日本の分断~切り離される非大卒若者(レッグス)たち~ (光文社新書) [Kindle]

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  • 2021年4月13日記述

    日本の分断 切り離される非大卒若者(レッグス)たち
    吉川徹氏による著作。
    2018年4月30日初版1刷発行。

    吉川徹(きっかわ とおる、1966年11月3日 - )は、日本の社会学者。
    大阪大学教授。専門は計量社会学、特に計量社会意識論・学歴社会論。
    島根県生まれ。
    SSPプロジェクト(総格差社会日本を読み解く調査科学)の代表者。

    島根県立松江南高等学校卒業
    1989年3月 大阪大学人間科学部人間科学科卒業
    1991年3月 同大学院人間科学研究科修士課程修了
    1992年4月 日本学術振興会特別研究員DC
    1994年6月 博士課程修了、博士(人間科学)
    1994年4月 大阪大学人間科学部助手
    1995年4月 静岡大学人文学部講師
    1996年10月 助教授
    2000年4月 大阪大学人間科学研究科助教授
    2006年4月 大阪大学社会経済研究所付属行動経済学研究センター併任准教授
    2007年4月 大阪大学人間科学研究科准教授
    2010年8月 情報・システム研究機構 統計数理研究所 調査科学研究センター 客員准教授 (併任)
    2014年4月 大阪大学人間科学研究科教授

    橘玲氏の著作「上級国民 下級国民」にこの本に関して紹介している
    箇所があり、そこから興味を持ってざっと読んでみた。
    新書だけれどもいわゆる学術論文やなと感じました。
    過去研究の紹介のあたりとか。

    本書を一言で言えば非大卒若年男性、非大卒壮年男性があまりに冷遇されている。
    本人達も声を上げていない。
    大卒者達、女性、レッグス(非大卒若者)もたすきがけの社会を作る事を訴えている。
    個別に、ミクロに見ていけば大卒だから恵まれているほど単純な世の中では無い。
    ただ全体として見た時にやはり非大卒のルートを巡る人たちは分断と呼べるほどに関係性が薄く、かつ支援が必要な状況のようだ。
    大卒男性も含め、男は生きるのが大変だなと。
    結婚も女性より人数が多いこともあり(結婚できる年齢層で300万人男が多い)
    単純に生きていくことも楽ではない。
    このレッグス達への効果的な支援抜きに単純に移民を受け入れることはヨーロッパ諸国で起きた問題を日本でも再現することになる。
    ただ惜しむべくはみんな薄々感じていることで新発見だなと思う部分は少なく感じるかもしれない(私はそうだった)
    また当たり前だがウルトラCの解決策は無いのでレッグス達との連帯、たすきがけを呼びかけているけれども具体的にどうしていけば良いのか見えてこない・・・その点が物足りない部分だと個人的に思った。

    印象に残った部分

    どの指標を見ても、若年非大卒男性には、まったく「勝ち星」が付かないということです。
    具体的にいうならば、彼らのポジティブ感情は、比較的「幸福」な若者層のなかにあって最も低く、社会的活動については総じて活動頻度が低く、政治的な理解や関心は弱く、選挙への参加にも消極的です。他方で留学や海外旅行など海外には目を向けない「内向き」志向が強く、教養や文化的活動への志向も希薄です。
    大学進学への志向も、当然予想されることながら強くはありません。
    そのうえ、喫煙、飲酒の嗜好が強く、自らの健康についての日常的な配慮も十分ではありません。

    彼らは総じて不利な暮らしを強いられながら、拍子抜けするほどおとなしく、活気と意欲に乏しい若者たちなのです。
    以上の点で、現代日本では、若年非大卒男性が切り離されつつある。
    言い換えれば、彼らとその他の人々の間に分断がある、と結論づけることができます。

    現代日本社会の構造や社会意識を調べてみると、これらはことごとく間違っていることがわかります。
    すべての日本人が大学進学を望んでいるわけではありませんし、社会経済的地位の低い人のほうが大学教育を強く求めているということもありません。
    それゆえに、大学の学費軽減で誰もがみな大学に行くようになることはありえないのです。

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著者プロフィール

大阪大学大学院人間科学研究科教授

「2021年 『少子高齢社会の階層構造2 人生中期の階層構造』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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