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感想・レビュー・書評
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日本は不思議な国で、
学校教育で宗教を教えることは、あまりしない。
一種タブー化している。
また、宗教に対して、複雑な感情を持っている。
学校教育に、戦前国家神道を組み込んで、
その結果、大失敗したと思っているからだ。
ただ、宗教と教育というのは、
切っても切り離せないモノだということを、
学んでいない。というか、意図的にやっている。
ここら辺が、現在の日本の教育の
「根本的なちぐはぐさ」を生んでいるかもしれない。もちろん私も小室直樹も、今こそ戦前の国家神道を教えよ!とは一欠片も思っていない。
少なくない日本人は、宗教なんて、よくわからない。宗教なんて、恐ろしい。
それが「普通」だと思っている。
宗教は個人に規範と道徳を与えるが、
多くの日本人にはそんなものはない。
小室氏は、それをアノミー、無連帯と呼び、
戦後、日本人が、バラバラになった有様の病巣を、
そこに求めている。
個人、個人が繋がりたくても、その手段が、
多くの日本人にはない。
ただ、「バカ騒ぎする」ことだけが、繋がれる道具だと思っている。
じゃあ、「宗教」を持てばいいかというと、問題はそれほど単純じゃない、
日本人は、みな「日本教」の信徒であるからだ。
これが一種、より深刻な問題として、日本人にのしかかっている。
じゃあ、いったい日本人は、何を基準に行動しているかというと、
明確なものはない。
日本人の若い人が、世界的に見て、
異常な不安を抱えているのは、誰でも知っているが、
その原因にあるものが、
行動規範というものが、日本にはないからだ。
何が良くて、悪いのか、そんな当たり前なことも、
多くの日本人からすれば、「わからない」のである。
これは、考えてみれば、非常に恐ろしい。
もっと恐ろしいのは、
何が良いのか、悪いのか、その時の「空気」で決める。
日本型の集団犯罪の動機を見ると、個人の動機が見えにくい場合が多々ある。
その時、その場のノリでヤリマシタという場合がかなり多い。
この意味で言えば、誰だって、犯罪者になりえる。
「あの人もやっていたから、私もやりました」
「あの空気に逆らえず、ずるずると、やってしまいました」
空気が日本を支配し、日本人は、空気を読むことを、24時間行わないといけない。
山本氏は、日本人は皆、空気を読むことを根本教義とする「日本教」の信徒という。
つまり、「空気」を読めることが、日本人の日本人たるゆえんで、
読めない人は、日本人とは言えなくなる。
その空気を読むことを、コミュニケーション能力と言い、
その能力の高い低いが、学校や企業の集団、組織で「うまくやる」、
最も重要な能力の一つとなっている。また、日本における就職も、
専門知識を重視されるわけでなく、組織、集団の中でのコミットメントを、
重視される。
当たり前だが、集団や組織を活性化・発展させる上で、
集団や組織が目指す「目的」は非常に大事になる。
その目的は、広い意味で、集団や組織を形成する個人へ「利益」として、
還元されるべきものだろう。
しかし、日本では個人の「利益」よりも大事なのは、
「空気」を読むことで、個人の利益よりも、
集団、組織の維持を「目的」としている所に、
数々の悲劇の種が隠されている。
少なくない人が、日本社会に違和感を持つときに、
この「空気」を読むことへの嫌悪感を持つ。
なぜなら、それは、全く論理的ではないからだ。
合理的な思考をしていれば、少なくない人が疑問を持つ。
日本での人間関係は常に緊張状態を強いられ、
多くの理不尽を生んでいる。
緊張したくなければ、徹底的に空気を読んで、
組織、集団に染まらなければいけない。
個人の意見や論理的整合性は、あまり必要とされていない。
あくまでも、個人に求められるのは、組織・集団を維持する
ための「空気を読む」能力である。
今、日本を滅ぼそうとしているのは、
この日本教かもしれない。
日本は、歴史上、外部からの圧力によって変化したが、
変化の仕方は、全く変わらず、その時の「空気」によるものだった。
現在、起こっている社会的変化は、
おそらは、多くの日本人を破滅と導くだろう。
その兆候は、噴出している。その問題を外に求めるのは、
やはり、日本人らしい行動様式かもしれない。
先の大戦で、空気を多分に読んだ国民は、合理的な行動をして、
結果、世界の文脈では、破滅的な不合理な行動をした。
そして、取り返しのつかない犠牲を生んだ。
戦後も、その’文脈と根本的には変わっていない。
今も、その時の空気と同じことが日本で発生している。
ばつが悪いのは、国民自身が、率先して、空気を読んで、
破滅に行こうとしていることだ。
これだけ、クレージーな国は、
世界にはあまりないだろうと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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