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Amazon.co.jp ・映画 / ISBN・EAN: 4907953071353
感想・レビュー・書評
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画家ゴッホの人生を辿るのに、125人の現代の画家たちが60,000枚超の「ゴッホタッチ」の油絵と、それらに差し込むための水彩画を描き、繋ぎ合わせて作ったという、極めて贅沢なアニメーション映画です。
しかも、絵を描く前には、「下素材」として、実在の俳優たちに全篇演技までさせているという念の入れぶり。
精神を病み、37歳の若さで自身の耳を切り落とした挙句、ピストル自殺をしたとされる、オランダ人画家フィンセント・ファン・ゴッホ。
ゴッホの死後、青年アルマンは、郵便配達員の父から、ゴッホが生前実弟テオに宛てて書いた手紙を、所在不明となっているテオを探しあてて手渡すように頼まれる。
父の願いを無下にできず、アルマンは、アルルから、パリ、そして、ゴッホが最期を遂げたオーヴェールへと向かう。
しかし、パリの画商タンギー爺さん、ゴッホが最期を迎えた宿屋の娘アドリーヌ、ゴッホの友人で主治医でもあったガシェ医師の娘マルグリットやその家政婦、貸しボート屋の男、マルセル医師…ゴッホの最期を語るそれぞれの証言は、矛盾するばかり。
ゴッホの足跡を辿るうち、アルマンは疑問を抱くようになる。
ゴッホの死は本当に自殺だったのか。
自殺だったとしたら、なぜ、精神の安定を回復していたはずの彼が自殺を選んだのか。
アルマンは、ようやく、ゴッホの死の真相を知るガシェ医師との対面を果たすけど…。
残念ながら、ミステリーとしての構成力・展開力は高くありません。
しかし、幼い頃から挫折を繰り返し、28歳で初めて絵筆を握った数年後には才能を開花させ、弟テオの援助の下で800点にも及ぶ名作を残し、そして、それでも逃れられない孤独や苦悩に苛まれ、結果的に37歳で壮絶な死を遂げたゴッホという天才画家の人生を、端的かつ、とことん贅沢につくられた映像で楽しめるという点で、一見の価値ある作品でした。
また、映画館上映は吹替版しかなかったのですが、アルマンの声を担当した俳優の山田孝之さんの声の演技はなかなかよかったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
LOVING VINCENT
2017年 イギリス+ポーランド 96分
監督:ドロタ・コビエラ/ヒュー・ウェルチマン
出演:ダグラス・ブース/ロベルト・グラチーク/シアーシャ・ローナン/エレノア・トムリンソン/ジェローム・フリン/エイダン・ターナー
http://www.gogh-movie.jp/
予告編を見たときびっくりした。ゴッホの絵がアニメになって動いてる!!まず俳優が演じたものに添って、100人以上の画家がゴッホのタッチで描いた膨大な枚数の油絵がアニメーションとして動く様は、なんともシュールで素晴らしいインパクト。登場人物は皆、ゴッホが絵に描いた人々。彼らが歩く風景、行きつけの店、部屋の中などもすべてゴッホの絵に登場する場所。ゆえに見覚えのある風景の中を、どこかで会ったことのある人物と再会するような不思議な空気が全編に漂っている。
物語はゴッホの死後、かつてゴッホがゴーギャンと共に滞在していたアルルから始まる。弟のテオに四六時中手紙を書いていたゴッホと親しくしていた郵便局長のジョゼフ・ルーランは、ゴッホがアルルを去った後に部屋から発見され、配達されないままであったテオ宛ての手紙を、なんとかテオに届けたいと思い、飲んだくれては喧嘩ばかりしている息子のアルマンにテオの消息を探すよう依頼する。手紙の宛先住所にすでにテオはいないが、近隣の人ならテオの行方を知っているかもしれないと考えたアルマンはパリで聞き込みを始めるも、画材屋のタンギー爺さんによるとテオは兄ゴッホの後を追うようにすでに亡くなっていた。
手紙を届ける遺族を探すべく、ゴッホ終焉の地オーヴェールへ、主治医であったガシェを訪ねるアルマン。そこでアルマンは、ガシェの美しい娘マルグリットや、ゴッホが暮らしていた宿屋ラヴーの娘アドリアーヌ、貸ボート屋の男などから生前のゴッホにまつわる様々な話を聞くうちに、ゴッホの死に疑問を抱く。銃による突然の不自然な自殺未遂、ゴッホは本当に自ら死を望んだのか?果たして真相は・・・。
『郵便夫ジョゼフ・ルーラン』その息子『アルマン・ルーランの肖像』、パリでゴッホが画材を買っていた『タンギー爺さん』、精神科の主治医であった『医師ガシェの肖像』、その娘『ピアノを弾くマルグリット・ガシェ』、定宿の娘『アドリーヌ・ラヴーの肖像』ゴッホが描いた実在の人物たちが、それぞれのゴッホ像を語り、ときに嘘をつき、藪の中よろしくアルマンは翻弄される。その中から浮かび上がってくるゴッホの幼い頃からの孤独、弟テオの献身、画家志望だったガシェ医師の屈折、マルグリットへの想い。
生前は画家として成功できず、狂気の果てに孤独に死んだゴッホの、寂しさと、しかし愛すべき人間像が少しづつ浮かび上がってきて、なんだか胸がいっぱいになった。原題の『LOVING VINCENT』はゴッホがテオへの手紙の最後に記していた言葉「愛をこめて、フィンセントより」。あなたが絵に込めた想いは時代を超えて現代の私たちに届いているよと、彼に伝えてあげたい。油彩アニメのビジュアル的美しさもさることながら、ストーリーも良かった。
※映画館で見たのでとりあえずImport版で登録していたのだけど、ブクログさんではなぜか輸入版DVDジャケットがどれも「18禁」と表示されたりするので、国内版で登録しなおしました。 -
この映画の特異性は予告編だけでも先に見てもらうとよくわかると思いますが、「動く油絵」
<<http://www.gogh-movie.jp/>>
アニメーションぽくもなくCGぽくもなく、ゴッホの濃密なタッチで映画が展開して行く。1秒で12枚、合計62450枚の絵を使ったという壮大なスケール。
ストーリーのテーマは「ゴッホは本当に自殺したのか?」という話。
ゴッホの有名な絵がたくさん出てきて、かつそのモデルになった人々がたくさん出てきて。役者はいかに絵のモデルに似ているか、も含めて選ばれたとのこと。
油絵という決して新しくないものを使いながら、斬新さを感じる映画です。ストーリーもすごく意表をつかれるようわけではないけど、サスペンスっぽい感じで楽しめたし、誰かを無理に悪者にするわけでもなく、ゴッホという人間が愛され、狭いコミュニティの中であっても認められていた、と思えるストーリー。弟テオとの絆も強調されていますね、テオとヴィンセントは強く繋がっていたと。才能が認められないまま若くして狂気の中で死んだ、と思われがちなゴッホですけど、そういうあまり幸福的でない先入観も多少覆るかも。
ちょっと目は疲れますが笑、見応えのある映画ですし、(ゴッホの絵の知識をちょっと増やしたあとで!)いろんな人に見て欲しいです。 -
ゴッホの死の真相を探る「アート・サスペンス」なのだが、実写映画を125名の画家たちが〝油絵アニメ〟化するという凝った作りになっている。
ゴッホの油絵が動き出すような不思議なアニメ映像は、一見の価値あり。
「豪華キャスト陣の名演と、それを元に描かれた62,450枚もの油絵が、ゴッホの世界に新たな生命を吹き込んだ」……すごい!
さりとて、かりに普通の実写映画として作られていたとしても、十分優れた映画になっただろう。全編を貫くゴッホの深い孤独が心に刺さる。 -
なんと野心的な作品なんでしょう。
これまで一人の画家の作品をその画家の生活の一面や一部であるなんて見方をした事がありませんでしたが、上映が始まった途端、彼の作品の一つ一つが彼が暮らした街やその季節、隣人や彼らとの付き合い、そしてゴッホの想いを切り取ったワンシーンである事がビシビシと伝わってきて強烈で新鮮な感動が押し寄せてきた。
この物語は何処までが全てがフィクションなのかな?登場する人物たちの会話や行動が一次資料として残っている筈はないんだろうからね。でも実は何か当時の手紙や伝聞/文献など資料が残っていてそれを紡ぎ合わせた物語なんだろうか?19世紀末ごろの話だからもしかして何らかの資料が残っていてもおかしくないのかも知れない。
個人的な気持ちだがこの物語自体が完全な創作じゃなければいいな…って願う。それが何処からきている感情なのか上手く説明出来ないけれど何故かこの物語が事実に即していると感じたままでいたい…
なんとも言えない静かな感動がありました。
いい作品だと思います。 -
きれい!
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~なんてったってゴッホの絵が動くのだ!
始まりが死後からだが、足跡をたどるうちゴッホの人となり、絵を描く様子が、動くゴッホのアニメーションから立ち上ってくる。このゴッホの絵で動かす、という発想に脱帽。素晴らしい体験をした。アルマンがだんだんゴッホに心を開く様子が、ゴッホの絵が死後世間に受け入れられてゆく過程とも重なってくる。
2017.11.6劇場で -
「妄想と芸術」
神に選ばれた者たちがいることは何となくわかってました
当然彼もその中の一人
ただ才能を与えただけでそれを使う方法までは授けなかったのだろう
苦難し模索してたどり着いてその先に神の力が発揮されるからではないだろうか
『MIB』的に言えば彼らは全てエイリアンである
そう、普通ではないのだ
じゃ何故神は人間に芸術を与えたのだろうか
『マトリックス』の仮想現実的な事に似ているのかな?
そもそも人間のような危ういものを作った理由は?
始めたことを終わらせるのに加速させるためなのだとしたら納得ができる
だからこそ今を生きて今を楽しまなければ
苦悩している暇など微塵もないのだから
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油絵が動く。それだけで圧巻。
あの絵の具タッチが生き物の様に。不思議。
謎の死を中心に据えたミステリー作品。
そんな重苦しさもあるけど、構成と空気感は、ホントに既視感がなくて驚きで、ジブリアニメと同じような職人技にシビレました。
でもアニメーターじゃなくて油絵画家で映画を作ってるの、それが一見の価値が!
ゴッホの目に映る世界は、こうやって動いてたのかも?と思わされました。
ゴッホと呼ぶより、フィンセントと呼ぶと親しくなれる気がしてくるくらい、人の呼び方って気分が変わりますね。
ひろしま美術館に展示がある、「ドービニーの庭」が大好きで、本作には出てなくて、ちょっと残念!
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