雨に殺せば (角川文庫) [Kindle]

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  • KADOKAWA (2018年4月25日発売)
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みんなの感想まとめ

金融犯罪を題材にしたこの作品は、高速道路の高架橋で発生した現金輸送車襲撃事件を中心に展開します。銀行員の射殺や自殺、そして次々と現れる犠牲者の中で、捜査を進める黒木と亀田のコンビが真相に迫ります。19...

感想・レビュー・書評

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  • 再読なのだが再読記録はタイムラインに上がらないので電子書籍の方でレビューを書く。

    「二度のお別れ」に続く<大阪府警・黒豆コンビ>シリーズ第二作。
    銀行の現金輸送車が襲撃され車中の銀行員二名が射殺、約一億一千万が奪われる事件が発生。その捜査中、黒豆コンビが事情聴取した銀行員が飛び降り自殺してしまう。自宅の屋根裏からは五百万の札束が出てきため、銀行員と事件との関係を調べていくと…。

    前回読んだときは気付かなかったが、確かに黒さんのキャラクター設定が変わっている。
    「二度のお別れ」では『黒田』刑事で幼い娘がいる既婚者設定だったが、この作品では『黒木』刑事に名前を変え、独身者設定にしている。その理由は前作で『刑事コンビに華がない』と評されたからだそうだが、このキャラ変で華やかになったかは謎。

    この作品の初出は1985年。つまり36年も前の作品になる。なのでお給料が現金支給であったり、通信手段が固定電話や公衆電話だったり、どこでもタバコをスパスパやっていたり、黒豆の女性観だったり、かなり時代を感じさせる。

    しかし一方で拘束預金や迂回融資など、のちの疫病神シリーズに出てきそうなネタも出てきて思わずニヤリとする。黒豆コンビは刑事なのでこれが事件にどうか関わるのかを調べているが、疫病神コンビならこれがどう金儲けに繋がるかを考えるだろうな、桑原なら半額どころか八割の八千万くらいよこせと脅しそうだし、二宮はその二割、いや一割でもいいからくださいよ~と桑原に拝み倒して桑原が根負けしそう…などと一人で妄想していた。

    相変わらず黒豆のやり取りは姦しい。正確に言えば姦しいのは豆田だけなのだが、黒木の方も結構余計な一言を言っている。特に喫茶店のママさんに対しては。
    しかし面白いのは探偵役が意外にもこの姦しい豆田の方だということ。口も回るが頭も回る。

    個人的に良い味出してたなと思ったのは二課の岡崎刑事。

    『背任とか横領、汚職いうの、ほんま侘しい犯罪でっせ。いわば、人間の業でんな。誰にもある本能、色と金と権力を追う動物的な欲。それをストレートに出すやつが強盗とか殺人に手を染め、その度胸もなく、変に小賢しいやつが汚職や背任に走る』
    『りんごに齧りつき、歯ぐきが痛いと顔しかめている岡崎、肘の出た上着、膝の抜けたズボン、片減りした靴…その背中に私は刑事の年輪を見た』

    優柔不断なくせに手柄だけは掻っ攫う上司を出し抜くためにスタンドプレーに走ろうとする黒豆を諌めたり、捜査一課のバックアップであっても快く手伝ってくれる岡崎が印象的だった。捻れた人間性をずっと見てきたベテラン刑事だが擦れたところはなく、でも強かに容疑者とも組織とも渡り合う姿が良かった。

    前回読んだときも思ったが、黒川さんの作品にしては珍しく五人もの人が殺されている。それと大掛かりではないが密室トリックもある。
    だがテーマはそこまでしなければならなかったのは何故なのか、そもそもの発端は何か、なのだろう。それは先の岡崎の言葉に集約されていたように思う。

    結局黒豆コンビ(特に豆田)のスタンドプレーになってしまったのだが、上司の服部係長や宮元班長に怒られなかったのかなと、それが気になる。

    ※シリーズ作品レビュー
    「二度のお別れ」
    https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/4041059429#comment
    「雨に殺せば」
    https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/404106600X#comment

  • 高速道路の高架橋で起こった現金輸送車襲撃・現金強奪・殺人事件の捜査にあたる黒木・亀田の通称黒マメコンビ。決定的な物証が得られない中,犯人と目星をつけた人物が次々と死体で発見される。事件のスジは,銀行とサラ金の融資の間にダミーとして入り込んだ悪徳画廊の三者による悪巧み。
    しかし作品の出版が1985年ということで社会情勢も警察の捜査技術も現在とは全く違い,頭を当時に戻して読む必要がある。今どきの警察小説なら当たり前のように利用できるはずの証拠が手に入らないもどかしさ。
    いわゆる金融系の犯罪ということで,そちら方面に疎い私には今ひとつスッキリ解決した感がない結末ではある。拘束預金なんて初めて聞いたし浮き貸しもまた然り。当時のサラ金ってのは,怪しげな金主の金を貸してるんだと思ってたが,銀行から貸してたのか。ということは当時の大手サラ金が軒並み銀行の傘下に収まってる現状は当時と何も変わってないってことなのね。

  • 銀行員2人が射殺され、約1億1千万円が奪われた現金輸送車襲撃事件で、事情聴取した銀行員が、飛び降り自殺した。大阪府警捜査一課の黒木と亀田は、やがて真相に近づいていくが、新たな犠牲者が出てしまい…。

    この文庫本は2018年出版だけれど、実は黒川博行デビューの翌年1985年に書かれた作品だった。36年前だからネットやケータイが出てこないのも道理。主人公の2人は黒マメコンビとしてシリーズ化されているようだが、疫病神シリーズのような魅力は感じなかった。
    (Ⅽ)

  • 刑事のやりとりに好みが分かれそう。
    おっさんふたりのやりとりを面白いと思うか、どーでもいい、興味ないと思うかで読み続けるかどうかの別れ道に鳴ると思う。
    あと、舞台となっている時代は結構古いのね。
    80年代初頭と思うのです。給与の銀行振り込みがまだ一般的ではなかった時代の話です。だもんで、奥付を確認してしまった。

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著者プロフィール

黒川博行
1949年、愛媛県生まれ。京都市立芸術大学彫刻科卒業後、会社員、府立高校の美術教師として勤務するが、83年「二度のお別れ」でサントリミステリー大賞佳作を受賞し、翌年、同作でデビュー。86年「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞を受賞、96年『カウント・プラン』で推理作家協会賞を、2014年『破門』で直木賞、20年ミステリー文学大賞を受賞した。

「2022年 『連鎖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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