半分生きて、半分死んでいる (PHP新書) [Kindle]

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  • PHP研究所 (2018年2月15日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • 2015年~2017年に月刊誌『Voice』に掲載されたエッセーを収録。2018年2月刊行。

    著者の文章、すっかり枯れているのかな。自ら「興味の範囲が狭くなり、関心をもつ話題が減った。関心自体も強くない。」と書いているように、物事への執着がなくなり達観した、ということもあるだろうが、何より、枝葉のない枯れ木のような文章だと感じた。枝葉がないから所々飛躍していて、行間に隠れた著者の思考についていけないところがある。

    内容で面白かったのは、人間はとかく一般化して物事を型にはめたがる、その手の方が楽だから、という指摘。ただしそのツケは必ず回ってくるという。「教育であり、地方であり、生物多様性と自然の保全である。どれも本質的には一般化ができない。きちんと考えようとすると、事情がさまざまだからじつに面倒くさい。面倒くさいから放り出す。それより全体を通じる原則で動くほうがいい。それが合理性、効率性、経済性である」という。なるほど。

    デジタル社会の生き難さを評して「生きているってどういうことかといえば、本当はゼロと一の間。ゼロと一の間には無限の数が詰まっているが、現代人はそんなことは考えない。ゼロか一か、どっちかに決まっているじゃないか。それでお終い。これでやっていくから、どんどんゼロと一の間が消える」というのも、共感できた。

    暴言、失言としてネットを炎上させる著名人の言動について、「しゃべって消えるならいいのだが、ネット上には「残ってしまう」のである。 いまでは人々は、残ったもののほうが本当だと信じている。それを「情報」と呼んでいる。でも残ったものは、いうなれば具体的なものが捨てられたあとの残渣ではないのか。」という指摘、思わず頷いた。マスコミは、これを知っていながら敢えて、面白おかしく、過激に取り上げているよな。

  • 養老孟司先生の、エッジの効いた本


    この本を読んでいると、自分が世の中に飲み込まれて生きていることを痛感させられる。

    そういう見方ができる!

    本質はきっと、こうなんだろうな!

    そう思わされる言葉がが散りばめられている。


    自然は騙せないと思う。

  • この本は語りおろしではなく、養老氏自身の文章で書かれているように思った。硬いようで、どこかすっとぼけたおかしさを感じる。冗談だか、皮肉だか、どこまで真面目にいっているんだろうと思いながら読んでいると、ときに鋭く「おまえの考えはどうなんだ?」と問い返されるような、目が覚めるような気がするところが出てくるんだよね。

    養老氏が禁煙の風潮に怒りを感じているのは、あちこちで感じるところ。

    「私は禁煙主義者で、ゆえに日に数十回、禁煙している。タバコを止める快感というのがあって、それに引きずられてしまうらしい。」

     禁煙なんか簡単だ。私は何十回もやっているといったのはタシカ、マーク・トウェインだったと思うけど、それもひょっとしたら養老氏の本で知ったのかもしれない。


     学校の先生方の集まりがあって、講演を依頼された。当日、控室で講演時間を一人で待っていたら、若い先生が来て言われた。

    「先生、間もなくお迎えが参ります」。

     まあ、私は間もなく八十歳だから、お迎えが来るのはわかっている。そりゃわかっていますが、突然いま阿弥陀様にお迎えに来られても、ちょっと困りますなあ。正確にいえば、私は困らないけど、あなた方がお困りになるのでは?  今日の私の講演時間をどう消化するんですかね。

    というくだり。たまたま電車で読んでいたんだけど、読んで吹いてしまった。笑いをこらえるのがつらかった。こういう話って、なんで吹いちゃうんだろうね。

    少し前に買って読み始め、そのときはなんとなく読み進められず、積ん読に。ふと思い立って、ページを開いたら、今度は楽しく最後までほぼ一気に読んだ。やっぱり本っていうのは、読むタイミングというのがあるね。

  • P43
    人間の作ったものに
    興味はない

    P44
    自然を感性で捉えれば風流になり、
    理性で捉えれば学問になる

    P44
    認識は内容ではない。行為である。
    もっというなら生き方である。
    世界をどう見るか
    それで生き方が違ってくる

    P80
    すでに定められた予定とは
    すなわち現在である

    P81
    過去と未来は意味が内容があるが
    現在が過去と未来を切断する時点だとすると
    時の一瞬でしかないから
    そんなものには実は内容がない。
    それなら(現在は)「ない」と同じである

    P95
    結婚相手の現物なんて
    ノイズだらけで
    情報処理が困難である

    P95
    現物は、不潔、猥雑、訳がわからない

    P141
    意識という働きは
    意識とは別のものが管理している

    P143
    情報化社会とは
    要するにすべてが意識化される社会である

    P144
    「生きていればあとは死ぬだけ」
    因果関係なんてそれで十分ではないか

    P163
    抽象的なものを考えるのは
    面白くない。
    結局具体的なもので人は生きる

    P163
    この世での要件は
    あらかた済んでしまった

    P180
    お金は抽象

    P187
    お金は単に使う権利だから
    それ自体は何も生み出さない

    P212
    就職とは既成の社会組織に
    組み込まれること

    P212
    現代社会から「外れている」人に
    注目する

    P216
    現代の問題は
    一般論としての人生と
    個々の人生の乖離である

    P218
    人の性質の多くをノイズと見なし、
    そうでない部分を情報として処理する。
    そういう世界に現実の人間としての
    未来はない

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著者プロフィール

養老 孟司(ようろう・たけし):1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士(解剖学)。『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。同書は450万部を超えるベストセラー。対談、共著、講演録を含め、著書は200冊近い。近著に『養老先生、病院へ行く』『養老先生、再び病院へ行く』(中川恵一共著、エクスナレッジ)『〈自分〉を知りたい君たちへ 読書の壁』(毎日新聞出版)、『ものがわかるということ』(祥伝社)など。

「2023年 『ヒトの幸福とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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