ユダヤ人の子供たちが、フランスからスイスへ逃避行。ナチスドイツから逃れて。
話はこれだけだが、そのシンプルさが潔い。(地理感覚があれば(調べれば)もっといいのだろう。)
大人というには無力な13歳の少女が、まだ分別がつくかつかないかの年下たちを連れて、汽車、バス、馬車、歩き、走る。
その途中で大人たちのサポートがあったり、頼っても垂れ込まれたり、あえて見過ごしてくれたり。
こういう話にありがちな大人=悪ではなく、大人=迷う人、という描き方が、またよい。
それを「子供の視点」で描いているから、さらによい。
というのも、手引きしてくれる大人やお兄さんの、行動は見えても思慮が見えなかったり、見えていないあいだ彼らがどうしているのかが全然わからないから、不安が引き立つのだ。
子供たちは国や政治やを語ったりはしない、ときどき「ユダヤ人だから捕まるんなら、ユダヤ人をやめたらいいじゃない」「ユダヤ人はやめられないんだよ」とか、農夫に助けを求めるときに「私はユダヤ人です」と告白するなど、ドキッとさせられる言葉が。本質的だと思う。
とはいえ暗くはない、まったく。
道中子供たちが「うんちコアラ」とふざけたり、ごっこ遊びをしたりするのが、もう楽しげで、瑞々しくて。
このあたり「この世界の片隅に」と通じている。
人物を整理すると、
臙脂色の服のファニー。
ファニーより年上の結構なボイン、とその妹。
あみあみ服のメガネくん(のび太くん、というか「ナディア」のジャン)。
子供は合計9人。
養護施設のマダム・フォーマン。
料理番のお兄さんエリー。彼がどうして抜け駆けしたのか、汽車のトイレ?からファニーに託した手紙が、素晴らしい小道具になる。
他、列車を開けたおじさんや、農場のおじさんや、ドイツ兵など大人たち。
原作はファニー・ベン=アミの自伝小説。翻訳が岩波書店から児童文学ふうに出版されている。
ローラ・ドワイヨン監督は、「ポネット」のジャック・ドワイヨンの娘なんだとか。
へーと思ってつらつら調べていたら、なんと!
ローラ・ドワイヨンは4回結婚、1回目の結婚で生まれたのがローラ・ドワイヨン、2回目の結婚は相手はジェーン・バーキンなのだ! その娘がルー・ドワイヨン(大学のころに見た1987「カンフー・マスター!」の子役)。
このルー・ドワイヨンから見ると、父がジャック、母がジェーン、異父姉がシャルロット・ゲンズブール、異母姉がローラ、と。
こんなつながりがあったとは。