民族と国家 (文春文庫) [Kindle]

  • 文藝春秋 (2018年4月10日発売)
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みんなの感想まとめ

民族と国家の関係を深く探求する本書は、特に第一次世界大戦とオスマン帝国の解体がもたらした中東、北アフリカ、バルカン地域の民族問題に焦点を当てています。著者は、民族の定義を広義に捉え、言語や宗教、歴史的...

感想・レビュー・書評

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  • 民族と国家という大文字のタイトルはさておき、WWIとオスマン帝国解体がもたらした、中東、北アフリカ、バルカンにおける複雑な「民族」(広義の。人種ではない。)に関する出版当時(以後の情勢につき、2017頃に補論が追加されている。)の整理がなされているもの。

    本書でも予め断られている通り、民族の定義に関する(神学的になりがちな)議論はなされておらず、ざっくり言ってしまえば「人種、言語、宗教、歴史的経緯またはそれらの組み合わせにより集団としてのまとまり・団結が認められるもの」という程度の認識で話が進むが、これは本書の射程とする旧オスマン支配領域、とりわけユーゴスラビアを含む領域をテーマとして語る上では必然だろう。

    イスラム圏の「民族」を議論するにあたり、団結の最も重要なファクターは宗教特にイスラム教であることは議論をまたないだろう。他宗教に相対的に寛容故に広範囲のまとまりを保つことができていたムスリム集団が、酷薄な帝国主義と国民国家概念により改めて区分された不自然が、ユーゴスラビア、パレスチナ、シリアその他の今日まで続き解決の見えないいがみ合いの基底をなしていることを鑑みれば、アメリカ大陸の悲劇を引き合いに出すまでもなく、改めて欧州各国の過去の所業の無情に思いを馳せざるを得ない。

    その問題の複雑さ故にとかく固有名詞飛び交う時事的評論になりがちな中東情勢だが、本書は新書にもかかわらず視点を大所高所に固定して議論を展開しており、コンセプトの話をする姿勢が貫かれている。斯様な新書は昨今貴重であり、著者の見識もさること、当時の世の中の豊かさが偲ばれる。



  • 【今世紀最大の火種を解き明かす】二十一世紀最大の火種となる「民族問題」。イスラム研究の第一人者が二十世紀までの紛争を総ざらえ。新時代を生きる現代人の必読書。

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著者プロフィール

一九四七(昭和二二)年札幌に生まれる。
現在、東京大学大学院総合文化研究科教授、学術博士。中東調査会理事。
最新著書として、『岩波イスラーム辞典』(共編著、岩波書店)、『歴史の作法』(文春新書)、『帝国と国民』(岩波書店)、『歴史のなかのイラク戦争』(NTT出版)など。

「2004年 『イラク戦争データブック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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