われることはなく、表に出すことすら許されない。ゆえに「片恋さぶろう」なのだ。

    本作は何より、切ない「秘めたる恋」の物語として秀逸だ。
    また、刺客たちとの戦いにそれぞれ凝った趣向がなされており、娯楽的なアクション時代劇としても一級品である。

    幕府と朝廷の暗闘を描いた時代劇画としては、古山寛原作・谷口ジロー画の『柳生秘帖――風の抄』という傑作があるが、本作もそれに勝るとも劣らない。

    松森正の絵も、緻密・端正でじつに素晴らしい。

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