モダン (文春文庫) [Kindle]

  • 文藝春秋 (2018年4月10日発売)
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みんなの感想まとめ

美術館を舞台にした短編集は、さまざまな立場の人々が美術や美術館にどのように関わっているかを描いています。特に、MoMAをテーマにした作品群は、アートに対する多様な思いや体験を通じて、美術の魅力を再認識...

感想・レビュー・書評

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  • MoMAを舞台に
    美術や美術館に携る
    人々にまつわる短編集。

    美術や美術館は
    いろいろな立場の人の
    思いや関わりがあって
    成り立っていることを再認。

    美術に関わる
    いろいろな仕事をされてきた
    原田マハさんだからこそ書ける
    美術館のバックグラウンドを
    知りつつ、
    それぞれの人生の
    一定時間を垣間見る作品。

  • 原田マハさん日曜美術館のマティスの回で見て「あ、読まなきゃって」思ったんですが、宗典さんの妹さんでしたか!

    『モダン』とはMoMAニューヨーク近代美術館のことなのですね。MoMAでの出来事5篇をおさめた連作小説。ずいぶんとリアルなお話だと思ったら原田さん勤務されてたのですね。

    311の大地震が起きちゃって貸し出していたアンドリュー・ワイエスの『クリスティーナの世界』を福島の美術館まで取り戻しに行くお話が日本人としては切ない。遠く離れたニューヨークの人たちからしたら大切な作品が放射能に汚染されてるんじゃないかと危惧するのは仕方ないんだけれど。このお話が震災後のことじゃなくて震災直前からってところが印象的というか象徴的。もっといえば運命的。ベタに言っちゃうと人類の重い課題をこの絵に託しちゃうというかな。『2001年 宇宙の旅』にも飾られていたとか。見なおさなきゃ!

    MoMA初代館長アルフレッド・バーのお話も良かった。特にベアリングを『美』とした革新的な美術展が熱い。美しいんだからそりゃアートよ。美大を出た人が作った物のみを「アート」と定義するなんていうのはちょっと嫌だな。現代アート展で悪戯好きの人が自分のサングラス(だかメガネだか)を床に置いてみたら人が集まってきて写真撮りまくってるっていうのはあまり笑っちゃいけないような気もするけれど……、でも、ほら、人間だもの。相田みつをはやっぱり正しい。

  • MoMAにまつわる5つの短編集。
    モダンアートには疎いですが、いつかニューヨークに行ったら、MoMAに行ってみたいな、と思ってしまいました。
    原田マハさんの美術が題材の本は、今まで長編の小説を読んできたので、短編だと、ちょっと物足りない感じもするかな。

  • MOMAには、様々なバックグラウンドを持った人々が様々な思いを持っているということを、巧みな短編構成の元に描き出している作品。ある人にとってはそれは憧れの場所であるし、夢を叶える場所でもある。ある人にとっては自分のコンプレックスと向き合う場所でもある。美術館という仕事を通して得られる経験には、人の感性を刺激する作品を社会に提供するためにどのような表現ができるのか、ある意味、作品の集合体としての作品を共同で打ち出すものであり、それ自体が一つの文化作品であると言えるのだろう。

  • 自らの経験を活かしたアート関連を中心に、精力的に作品を発表している小説家、原田マハ。
    作品をチェックしていたら、アンリ・マティスの絵画が表紙になっている、この作品が文庫化されていたので、電子書籍版で読むことにしました。
     
    5つの作品で構成された、短編集です。
    共通するのは、MoMA(ニューヨーク近代美術館)に関係した人が、各作品の主人公になっていること。
     
    共通する登場人物がいる場合もありますが、それぞれの作品は独立しています。
    気持ちと行動の矛盾や葛藤を扱った作品もあれば、ファンタジー的な作品もあり、描かれているシチュエーションや作品世界には、おのおの個性があります。
     
    アート作品が持つ力は、人々にどう影響を与えるのか。
    そもそも、どこまでがアートなのか。
    アートに関係している人たちは、どのように作品に接しているのか。
    そして、美術館で働いている人、美術に接する生活をしている人たちは、どのような日常を送っているのか。
     
    アートや美術館に興味を持っている自分には、考えさせられることや惹かれるポイントが、随所に散りばめられた作品でした。
     
    アート作品に対しては、来歴や評価に注目が集まる傾向もありますが、著者は「アートと人間の関係」のようなものを、表現したいのだろうなあと、受け取りました。
     
    まだまだ、この作家さんのひきだしはたくさん、ありそうですね。
    今後も、作品が文庫化されるのを、楽しみに待ちたいと思います。
     
    『異邦人』原田マハ
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/B07BKRXX6K
     
     .

  • どれも面白かった!なかでも「私の好きなマシン」が印象的。どこまでが実話なんて考えながら読んだり、いろいろググりながらのもまた一興。楽園のカンヴァスのトムまででてきたらびっくり。てかMoMA行きたくてたまらんのですけどw

  • ニューヨーク近代美術館のお話。
    初代館長と少女の話がよかった。
    災害と美術展の2作は読んでいて辛くなった。

  • 状況や心情がツラツラと伝わってきてリアルだった。辛いこと、苦しいことがあっても必ず周りに人はいる。支え合って乗り越えていきたい。

  • ニューヨーク近代美術館(MoMA)を舞台にした短編集。「暗幕のゲルニカ」などの長編にリンクする話も。MoMAをテーマにする以上。どうしてもテロや災害は避けられないのでしょう。読んでいて辛いところもありました。絵そのものは載っていないのに、ワイエスの描くクリスティーナに励まされました。

  • 他の話しで出てきた人たちにまた会える楽しみがありました。
    世界線が同じなんですね。読み返すと気付きがありそう。

    いつの日かMOMAに行ってみたい。
    中々難しいので近隣の美術館チケットを手に入れました。小さくても素敵なところです。

  • MoMAを舞台にした、マハさんならではの
    アートへの招待状のような短編集。

    美術館のバックステージ、作品の持つ魅力、
    マハさんだからこそ紡がれるストーリーに
    心地よく浮かぶように読み終えた。

  •  芸術とは何ぞや?

     大学院生の時にハイデガーの「芸術作品の起源 Der Ursprunk des Kunstwerks」を原書で読まされました。当時からアホでしたので、作者の意味することも理解できませんでした。まして芸術とは何かについても、答えは得られておりませんでした。

     それでもアートとか結構好きで(今思えば、アート好き風な自分が好きなだけのナルシズムですが)、関東に居れば上野へ足を伸ばし、関西に居れば京都市美術館や姫路美術館にまで美術館に出かけて絵を眺めていました。

     芸術の意味がわからなくても「惹かれる」ものはありました。なんだろ、これ気になるなあ、という感覚。私にとってはそれはアンリ・ルソーでした。彼のマンガチックなフラットな画風はどうにも私をひきつけました。あれをパリのオランジェリー美術館で見たときは、そう、ちょっと震えました笑。

    美しいとか好きとか、上手に言語化できない感性的な話というのは芸術にはつきものかもしれません。


     はい、前置きが長くなりました。
     こういうウンチクっぽい話は、語っている方は気持ちいいけど、聞いている方・見ている方は辟易するものですよね。ごめんなさい笑。

     でも、本作「モダン」は、そんなウンチクごごろをビンビン刺激してくる、わくわくする作品です!なんといっても舞台は、芸術の最前線たる現代芸術、そのメッカであるニューヨーク近代美術館(以下MoMA)です。MoMA、カッコいいですよね。行ってみたいなあ。

     しかし、作品で主題として描かれるのは、MoMAに収蔵される芸術作品ではありません。 むしろ、芸術にかかわる裏方スタッフ。彼らをフィルターにして、人間ドラマや人間模様、そして人々の考えが描かれます。

    ・・・

     MoMAスタッフである日系米国人の杏子と、福島の美術館。MoMAより貸し出されたワイエスの「クリスティーナの世界」とその返却を通じての不思議な交流を描く「中断された展覧会の記録」。
     警備員スコットが、名作「アヴィニヨンの娘」の前に佇む幽霊に出会う「ロックフェラー・ギャラリーの幽霊」。
     ベアリングなどの工業製品がアートと認知され、アップルに代表されるIndustrial Designをも巻き込み、現代芸術へと合流していくさまをMoMAを通して描く「私の好きなマシン」。
     911で同僚を亡くしたローラが、亡くなった友人と共に企画を準備したピカソとマティスのグローバルな展覧会の準備風景とその心象を描く「新しい出口」。
     MoMAへ派遣された日本の私立美術館の学芸員。お客様兼見習いスタッフ的な居心地の悪いポジションでのふとした日常と同僚のコミットメントを表現した「あえてよかった」

     どれも芸術好きにはたまらないと思います。自分の知っている絵、好きな画家を通じて物語が展開してゆきます。巨匠の芸術作品から、人と人との物語が紡ぎだされる様子が実に素晴らしいのです。さらに、節々に埋め込まれる芸術礼賛的な科白!例えばこんなの。

    「ここにあるものはね、ジュリア。僕たちが知らないところで、僕たちの生活の役に立っているものなんだ。それでいて、美しい。それって、すごいことだとおもわないかい?」
    「すごい」とジュリアは、素直に答えた。アルフレッドは、少女を見つめて、言った。
    「僕は、そういうものを『アート』と呼んでいるよ」
    見えないところで、役に立っていて、美しい。(位置NO.1129)

     くー、「アート」ってそういう時使うんですって。芸術って、やっぱり素敵です。

    ・・・

     私にとっては原田氏の作品は読んだことがありませんでした。書評ブログで取り上げられているのを見て気になっていたところ、AmazonでKindle版が半額であるということで、今回飛びつきました。
     私が好きな芸術がモチーフになっている点、芸術作品の背景や端緒が絶妙に織り込まれている点、芸術を肯定する人たちが醸し出すハイソ感、芸術作品にかかわる人たちの気持ちを豊かに描いている点、こうしたところがとても面白かったと思います。芸術好き、ウンチク好きにはたまらない一冊かと思います。

  • アートをはさんで人と人とがつながっていくマジック

  • パリにある美術館momaを舞台にしたオムニバス物語。
    絵画の知識も世界史の知識もない私でも、この芸術に包まれた世界観に引き込まれた。どこまで本当か分からない歴史物語。これが原田マハの魅力だと感じた。

  • どこかでなぞった文字の羅列の詰め合わせ、という印象。

  • 初原田マハ。
    アンリマティスとパブロピカソの関係、ワイエスのクリスティーナ、Momaの歴史、芸術に関する知識が少ないのに、調べて読んで引き込まれていく。
    フィクションとリアルが絡み合う、繊細な世界。
    原田マハ作品の中では短編なので読みやすいはず。
    芸術史に対して興味を持ちはじめるきっかけになりそう。

  • 初マハ。表紙買い。芸術とか美術館のことに疎くても読みやすかった。深掘りしすぎず、でも大切なところを適切に切り取っている感じ。美術館に行きたくなる。

  • 原田マハさん得意のアート小説集。舞台はMoMA。やっぱりうまいし、フィクションとノンフィクションの中間な感じが響くね。MoMA、初NYで1階のショップにしか行けなかったので(しかもレジ大行列で買い物もできず)、いつかまた行きたいぞ。

  • ごくささやかなエピソードに添えられる芸術。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

原田マハの作品

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