怒りについて 他2篇 (岩波文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 摂理についてはもう自分が書いたんちゃうかなと思うくらい一緒。

    怒りの定義が自分としては腑に落ちなかったが、怒りについて考えられるきっかけを与えてくれた。

    自分らの幸せってのは幸せがいらないこと
    復讐と報復のちがい。怒る理由は報復なんだと納得、この二つだけで読んでよかったと思えた。

  • 「摂理について」「賢者の恒心について」「怒りについて」の三作が収録・解説されています。

    ストア派だけに「ストイック」過ぎる内容で、終始圧倒されました。セネカの熱量が凄い。なんて超人なんだと驚くばかり。三作共に、耐え難きを耐え、過酷な人生を生き抜く為の教えです。

    「摂理について」

    凡人の私には到底納得も真似もできないことばかり。二千年前のような過酷な時代では、このような運命論を受け入れることで耐え、いかなる不幸も徳の証なのだと肯定し納得せずには生きられなかったのかもしれないと思いました。不条理な災難に襲われた時には、こういう考えが救いになるのかもしれません。

    「賢者の恒心について」

    賢者たるや、何があろうと平常心!ということが書かれているのですが、どんな残酷な目に遭っても例外なしにそうあれと。それは無理!と思うことばかりで非常にハードルが高いです。
    『不正に応酬もせず、許しすらしなかった。なされたことを否定した。許す時以上の大度をもって認めなかったのだ。』
    という記述に、レ・ミゼラブルのミリアム司祭を彷彿とさせられました。ヴィクトル・ユゴーも当然読んだことでしょう。
    賢者には到底なれないと思いつつ、でも、知っていると知らないとではきっと雲泥の差(?!)と思って精進します。

    「怒りについて」

    劇薬注意。ホラーです。
    怒りっぽいそこの貴方もそこの貴女も、なんとかしたいなぁって思っているなら読んでみましょう。衝撃で頭くらくらしますよ。

    二千年前の人が、現代とは次元の違う卑劣を極めた不正や残虐行為に耐え、怒りを抑制していたことを知ることで、自分の怒りがどんなにしょーーーもないことだったかと、愕然とするはずです。
    「いや、こんな極論出されても・・・」とか「そんなの無理!」と思うかもしれませんが、熟読してみると(私も何度も読み直しました)段々と腑に落ちてきます。怒りは大も小も火種は同じで根絶すべき、どんな正当化できたとしても怒っちゃダメ、と。論理的に、怒りは悪だと納得できるんです、本当に。徳のある人間は怒らない、と。怒ることが恥ずかしいことに思えてきます。
    怒ってはいけないと、これでもか、これでもか、としつこいくらいセネカが語ってくれます。読み終わる頃には、セネカの熱弁に根負けして、「ここまでセネカ先生が言うなら、もう怒らないように心がけよう。。」と思えるようになると思います。

    ちなみに育児のアドバイスもあります。
    小手先のアンガーマネジメントだとか、怒らない育児系の本を読むより、私にはガツーーン!と響きました。意識が根本的に変わります。

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著者プロフィール

ルキウス・アンナエウス・セネカ(Lucius Annaeus Seneca)。紀元前4年頃(紀元前1年
とも)~紀元65年。古代ローマのストア派の哲学者。父親の大セネカ(マルクス・アンナ
エウス・セネカ)と区別するため、小セネカ(Seneca minor)とも呼ばれる。ローマ帝国の
属州ヒスパニア・バエティカ属州の州都コルドバで生まれ、カリグラ帝時代に財務官とし
て活躍する。一度はコルシカ島に追放されるも、クラウディウス帝時代に復帰を果たし、
のちの皇帝ネロの幼少期の教育係および在位期の政治的補佐を務める。やがて制御を失っ
て自殺を命じられることとなるネロとの関係、また、カリグラ帝の恐怖の治世といった経
験を通じて、数々の悲劇や著作を記した。本書はそのなかでも「死」との向き合い方について説いた8つの作品がもとになっている。

「2020年 『2000年前からローマの哲人は知っていた 死ぬときに後悔しない方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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