東京日記 卵一個ぶんのお祝い。 [Kindle]

  • 平凡社 (2005年9月1日発売)
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  • エッセイってか日記。 3/6

  •  『原稿を書く。原稿を書き始めると、こんどは引っ越しをしたことをすっかり忘れてしまう。一度に一つのことしか考えられない質なのだ。ようやく書き上げてファクスで送る。疲れたから「丸幸」でニラ炒め定食でも食べようか、と思って玄関を出たとたんに、引っ越していたことを思い出す。

    思い出したとたんに「丸幸」に行きたくて行きたくて、矢も盾もたまらなくなる。さんざん思い悩んだ末、電車で「丸幸」に行くことにする。「丸幸」に入っていくと、おねえさんが「まいど-」と言う。まいどー、なんて言わないでよ、またセンチメンタルになっちゃんうんじゃない、と心の中で思うが、ニラ炒め定食が来たとたんにセンチメンタル関係のことは忘れてしまう。一度に一つのことしか考えられない質なのだ。』

    『よそゆきとふだんの中間の服を買いにデパートに行く。着ているのは、むろんよそゆきの眼である。デパートはだんぜん「よそゆき」の場所である。なかなか中間の服がみつからない。何をお探しですか、と親切そうな店員さんに尋ねられる。気軽な服を、ちょっと、びくびく答える(店員さんと話すのは不得意なのだ)、今着てらっしゃるような感じのものですね、と店員さんはにこやかに言った。せいいっぱいのよそゆきなのに。だから嫌いなんだ、店員さんと話すのは、と内心で叫びながら、すり足でその場を離れる。』

  • 嘘か真か、煙に巻かれつつ、軽妙さが心地よい。

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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