天駆せよ法勝寺 -Sogen SF Short Story Prize Edition- 創元SF短編賞受賞作 [Kindle]
- 東京創元社 (2018年6月29日発売)
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感想 : 35件
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感想・レビュー・書評
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ありそうで無かった(あるのかも?)仏教SF。宇宙僧たちが大佛ご開帳のため、四十九日かけて宇宙の彼方の持双星を目指す。外国人女性の僧がいたり、機械僧がいたり、何だかスタートレックみたいだ。読経でエネルギーを充填し寺が宇宙を駆ける。金剛力士をパワードスーツみたいに纏って闘う。もうお腹いっぱい。字面は難解なのに内容は割と軽めのスペオペなので読みやすい。力強い仏教ワードの連発で読者を佛の世界へといざなう。法勝寺、発進!合掌!
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佛理学が発達したある世界。世界30億人の佛徒たちの読経に込められた祈念をエネルギーにして、佛塔型星寺(宇宙船、中には寺の伽藍が全て入っているらしい)法勝寺は、持双星180年ぶりとなる大佛開帳に向けて出発する。49日に渡るの旅の40日目、主人公・昭海は師僧から「忌まわしき持双星大佛を滅せよ」とのメッセージを受け取り、それと同時に寺は不可解な偽佛たちの攻撃にあう。管長・巖真の指示に従い、金剛力士を装佛したり、論理佛を勧請したりしながら応戦し、なんとか持双星にたどり着く。しかし、大佛開帳で開いた扉の中は空っぽで…
ストーリーが安っぽい感じが、無駄にカッコいい佛理学の世界観にピッタリで、とにかく素晴らしい。細かいところまで単語を作り込み、どこかで見たことあるアイテムも全て佛理学仕様に変換してて、隙がない。
法壁という、寺を囲むバリアがあるのだけど(ミノフスキー粒子とかATフィールドみたいなの)、梵字と漢字とキリル文字の三重螺旋構造によって編まれているらしく、それが突如現れた巨大佛によって壊されてしまいそうになってる様子を見た主人公が
「還元した経文を上書きしているのか…」
って呟いたときには流石に吹き出した。
いやいや、カッコよすぎるから!!合掌! -
話は短くてサクッと読める。仏教用語をSF物体に落とし込んでしまって、数ページごとに名フレーズが出てくる。
科学的な整合性とかはあんまり気にしていない作品なのだが、読んでいて矛盾がどうのとかは一切気にならなかった。
良質なインディー短編映画を見たかのような読後感。挿絵はMidjourneyあたりか?
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好きなフレーズをいくつか抜き出しておく
「佛理学。それは、万物を構成する佛質と佛精(エネルギー)を相互転換する手法を研究する学術分野である。佛の教えの七割は佛理学として理論化され再構築された。涅槃経に一切衆生悉有佛性と説く。佛理学では、この概念を拡張し、衆生のみならずあらゆる佛質に佛性があり、佛精と等価であることが宇宙の根本原理であるとする」
「深い瞑想と呼吸法を鍛錬することにより、宇宙僧は、冷凍睡眠などに頼らずとも、深い禅定、三昧の境地に入れば新陳代謝を平均で二十八パーセントまで落とすことができる」
「弥勒如来は、かつては弥勒菩薩と呼ばれていた。その出現は釈迦の入滅から五十六億七千万年後とされていたが、現代佛理学では加速醸佛、すなわち外部作用による成佛が可能と考えられている」
「佛には大別して、実体を持つ佛理佛と実体を持たない論理佛の二種がある」
「我が身すべての佛質を佛象へと転換すれば、半径三丈はたちまち涅槃となる。これこそ我が成佛なり」 -
「天駆せよ法勝寺」(八島游舷)を読んだ。
なにしろこれが長編化されるらしいので復習の意味での再読である。
準備はオッケーです。
『本来、蓄積に四万六千日かかる祈念量は、佛理学の成果である交響摩尼車群の高速読経により百分の一に圧縮された。』(本文より)
とか、もうゾワゾワしっぱなし。 -
2018-7-11
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2018/7/14読了。
佛教スペースオペラなんて初めて見る道具立てだ(笑)。仏教の概念やガジェットが実にそれらしく扱われていて笑う。久々に「ラノベっぽいな」って思わずに、想像したことのなかったイメージを喚起されながら、センスオブワンダーを楽しむことができた。 -
極彩色の仏教SF。
のっけからずるいくらい面白い。
文字から映像が匂い立つような作品でした。
理屈っぽいのに理屈が通ってるのかどうかさっぱり分からない、でも疾走感半端ない文字の威力。
もう少し長くても良かったな、そうすればもう少し長くこの世界に耽溺していられたのにな。 -
1ページ目からこの世界ならではの用語が気持ち良く定義されて、痛快だった。九重塔 法勝寺は最新鋭航行機能を備えた飛塔。この寺の祈念炉が「四百六十日の祈禱の果てに臨界に達し、第一宇宙速度に必要な推力が得られた」。
「現代佛理学」による原理や法則が散りばめられていて「へー」と新しい科学書を読むような楽しさがある。最後まで破綻しない。アクシデントやミッションの解決には仏教のいろんな力やツールが活躍するので、知識があると理屈をもっと楽しめたかも。でも知識がなければ差し出された世界観にどっぷりはまれるので、それもいいかもしれない。 -
Audibleで聴いた。小説で字面を見ながらだとより面白いかも…!ところどころ、音で聴いてると漢字に変換できない用語とかあったし。その「そうぶつ」は装佛なのか想佛なのか創佛なのか?とか。
至るところに散りばめられた仏教用語と、それがSFと融合してるところが新しくて面白い!佛理学。
作者さんが用語一覧出してくれてる!
https://yashimayugen.com/works/related-info/hosshoji-glossary/
各キャラのエピソードとかもう少し深掘りがあればより面白かったというか、クライマックスで心揺さぶられたかも。
世界観や、仏や天部が出てくるシーンの描写が美しかった。
合掌。 -
あちこちで話題だったのでだいぶ前にDLしてたのをようやく読めた
ジャンルで言うならパワー系バカSFなんだけど(失礼)、笑うしシリアスにもなるし伏線回収も鮮やか
面白かったです
んでもって同時収録されている選評が勉強になること……
「技術のないプロはいない」「これはSFの新人賞」
はい……だいじなはなし
プロを目指しているわけではないし、SFばっかり書いているわけでもないけど、人前にお出しするならしっかりと心に留めておかなくてはいけないなとおもうなどしました -
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Audibleで聴いたのですがナレーターの下山吉光さんがズルいですね(笑
この絢爛華美、博覧強記、ご冗談でしょうな佛理学と、唯一無二の世界観を楽しませていただきました。
そして有翼如来、蓮華王万手大観音とどんなに魅力的で美しいのかと想像力が刺激されました。
合掌! -
やっと読み始めて読み終わった。実は SF の類を初めて読んだ気がするが、言葉遣いが難しいことも相まって脳内再生するのに苦労した。
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仏教用語をちりばめたSF短編。超久しぶりに活字読んだけど短編なのでさっくり読めた。佛理学とかいってるし、金剛力士像を身にまとって戦ったりするし、後書きで大森望がある種のおバカSF、的な表現をしていて確かにと納得。日本語と漢字遣いが非常に意味のある面白いSFでした。
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仏教SFという斬新な一編。短編だが中編と言って良いくらいの読み応えはある。アイデアだけで大したものだが、おそらく正確な知識に基づいて作り込まれたのだろう世界観も素晴らしい。最初から佛ガジェット(半分ギャグみたいなものだが)に圧倒され、その興奮が最後まで続く。物語にもきちんと起承転結があり、受賞も納得の一作だった。
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仏教と科学が融合した「佛理学」を駆使し、読経で仏塔が飛ぶ!
「法勝寺、合掌!」で宇宙へ!!最高!
壮大な出オチかと思いきや、SFミステリとしてとても面白かった。
金剛力士を纏うバトルや、神秘的で壮麗な佛の姿。読んでてわくわくする。
映像化&続編希望。 -
2018年の第9回創元SF短編賞受賞作品。紙の本ではアンソロジーの1編として収録されているが、電子書籍ではバラで買えるというリーズナブルさもあって読んでみた。はるかな未来、39光年離れたとある星の大仏の御開帳に地球から向かう7名の宇宙僧を乗せ、49日の旅に出た宇宙船、法勝寺の中と外で起こる事件を描くスペクタクルな物語…だと思う。
現実に存在する科学技術の延長とは異なる理屈と技術で勝負するSF小説というのはそれこそ星の数ほどあるけれど、この世界の背骨となる「佛理学」は、その中でも最近では抜群の存在感を誇る。佛理学に則ったさまざまな技術が駆使されて法勝寺は宇宙を飛ぶが、どのような原理で動いているのか、正直言ってわからない。宇宙戦艦ヤマトのタキオン粒子や、ガンダムのミノフスキー粒子のほうがまだ説得力があるレベル。仏教用語をちりばめた佛理学用語のパワーが強すぎて、その裏に潜む技術が見えてこず、「とりあえず、祈りの力で動いているのだな」ということで読者の疑問を収めてしまうのはなかなかの作戦だと思う。
法勝寺の中では、宇宙僧の帯びたミッションを阻止しようとする流れとのバトルも起こる。基本的には祈りの力と体術を駆使した世界なので、『少林寺』と『聖闘士星矢』的な世界。この攻防も非常に熱の入った筆致なのだが、何せ漢字の字面が強すぎて、ビジュアルが見えてこない。私には格闘ゲームの趣味がなく、想像力が乏しいだけなのかもしれないので、ここは何ともいえないけれど、完全に「細けえことはいいんだよ」と力業で押し切っていてすがすがしさを感じる。
物語の骨組みはどこかで読んだようなモチーフの寄せ集めのようにも感じたので、物足りないとは思うものの、これをまとめ上げているのはやはり、著書の筆運びの巧みさなのだろう。それに、仏の教えを信じてあらゆる民が集う世界が、懐かしのNHK『シルクロード』にも似て、意外にも心地よかった。朗読やラジオドラマが実現するのなら、地の文はぜひ石坂浩二さんがお元気なうちに読んでほしい。
大森望・日下三蔵・新井素子の3氏による選評も読めるので、この小説のどこが評価されているかという点が専門家の面からも見られるのでお得です。 -
燃え足りなかった。
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第9回創元SF短編賞受賞作ということで期待して読んだが僕には合わず。文章が説明的すぎると感じてしまい、世界観に入っていけないまま終了。
八島游舷の作品
