お茶漬の味 デジタル修復版 [Blu-ray]

監督 : 小津安二郎 
出演 : 佐分利信  木暮實千代 
  • 松竹
3.25
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Amazon.co.jp ・映画 / ISBN・EAN: 4988105105508

感想・レビュー・書評

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  • 以前、廉価版のDVDを購入したまま、観るのを失念していた作品… 先日、嫁さんが思い出して取り出してきてくれたので、一緒に観ました。

    -----story-------------
    「小津安二郎」が「野田高梧」とともに書いた脚本を監督した作品。
    生まれも育ちも価値観も異なる夫婦が、そのギャップに悩みつつ、和解するまでを描く。
    野球、パチンコ、とんかつ、ラーメンなど、昭和20年代当時の風俗をふんだんに盛り込んでいるのも特徴。

    田舎出身の「佐竹茂吉」は、社長の親友の娘で上流階級育ちの「妙子」と結婚した。
    「妙子」は一等車での旅行や野球観戦などで遊び回り、「茂吉」は「妙子」の嫌いなタバコ「朝日」を吸い、出かけるときは三等車に乗り、酔って帰ってはお茶漬けを食べていた。
    「茂吉」と「妙子」の溝は深まるばかり。
    「妙子」が同級生の住む神戸へ旅行している間に、「茂吉」の海外出張が決まり、「妙子」に連絡がつかないまま「茂吉」は日本を発ってしまう。
    -----------------------

    「小津安二郎」作品は、かなり観ている方だと思いますが、本作品は観たことがなかったのでDVDを買ったんですよね、、、

    ちょっとした価値観の違いや、思い違いの積み重ね… 生まれや育ちが異なる二人が一緒に生活するんだから、必ず生じることですよね、現在にも共通するテーマを扱った作品でしたね。


    「妙子」が「佐竹茂吉」と結婚してからもう七、八年になる… 信州の田舎出身の「茂吉」と上流階級の洗練された雰囲気で育った「妙子」は、初めから生活態度や趣味の点でぴったりしないまま今日に至り、そうした生活の所在なさがそろそろ耐えられなくなっていた、、、

    「妙子」は学校時代の友達、「雨宮アヤ」や「黒田高子」、長兄の娘「節子」などと、「茂吉」に内緒で修善寺などへ出かけて遊ぶことで、何となく鬱憤を晴らしていた… 「茂吉」はそんな妻の遊びにも一向に無関心な顔をして、相変わらず「妙子」の嫌いな「朝日」を吸い、三等車に乗り、ご飯にお汁をかけて食べるような習慣を改めようとはしなかった。

    たまたま「節子」が見合いの席から逃げ出したことを「妙子」が叱った時、無理に結婚させても自分たちのような夫婦がもう一組できるだけだ、と言った「茂吉」の言葉が、大いに「妙子」の心を傷つけた… それ以来「妙子」は口も利かず、「茂吉」が何か言いたげな態度を見せてもとりつく島もない、、、

    そのあげく「妙子」は「茂吉」に無断で神戸の同窓生の所へ遊びに行ってしまった… その留守に「茂吉」は、「妙子」に言いだせずにいたウルグアイでの海外勤務が飛行機の都合で急に決まり、電報を打っても「妙子」が帰ってこないまま、知人に送られて発ってしまった。

    その後で「妙子」は家に帰ってきたが、「茂吉」のいない家が彼女には初めて虚しく思われた… しかしその夜更け、思いがけなく「茂吉」が帰ってきた、、、

    飛行機がエンジントラブルで途中から引き返し、出発が翌朝に延びたというのであった… お茶漬が食べたいと言う「茂吉」のために、二人で夜更けた台所に立って準備をし、体裁もなくお茶漬を食べた。

    夫婦とはお茶漬なのだという「茂吉」の言葉に、「妙子」は初めて夫婦というものの味をかみしめるのだった。


    「茂吉」に感情移入しながら観ました、、、

    二人で食べるお茶漬け、美味しそうでしたね… こんな些細なことがきっかけで、二人の生活の素晴らしさに気付けたんですねー 良かった。



    -----staff/cast-------------
    監督:小津安二郎
    製作:山本武
    脚本:野田高梧
       小津安二郎
    撮影:厚田雄春
    美術:浜田辰雄
    衣裳:斎藤耐三
    編集:浜村義康
    音楽:斎藤一郎
    出演:
     佐分利信 佐竹茂吉
     木暮実千代 妙子
     鶴田浩二 岡田登
     笠智衆 平山定郎
     淡島千景 雨宮アヤ
     津島恵子 山内節子
     三宅邦子 山内千鶴
     柳永二郎 山内直亮
     十朱久雄 雨宮京一郎
     望月優子 平山しげ
     設楽幸嗣 山内幸二
     小園蓉子 女中ふみ
     志賀直津子 西銀座の女
     石川欣一 大川社長
     上原葉子 黒田高子
     美山悦子 女店員
     日夏紀子 女店員
     北原三枝 女給
     山本多美 女中よね
     山田英子 給仕
     谷崎純 爺や
     長谷部朋香 見合いの相手
     藤丘昇一 事務員
     長尾敏之助 社長秘書

  • エリートサラリーマンとして働く田舎出身の夫を小馬鹿にしながら悠々と女子会開いている妻…
    はじめろくでもないと思ったが、ちゃんと最後は改心するし、中だるみせず面白い映画だった。

    男も女も至るところでタバコを吸ったり、競輪や、ピンボールのようなパチンコの様子が当時を色濃く映していて興味深い。
    よく家に遊びに来る姪が、見合い結婚なんて嫌!と突っぱねるところは時代の変化が伺える描写だ。

    彼女はオバを反面教師に、結婚したって絶対に夫の悪口は言わないし、そんな人とそもそも結婚しないからお見合いはしたくないのだという。
    見合い会場から逃げてきた姪をなりゆきで夫は庇うが、結局妻にバレてしまう。
    女の人生はそういうものだし諦めろと言わんばかりに見合いを迫る妻に対して、夫は「嫌だってものを無理に結婚させたって、君と僕みたいな夫婦がもう一組できるだけじゃないか」と正論パンチを見舞ってしまう。
    それまで夫を「鈍感さん」呼ばわりで軽視していた妻だが、実際に本人から冷え切った夫婦関係を指摘されると、かなりの傷を負ったようだ。
    それ以来夫とは口を利かず、友に愚痴るも共感してもらえないどころか、自分の方が我儘だと言われてしまう。
    妻はとうとう家出のように旅行へ出かけてしまうが、夫が突然海外赴任をしてしまうことをきっかけに改心する。

    最後のお茶漬けのシーンはとても胸が温かくなり涙がこぼれた。
    飯をすする音を毛嫌いしていた妻が、一緒にお茶漬けを食べる。大きな変化だ。
    謝罪を言い募る妻に対して、「いいんだよ、もういいよ。わかってくれりゃ有り難いんだ」と応える夫の懐が深すぎる。
    妻が今までのツンギレ行為を詫びて改心した部分はもちろんだが、そこに至る前の二人の所作が非常に良かったので書き散らす。

    夫の出発に立ち会わず、遅れて帰宅し寂しげにしていた妻が、飛行機の故障で夜中に帰宅した夫と再会し、「おかえんなさい、ウルグアイへいらっしゃるんですって?」と言った時の表情。ちょっと泣きそうなのに、声はいつも通り強がった調子のアンバランスさが脆さを感じさせる。その後の会話から素直に甘えた声色になっていくのが上手い。相変わらず「言ってくださればよかったのに」と強情なところは変わらないので笑ってしまう。
    疲れた夫は眠気よりも腹が減ったと言い、同じく空腹の妻と連れ立って台所に行くのだが、普段は女中に任せきりだから、どこに何があるのか二人は知らない。楽しげに視線を交わす様子から、夜中の冒険のような、ちょっとしたワクワク感が伝わってくる。
    きっとこれが初めての夫婦共同作業だろうけど、息はピッタリ合っている。
    女中が起きないように、冷蔵庫や糠床、ガラス戸を閉める時に音を立てないよう始終丁寧な動作が印象的。
    糠床から丸い物体を取り出し、「なんだろ」と無邪気な笑顔を向けてくる妻が少女のようで可愛らしい。
    夫は気遣いの描写が妻より目立っていた気がする。糠を水で洗い落とす時に蛇口を開けてやり、袂が濡れないように持ってやったり。夫が山盛りに装った茶碗を妻へ差し出す時、一瞬彼女をチラリと見て、量を減らして渡すのだ。

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著者プロフィール

日本の映画監督(1903~1963)。日本映画を代表する監督の一人。サイレント映画時代から戦後までの約35年にわたるキャリアの中で、原節子主演の『晩春』(1949年)、『麦秋』(1951年)、『東京物語』(1953年)など54本の作品を監督した。ロー・ポジションによる撮影や厳密な構図などが特徴的な「小津調」と呼ばれる独特の映像世界で知られる。親子関係や家族の解体をテーマとする作品を撮り続けた。黒澤明や溝口健二と並んで国際的に高く評価されている。

「2024年 『小津安二郎発言クロニクル 1903~1963』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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