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感想・レビュー・書評
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ちょっと、主人公は自己憐憫が過ぎる気もするが、作者がテーマとしたいことは書ききっている気がする。
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平井和正の訃報に接して、本棚の奥から『サイボーグ・ブルース』(角川文庫)を引っ張り出してきて再読。
少年時代に何度となく読み返した、大好きな小説。平井和正といえば、「ウルフガイ・シリーズ」や『幻魔大戦』がよく知られているだろうが、私にとっては断じて『サイボーグ・ブルース』だ。
Kindleで新装版が200円という激安価格で売っていたので、それもポチった。
平井が原作を書いたマンガ『エイトマン』への、「鎮魂歌」として書かれたという作品。エイトマンはサイボーグ刑事であったが(※)、この『サイボーグ・ブルース』もサイボーグ特捜官が主人公である。
※「8番目の刑事はスーパーロボット」というキャッチフレーズのとおり、『エイトマン』では「サイボーグ」という言葉は使われていない。しかし、「殉職した刑事の人格と記憶がロボットに移植された」という設定なので、ロボットというよりサイボーグである。
《僕はこの連作長編において、マンガのフレームと商業主義的センセーショナリズムから解放されたエイトマンの実像をえがきたかった(早川書房版『サイボーグ・ブルース』のあとがき「エイトマンへの鎮魂歌」より)》
ゴッサム・シティのような腐敗しきった未来都市が舞台。悪徳警官と犯罪シンジケートの罠にはまって射殺された黒人警官が、サイボーグ特捜官として蘇る物語だ(途中で特捜官を辞め、私立探偵になる)。
最初に本として刊行されたのは、1971年。いま読み返してみると、ずっとあとに登場した『ブレードランナー』のような雰囲気がある。ハリウッドで映画化したら面白いと思う(もっとも、『エイトマン』と本作が『ロボコップ』の元ネタだとも言われているようだが……)。
ハードボイルドSF小説の先駆にして金字塔であり、2015年のいま読んでも、古臭さはほとんど感じない。
平井和正には、こういう小説をもっとたくさん書いてほしかったなあ。
ほかの作品では、やはりハードボイルドSFの範疇に入る『メガロポリスの虎』や『死霊狩り(ゾンビー・ハンター)』が好きだった。
『死霊狩り』は、『エイトマン』と同じく桑田次郎とコンビを組んだマンガ『デスハンター』のノベライズ。
一時期はいちばん好きな作家だった平井和正だが、『幻魔大戦』の途中で「これはもうついていけない」とさじを投げ、ファンをやめた。宗教団体「GLA」にのめり込んでからの彼は、それ以前とは別の作家になってしまったのである。
『幻魔大戦』は、第7巻くらいまでガマンして読んだだろうか。私同様、あの作品で「ファンをやめた」人は多いことだろう。
ただし、長編小説化される前の、最初のマンガ版『幻魔大戦』(石森章太郎との共作)は、いま読んでも名作だと思う。
ともあれ、一時期熱心に読んだ作家の訃報は寂しい。ご冥福をお祈りします。
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