Kindle版読了。
社交界ではその美貌から「氷の魔女」と呼ばれていますが、子供の頃のトラウマが原因で男性恐怖症を拗らせている17歳公爵令嬢ヒロインと、ヒロインが飼っていた愛犬と同じ名前の30歳カタブツ辺境伯ヒーローとのすれ違いラブストーリーです。
あとがきでは特に触れられていませんでしたが、『夜ごと、あなたに愛を囁く〜軍人公爵の淫らな悩み〜』のスピンオフ作品のようで、前作ヒーローが西方の辺境伯として登場します。
相変わらずの愛妻家で、妻と子供を大切にしている事が分かります。
今作はサブタイトルだけ読むと、まるで最近流行りの乙女ゲー転生物のように見えますが、歴とした(?)ヒストリカルロマンス物です。
正直、このサブタイトルは軽すぎて違和感を覚えました。
別にヒロインは「悪役令嬢」ではありません。
あと、タイトルのように「待て」が出来なくなるのはラスト近くの初H後で、それ迄は「待て」の出来る大人ヒーローでした。
年齢差13歳のカップルで、結婚から始まるラブストーリーです。
ヒロインは子供の頃に誘拐されかけ、その時に愛犬を亡くした事がショックで男性恐怖症になり、夜会では恐怖心を抑える為に無意識に男性を睨んでしまう事から「氷の魔女」と呼ばれ、高嶺の花の存在になっていました。
ヒロインは本当は年相応の無邪気な少女なのに、ヒーローが何故自分と結婚したのか分からず、「氷の魔女」と呼ばれていた自分を気に入ってくれたのだと誤解し、斜め上方向に頑張る天然系お嬢さんです。
H展開ですが、結婚後にヒーローが慣らし行為はしていましたが、最後迄する初Hは2人がちゃんと両想いになってからだったのは良かったです。
ヒロインが貧乳設定だったのも萌えツボでした(笑)。
前作ヒーローといい、胸を執拗に愛撫するH描写は大変好みです。
ヒロインの「氷の魔女」の異名によってヒーローが治める辺境で騒ぎがあったようですが大した事件にもならず、終始、新婚夫婦がいちゃいちゃして、カタブツヒーローが菓子作りしたり編み物したり縫い物したりと実は手先が器用なオカンだったというギャップが楽しめたお話でした。
溺愛系が読みたい時には、良いのではないでしょうか。
ヒーローはヒロインより一回り以上年上で大柄な体躯ですが、ヒロインの前だと大型犬のように従順で可愛くなります(笑)。
無骨なタイプで女性は苦手でしたが、夜会で初めてヒロインを見た時に一目惚れして、その後、優しく可憐なヒロインが可愛くて溺愛するようになります。
序章と終章はヒーロー視点でした。
序章はヒロインと初めて出会った夜会の様子がヒーロー視点で描かれており、終章ではヒロインを死ぬほど溺愛している様子が描かれています。
ヒーローを恐がらずに近寄ってきてくれた女性はヒロインが初めてだったという事ですが、年齢を考えると恐らくDTではない事が残念です。
気になったのが、結構なシリアス展開な文章の所に時折、「にへら」という軽めな擬音語が混ざるのに違和感がありました。
挿し絵は、ヒロインとヒーローの体格差がちゃんと認識出来るのが良かったです。