さよなら、ニルヴァーナ (文春文庫) [Kindle]

  • 文藝春秋 (2018年5月10日発売)
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みんなの感想まとめ

重いテーマを扱ったこの物語は、14歳の少年Aによる殺人事件を中心に、彼を崇める少女や被害者の母親、そして物語を描こうとする小説家志望の女性の視点から進行します。実際の事件を基にしながらも、フィクション...

感想・レビュー・書評

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  • 14歳の時に女児を殺害した少年A、少年Aを崇める少女、殺害された女児の母親、少年Aについて物語を書けないかと思う小説家志望の女性。
    それぞれの視点で物語が進んでいく。

    実際にあった事件がベースになっているのは間違いなく、ただそれをなぞるのではなくフィクションとしてひとつの作品とされた窪美澄先生の表現に頁をめくる手が止まりませんでした。

  • 神戸の少年Aによる殺人事件をモチーフにした物語。
    作家志望の独身女性、少年Aに憧れる少女、被害者家族、
    そして加害者自身の4つの視点から物語が描かれています。

    実際に神戸で起きた少年Aによる殺人事件をモチーフにしているので、
    内容がかなりダークな部分が多々あり、
    残虐性と性的興奮が特に際立っていたので読んでいて
    とても辛く苦しかったです。
    けれどどのようなラストになるのかが気になってしまう
    一気にに読んでしまいました。

    どうしても読んでいると実際の事件を連想してしまうので、
    これを被害者家族のことを考えると申し訳ないですが、
    「著者渾身の物語」という説明書きにありましたが、
    とてもそんな気持ちにはなれなかったというのが本音でした。
    遺された被害者家族が毎日自分を責めながら、
    亡くなった方の事を思いながら日々生きていく辛さを
    考えるとこの作品で余計に悲しみが増幅されてしまうのでは
    ないかという不安がよぎりました。

    作品中のある人が語っていた言葉が印象的でした。
    「どんなに絶望しても君は死ねないよ。
     生まれ変わせるために、君にはどれだけお金と手間がかかっているのか
     知っているの。ここを出て、君が死んだり、君がもう一度、
     罪を犯すようなことがあれば、
     この一大プロジェクトは失敗に終わったことになる。
     生きる、ということは多くの人間にとって希望であるけれど、
     君が自分の犯した罪の重さに気が付かない限り、
     君にとっては生きることが、永遠に絶望することなんだ」
    実際に少年Aにこのような事を発して果たしてどんな思いをしながら
    生きているのかは分からないですが、被害者家族や亡くなった方の事を
    考えると自分の犯してしまった罪を償っていくという気持ちが
    少しでもあるのならばこのような気持ちを持って欲しいという
    思いを強く思ってしまいました。

    とかくこのような大きな事件が起こると加害者の人権やプライバシーだけが
    保護させる日本の社会ですが、それだけでなく、本当は失われてしまった
    被害者家族の人達の人権やプライバシーの保護の方が大事ではないかと
    この作品ではまた強く思いました。

    窪さんの作品は直木賞受賞作の「夜に星を放つ」を読んで良かったので次にこの作品を手に取りましたが、
    あまりお勧めのできる作品ではないかと思ってしまいました。
    ノンフィンクションであってもフィクションであっても、
    被害者家族を悲しい思いをさせたり、気持ちを逆なでするような
    思いにさせられる内容にはあまり良い気がしないなと思いました。
    こうゆう作品は作家さんにとっては挑戦だと思って
    大変なことだったとは思いますがちょっと辛さだけが残ってしまいました。

  • 結末が悲しすぎる。

    自分はなっちゃんに一番感情移入しながら読んだが、救いが欲しかったというのが正直なところ。


    あの子は、
    どこから戻れなくなったんだろう──

    東京で働きながら小説家を目指していた今日子は、震災が起こった翌年に夢を諦め、母のすすめで実家に戻る。妹とその夫、娘との二世帯住宅の生活に倦み疲れながらも、小説を諦めきれない。
    そんな中、過去に凶悪犯罪を起こした少年Aが地元にいるという噂を耳にする。そしてパソコンなどを検索して知った少年Aの姿に急速に惹かれていく。
    一方、神戸生まれで、東京に住む十七歳の莢(さや)も、少年Aを崇拝し、「聖地巡礼」と称して事件現場などを訪れていた。
    また少年Aに当時七歳の娘を殺された母親は、息子、夫とともに同じ場所にとどまり、一見平穏そうに見える暮らしを送っていたが、教会の人間から、Aのファンの話を聞かされる。
    少年犯罪の加害者、被害者遺族、加害者を崇拝した少女、その運命の環の外にたつ女性作家……それぞれの人生が交錯したとき、彼らは何を思い、何を見つけるのか。
    著者渾身の長編小説!

    作家が書くことに固執するのは、「人間の中身を見たい」からなのだ。これは、小説ノンフィクションのジャンルにかかわらず、作家が持つ病理なのだ。その意味で、私もAの同志なのである──佐藤優氏・解説より

  • ひたすら気分が悪い話だった。
    どうか遺族の方の目にこの作品が触れないように祈るばかり

  • 読み進めると点と点が繋がり、ああそういうことだったんだとわかる。でも、そんなことはどうでもいいと思えるほどの重いテーマ、少年Aの殺人。何が知りたいんだろう私はと思いながら、もっともっと早く読みたい、先が知りたいとページをめくる。
    たくさんの人が、僕の居場所に気づきはじめたら、僕は日本のどこかに移動させられる。僕にはたくさんのお金がかけられたから。
    少年AとAに恋する女の子、Aが殺した女の子のお母さん、Aの話を小説にしたいと思って追いかけまわす私。繋がり、わかるけど、そんなことはどうでもいいと思えた。

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著者プロフィール

窪 美澄(くぼ・みすみ):1965(昭和40)年、東京生まれ。2009(平成21)年「ミクマリ」で女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞。受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10第1位、2011年本屋大賞第2位に選ばれる。また同年、同書で山本周五郎賞を受賞。2012年、第二作『晴天の迷いクジラ』で山田風太郎賞を受賞。2019(令和元)年、『トリニティ』で織田作之助賞を受賞。2022年、『夜に星を放つ』で直木賞を受賞。その他の著作に『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』など。

「2022年 『タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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