スクラップ・アンド・ビルド (文春文庫) [Kindle]

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  • 文藝春秋 (2018年5月10日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • 2018年(発出2015年) 93 ページ

    第153回芥川賞受賞作。又吉直樹さんの『火花』と一緒に受賞した作品です。

    介護問題がテーマでもあるこの作品、私自身が介護福祉士、ケアマネージャーの資格があり、実父、実母と同居しているので、とても身近で登場人物の気持ちもなんとなくわかるようなお話でした。

    実は作品紹介を見ずに読み始めたので、このタイトルからこの内容だとは全く思いもせずに、とても意外な感じでした。
    物語は同じような場面が多く、浮き沈みのない平坦なお話という印象ですが、なんとなく最後まで読ませられました。

    健康なのだが身体能力の衰えから無気力で「早く死にたい」が口ぐせの祖父。この祖父に穏やかな死を迎えさせてあげようと、祖父の機能を奪って弱らせていくために『過剰な足し算の介護』を行おう考える主人公・健斗。
    一方、健斗自身は筋トレに打ち込んで次第に気力・精力が充実し、行政書士の勉強や英語学習など、脳も含めた己の全身改造に励み、あらゆることを再構築中である。
    この両者の対比を『スクラップ』と『ビルド』で表しているのかな。筋トレも、筋繊維を破壊して新たな筋肉を再構築するスクラップ・アンド・ビルドなのかな。健斗は祖父の姿を見て反面教師にしているのでしょうか。
    健斗と祖父の結末は果たしてどうなるのか? 

    芥川賞作品の解釈って難しい。最近読んだ芥川賞受賞作これで3冊目となりますが、3冊ともに味のある作品でした。

  • 図書館で見つけた薄本第3弾。

    考えさせられた。死を望む祖父の願いを叶えることが祖父のためなのか?衰えないように何事も自分でするように祖父を叱咤することが祖父のためなのか?子と母で対応は真逆であるが祖父への愛情はどちらも深い。
    作中で黒いものが台所に素早く移動するシーンがあるがあの正体は?祖父?謎である?

  • 30歳手前の健斗と80代の祖父がマンションの一室という広がりの無い世界で繰り広げる物語の中に、介護、高齢者の生と死の問題、既存の社会システムへの疑問など様々な問題意識がちりばめられていて、深く考えさせられた。

    タイトルにもある「スクラップ・アンド・ビルド」とは「破壊と再生」という意味を持つ。
    作品を読んでいる途中は筋トレによる肉体の破壊と再生に目が行きがちだが、読み終わってみると健斗という一人の若者のビルドには祖父の存在が必要であったこと、そして社会というものもまたスクラップ・アンド・ビルド構造によって成り立っているということに気づかされる。
    ラストシーンで希望めいたものが感じられたのは、若者が新たな境地に巣立っていくという単純な理由だけではなく、スクラップ・アンド・ビルドのサイクルにおいて意味のないものなどない(祖父の人生、介護状態の祖父すらも意味がある)という確信を得られたからだろう。
    個人的には面白かった。

  • 要介護の祖父と同居する失業中の健斗、28歳。祖父は、体の節々の痛みからか、甘えるように「早く死にたい」を繰り返す。「苦痛や恐怖心さえない穏やかな死。健斗は、そんな究極の自発的尊厳死を追い求める老人の手助け」をしようと、必要以上に祖父の身の回りの世話を焼き、体を衰えさせようと画策する。その反動からか、自身は体を鍛え続ける。特に事件が起こるわけでない、何気ない日常が描かれている。

    こういう年寄りと同居したら、確かにイラッとするだろうなあ。こんな年寄りにはなりたくないなあ。

  • audiobookで聴きました。
    これが介護の実態なのかな。まだ経験してないので、主人公に余り共感できなかった。
    話は淡々と進んで行って、どうなるわけでもなかった。筋トレの描写は熱い。

  • 淡々と自分が嫌な人間であることに無自覚な男の日常が男の目線で描かれている。特に目立ったドラマがないのに先を読ませる力はすごいと思った。

  • 特に何かが起きる訳ではないのに退屈することなく読んだ。
    「死にたい」と口にする祖父。自殺未遂するも、実際には生に執着している。現実はきっとこんな感じ。(自殺未遂が未遂じゃなくなった例も知っているが)
    両親の将来、自分の将来を考える。
    『あらゆることが不安だ』

  • 祖父の無痛の尊厳死のため介護に奮闘する自宅警備員。
    陰惨なのか爽快なのか、深刻なのか軽薄なのかわからない展開と奇妙な読後感。
    たまたま自分も同じ環境に身を置いた経験があったので通常より楽しめたことは間違いない。

    #audible

  • 祖父と私の対比が表面に出過ぎており、話がわかりやす過ぎた。故に面白みを感じなかった。

  • 第153回芥川賞受賞作品(2015年上期)
    要介護で痴呆症状が出ている祖父。
    「じいちゃんなんて、早う死んだらよか」
    という。そんな祖父が痛みや苦しみを感じないで死ねるように配慮(?)する孫。
    娘である主人公の母はそんな祖父にきいているこちらが落ち着かなくなるような暴言を吐く。
    実際は祖父は死にたかったのではないのだ。
    人間、「もうお迎えが来るわ~」というようなことを言っていても、生きたいのだ。きっとそうなんだろう。自分もそうなるのだろう。
    主人公の心の動きと、祖父が本当に思っていることが最後まで不協和音というか、ずれてる感じが人間が関わり合いながら生きているってところかもしれない。
    介護世代の方にはおすすめ。自分が介護するときのこと、そしてされる日がくるということ。考えることがあると思う。

  • 特に何が起こるでもなく何かが起こるのは主人公の内面だけ、その内面の変化もとてもわかりづらい。
    彼女とどうなったのかもわからず祖父がこの後どうなるのかもわからない。祖父の過去も結局よくわからない、桜花に乗るための訓練をしてたのかはたまた高射砲を撃ってたのか、若い頃のおじいちゃんは娘や息子にとってどんな人だったのか、何もはっきりしない。
    でも一個人から見た現実ってそんな風に曖昧だし、それ以上でも無くそれ以下でもない。
    それが良かった。純文学はやっぱり面白い。

    しかし内面の変化のヒントはばら撒かれている。
    主人公は何をスクラップして何をビルドしたのか、筋肉だけの話ではないはず。

    しかし作者の羽田さんはたまにテレビに出てるちょっと面白い人と言うイメージだったからこんな突き放すような淡々とした文章を書くのかと意外な気持ち。

  • 2015年、芥川賞受賞作というあの頃のニュースは覚えていますが読んでいませんでした
    2025年、こんなにも共感できる立場や年齢にになってからこの本に出会えて良かったと思う

    20代後半の無職の主人公も10年経ったら30代後半になっていると思うと、今頃はきっと家族がいるのかもしれないと想像してしまう

    私も祖父母の介護、義父母の介護を経験しつくづくこの本を読みながらそうだそうだそのとおりだと思う。
    介護への厳しい文章がならぶ
    要介護3から5にするための介護
    自分たちの仕事を楽にするための車いす移動
    被介護者と寄り添うための介護がどれだけ現場を消耗させるか

    結局のところ
    生きてこそ...とかいうきれいごとで
    生きて地獄を味わえというのか...と思う気持ちのほうが私には共感できる
    安楽死を願ってなにが悪いのか

    介護をとおして家族のやりとりも細かく書かれていてまるでうちをみているみたいで
    実の子供ほど厳しい(自分はそうなりませんように)とか甘えで弱い振りを演じる老人だとか...

    もしかしたらこのおじーちゃんすこぶる元気だったっていうオチとかあるかしら、、、と思い始めていたので終盤にさしかかり大逆転的な終わり方になるのか、デッドエンドか?邪推してしまったけれど旅立ちエンドとは意外でした。

    主人公が旅立つその時に感じた
    「自分より弱い肉体が、そばにない」という思い。
    誰かと比較して優位にあるような、自分はまだ人生のなかにおいて優勢であるような、この感覚がわたしにもあるぞ...と寒気を感じた。
    介護が無くなったその時その日から私には
    なにがあるんだろうか、無くては困るなぁ、、、


  • ふむ

  • 尊厳死が主題とおもいきや、主人公の成長が主題だったのだと、少し遅れて気がついた。というのも、成長レベルがめちゃくちゃ低い。それとも28歳ってそんなものだったかな?記憶喪失です。主人公のちっぽけな成長よりも尊厳死の方をもう少ししっかり取り上げて欲しかったような。

  • 少子高齢化社会に生きる現役世代の心の内を覗きこむかのような作品。
    早く死にたいと毎日のように呟く祖父と、それを人知れずアシストしたい孫とのやり取りが、どこの家庭にも起こりうる身近なことのように思え、よりスリリングに感じた。

    10年前に発表された作品だけど、10年経ってもこの社会問題は解決されないどころか悪化の一途を辿っている。今こそ読み返すべき作品なのかも。

  • audibleにて。
    淡々としていて情緒もない文章。
    オチも衝撃もなく最後まで淡々と物語が進んで終わった。
    健人や母親の掛ける言葉がいちいち刺々しくてしんどかった。これが介護の実態なのか。自分が介護する立場になったらこの2人のようにはなるまい、と強く心に決めた。

  • 究極の尊厳死の幇助の先に

  • かなりふじゅんな正義感から、祖父を殺そうとするお話。使わない物は衰えるという考えが、全編通して描かれている。
    その考えを実直に守ろうとする健斗とその逆をさせられる祖父の構図

    簡単なことをすると、後からつけが回ることを教えてくれる。何より筋肉は精神を豊かにしてくれる。

    中盤までは、健斗の狂人ぷりで、突き進むのかと思われたが。気付くと祖父に情がわき、するっと終わった。オチにすこし衝撃がほしかったかな。

    しかし、毎日三回はさすがに無理かな

  • あらすじが興味深かったので・・・

  • 課題図書

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著者プロフィール

1985年生まれ。2003年『黒冷水』で文藝賞を受賞しデビュー。「スクラップ・アンド・ビルド」で芥川賞を受賞。『メタモルフォシス』『隠し事』『成功者K』『ポルシェ太郎』『滅私』他多数。

「2022年 『成功者K』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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