本書の翻訳タイトルに含まれている「特殊部隊」は、本書には登場しない。おそらくは空挺隊員を指しているのだろうが、特殊部隊という字面から想像してしまうような存在は本書には一切あらわれない。奇襲や暗殺は「特殊」に相当するかもしれないが、作戦の結果で示されるのみで、特定の部隊の行動としては描写されていない。まあまあなタイトル詐欺。
ともあれ。恐ろしく強固な祖国愛をもった、屍山血河を築くことを厭わぬ兵士たちの、数次に渡る(攻性)防衛戦争の実録である。
読みにくい。
理由は大別してふたつ。原文由来と思えるもの。訳によるもの。
創作ならセンテンス内で登場して落命し以後登場しない人物の名をいちいち記すことは稀であろう。不必要な情報で読者を悩ませないためにも。
墓碑に刻むがごとく、落命した兵士たちの名が少なからず文中に記されている。これを読みにくいとただ判じて良いものか。文章ではただ一度きりだが、確かに存在した人生は軽々しくは扱ってよいものではない。そのようなことを思いもしたが、ページが進むにつれそのような記述は減っていったために、最終的には読みにくいレトリックと見なすことにした。
訳者は軍事に疎いのか、適当な訳語を選択できていないように感じられる。それが独特の読みにくさとなって発露している。
今まさに進行中の問題がどのように発生し、エスカレートしていったのか。なぜ終わらないのか。
あとがきには、イスラエル軍が宗教色を強めてしまっている現状も語られている。それが真実ならば、なまなかなことでは終わるまい。