文學界 (7月号 2018) (月刊誌)

  • 文藝春秋 (2018年6月7日発売)
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Amazon.co.jp ・雑誌 / ISBN・EAN: 4910077070782

作品紹介・あらすじ

【創作】
村上春樹 最新短編3作同時掲載
「三つの短い話」
<石のまくらに>
<クリーム>
<チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ>
石原慎太郎「―ある奇妙な小説―老惨」
多和田葉子「胡蝶、カリフォルニアに舞う」
松浦寿輝/椎名誠/町屋良平ほか
【対談】
暦本純一×上田岳弘「AI(人工知能)とAR(拡張現実)時代の文学」

感想・レビュー・書評

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  • 村上春樹の短編だけ読む。どれもそれぞれに面白く、彼らしい作品。
    「きみの頭はな、むずかしいことを考えるためにある。わからんことをわかるようにするためにある。それがそのまま人生のクリームになるんや。それ以外はな、みんなしょうもないつまらんことばっかりや。白髪の老人はそう言った。」その通りだよなと妙に納得させられる。
    これってプラトンの二元論か? でもドゥルーズなら逆で、しょうもないことのほうに意味があるってことになるのかな。村上春樹もそっちな気がしないでもないけれども。

  • あなたと/わたしって遠いの/でしたっけ?/木星乗り継ぎ/でよかったかしら?
     村上春樹の小説より

     文芸誌「文学界」7月号に、村上春樹の新作短編小説が3編も掲載されている。それだけで注目の的だが、かつ、巻頭の短編に短歌が8首引用されており、興味深く読み進めた。

    「石のまくらに」というタイトルの小説で、語り手は男性の「僕」。数十年前の学生時代を回想した内容であり、アルバイト先で知り合った、やや年上の女性と一夜を明かしたことが語られている。

     その女性は、歌集「石のまくらに」を自費出版していた。後日、律義にもそれが郵送されてきて、僕は驚く。何せ2人には再会の約束もなく、互いに他の想い人がいながら身体を寄せ合っただけなのだから。
    少し時間を置き、僕はページをめくる。

      午後をとおし/この降りしきる/雨にまぎれ/名もなき斧が/たそがれを斬首

     数十首の歌から、僕は、女性が抱えている死のイメージを感じ取る。そして、理由はわからないながら、「生き延びていてほしい」と願う。「斬首」され、その首を「石のまくら」に載せてでも生きていてほしい―そう願った過去を回想するのだった。

     これらの短歌は、おそらく村上春樹自身の創作なのだろう。現代短歌としてはぎこちなく、掲出歌も極端な字余りで定型からは逸脱している。けれども、宇宙の果てで乗り継ぎをしなければ会えないほどの、恋しい人との距離感が切ないほどに伝わる。静かな、不思議な余情の残る短編と思う。(2018年7月15日掲載)

  • 村上春樹が雑誌「文學界」に1年がかりで発表した5作の短編のうちの最初の3作を読んでみた。1作目を読み始めてすぐに「村上ワールド」へ誘い込むのはさすがだけれど、どれも佳作と言うほどではなかった。むしろこの号では芥川賞作家多和田葉子の短編の方が面白かった。
    (Ⅽ)

  • 村上春樹さんの短編3編。
    雨の日によんだ。

  • 村上春樹「三つの短い話」、暦本純一×上田岳弘「AI×AR時代の文学」読了。村上春樹「石のまくらに」はノルウェイの森のサイドストーリー的にも読める。バイト先で知り合った短歌を詠む女性との一夜の邂逅。村上春樹「クリーム」は、それほど親しくない相手から招待された山の上のリサイタルが、実はかつがれていただけだった...そこで出会った不思議な老人との対話。「きみの頭はな、むずかしいことを考えるためにある。わからんことをわかるようにするためにある。それがそのまま人生のクリームになるんや。それ以外はな、みんなしょうもないつまらんことばっかりや」/村上春樹「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」は、若い頃に書いたチャーリー・パーカーの存在しないアルバムへの熱のこもった評論が、後年、ブーメランのように戻ってくる、外国のレコードショップで自分の想像が形を取り、一瞬だけ姿を見せ、また消えるという奇譚。。暦本純一×上田岳弘対談は、画面に顔を映し出し、それ以外は別の人、と言う試み(テレプレゼンス)について、どこまでが自己でどこまでが他者か、その境界を技術で編集できる、と語られ。レディー・ガガを纏ったとしたら?レディー・ガガ性は一般の人にはきついかもしれないが、だんだん辛くなくなるのでは。レディー・ガガ性を担保するのは、彼女を取り巻く人々とのコミュニケーション、これまでの彼女の判断の集積だから。面白い試みであり視点だなあ、と。撒き散らせば必ず虐殺が起こる「虐殺文法」をモチーフにした「虐殺器官」も読んでみたくなる。

  • 村上春樹の「3つの短い話」を収録した本号。特に文學界を買うことはあまりない、というかほとんどないのだけど、思わず手に取った。「石のまくらに」は早稲田の学生だった頃、忘れられない女性がいた。好きだったんだろうし、その人とセックスをしたんだろうし、というよりも、むしろ不思議な印象や感覚を持って接した女性だったはずだ。一夜限りのこと、それは後で思い出すと非常に象徴的であり、でも細部は思い出せない、そんなものでもあるのだが、村上春樹の手に掛かると、それが一つの出来事になる。
    「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノバ」は、シャレのような作品だ。そんな、、、と思わせといて、夢落ち。でも、チャーリー・パーカーがボサをなんて、とても想像するだけで面白い。村上春樹だからこそと言える、お洒落な空間を文章の合間に作っていく。

  • 村上春樹の短編を読むため購入。
    わたしはベタに、石のまくらに がいちばん好きだった。村上春樹っぽい怠惰なかんじの男女関係。確かに小金井に帰るのはめんどくさいだろうな。

  • たまたま手に取り、村上春樹の短編に惹かれて。

    心に残ること。
    意味はなくとも、人生に積もり、自分を形づくるものとなる、とても個人的なこと。

  • 村上春樹の短編目当て。ふうむ。

  • 村上春樹氏の短編のみ読了。「クリーム」が好き。

  • 村上春樹の3編、チャーリーパーカーが良かったな。
    犬山紙子のコラムやほかにもパラパラと。

  • 7月の読書

    村上春樹 「三つの短い話」
    <石のまくらに>
    初めて読む村上春樹。もっと難しい文章を想像してたけど、読みやすかった。
    2人が朝、トーストと卵を食べるところが印象的だった。朝の光が差すのが見えて、その情景に私がいた気持ちになった。

    <クリーム>
    読んでいると、紐付いて浮かぶもの達がうるさくなってきて寝落ちした。
    最近、会ったことのない人からよく、見えないもの、わかりにくいものを追うことを言われる。でも顔を合わせて会う人は大体その反対を言う。

    <チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ>

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