コンビニ外国人(新潮新書) [Kindle]

  • 新潮社 (2018年5月17日発売)
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  • コンビニ外国人 2018

    発行2018年5月25日
    著者 芹澤健介(せりざわけんすけ)
    この作品は2018年5月新潮社より刊行された。
    電子書籍化に際しては同初版第1刷を底本とし、仕様上の都合により適宜編集を加えた

    芹澤健介(せりざわ けんすけ、1973年‐ )は、日本のライター、構成作家である。
    略歴
    沖縄県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。大学時代、ニュージーランドで羊飼いとして採用され、一時期外国人労働者として働いていた。NHK国際放送の番組制作に携わる。長年、日本在住の外国人問題を取材している。

    以上のような経歴を持つ著者による作品。
    この10年ちょっとで都市部においてコンビニで働く外国人の増加は著しいものがある。彼らはどこから来ていて、どんなことを思っているのか、その背景などに迫った本だ。
    ジャーナリズム感がある。
    ちょっとだけ残念なのは、写真やデータ、グラフが本書に殆ど無いのが気になった。せっかくの取材や文章を十分に補強して欲しい。
    ルポやこの手のライターの書くものには写真やデータは必須だと思う。
    根拠を極限まで提示する姿勢が欲しい。
    文章だけの書きっぱなしが許されるのはコラムや小説だけだと思う。
    話を戻す。
    この芹澤健介氏の外国人労働者への暖かい視線やある種、彼らの本音を引き出すことに成功しているように感じた。
    日本ってある意味、外国人差別をしているのだと思う。
    移民は反対だとしておきながら労働力としての外国人をこれだけ大規模に入れている国はあまりない。事実上の移民政策に他ならない。
    外国人技能実習生制度に関しても一部紹介されている。
    この問題を個人的に知ったのは2011年に読んだ「ルポ 差別と貧困の外国人労働者 (光文社新書 465) 新書 – 2010/6/17」安田 浩一 著によってだ。
    結局あれから各種メディアでも大きく取り上げられたにも関わらず、問題解決に向かう足取りは重い。
    日本政府、自民党、公明党の責任は重大と言わざるを得ない。

    この本では日本語学校の暗部、闇とも言える構造的問題を取り上げているのが最も重要な所だと感じた。
    正直に言うと、この日本語学校の闇についてだけもっと詳しく本にしても良いのではないかと読んでいる中で思った。
    日本語教師、外国人学生の両方を食い物、搾取しているとしか思えず・・・こんな高学費で低品質なサービス産業が日本全国に600校以上もあるのにぞっとする。
    これは日本に私立大学が多すぎる問題と似ていて、教育産業を私立主体にするのが結局は間違いなのだと思う。なんでもかんでも民間に任せれば良くなるほど世の中は単純ではない。世界各国でも水道の民営化が失敗しているのもそうだ。
    話を戻す。
    このコンビニ外国人(2018)から分かるのは外国人から選ばれる日本にならないといけないということだ。昨今の労働力不足社会は構造的に続く。この緩和に外国人労働力は欠かせないからだ。
    本書は2018年刊行だから、2016年に外国人労働者数が100万人を超えていることを書いている。今(2024年)調べてみると・・
    日本で働いている外国人の数は?
    我が国で働く外国人労働者数は増加傾向で推移し、2023 年 10 月末時点で、我が国の外国 人労働者数は約 205 万人38と過去最高を更新し、全雇用者の約 3.4%を占めるまでにプレゼン スが高まっている。
    他には・・
    日本で就労している外国人は、2021年10月末時点で過去最高の172万7,221人。
    このような検索情報が出てきた。

    信じがたいペースで増えている。
    既に現状は200万人以上の外国人労働者が日本で働いているのか・・・
    この労働力不足社会、事実上の移民として外国人が増える社会に私達は生きている。その中でどう振る舞うべきか、どう行動するべきか、どう考えるべきかの一つの資料として本書は貴重である。


    印象に残った点

    日本で働く外国人は増加の一途をたどっている。
    2016年には外国人労働者の数がついに100万人を超えた。そのうちの4万人以上がコンビニでアルバイトをしている。

    当初の問題意識は、ヨーロッパの移民問題などを鑑みながら「外国人労働者を受け入れるべきか/受け入れざるべきか」という二者択一の紋切り型のものだったが、すでにそういうことを言っている状況にないこともわかってきた。
    現実として100万人以上の外国人が日本で働いているのである。現状を知るほどに、その先のことを考えなければならないと思うようになった。

    彼らの置かれている環境を知れば知るほど「何かが間違っている」という思いが強くなった。

    安芸高田市の浜田市長は、「今後、ウチのような過疎の自治体が生き残っていく道は世界中に外国人のファンを作ることだ」と言っていた。国という単位で考えた場合も、日本のファンを世界中に増やしていくことが大切なのだろう。ファンを増やすことが日本の将来にプラスに作用するはずだ。

    しんじゅく多文化共生プラザの鍋島所長が言っていたように、共生のキーになるのは「交流の経験」なのだろう。
    まずは最初の一歩を踏み出すことから全てがはじまるのかもしれない。すべての壁が取り払われることはないのかもしれないが、その壁をできるだけ薄く、できるだけ低くしていくことはできるに違いない。

    (北海道)東川町の試みが優れているのは、留学生の呼び込みも現地の送り出し機関に一任せず、台湾をはじめ、タイ、中国、韓国にそれぞれ現地事務所を設けていること。これは人口1万人以下の町としては異例だという。8000人規模の自治体で海外に複数の事務所を持っているのは全国でも東川町だけだ。

    そんな東川町で2015年に開校したのが第五章の最後で触れた東川町立東川日本語学校だ。全国初の公立の日本語学校である。

    東川町の人口増の背景には、隣接する旭川市のベッドタウンとして人気が定着しつつあることが挙げられるが、行政による努力が大きい。

    しかし、浜田市長は日本人の人口減をそのまま外国人で埋めることができればいいとは考えていない。「まずは、これまでの十年で3000人減っていたものを半分の1500人減に止めたいと思っています。いま大事なのは外国人の数を増やすというよりは、ひとりでも安芸高田のファンを増やすことだと考えているからです。国に帰った実習生が『広島の安芸高田というところはよかったよ、住みやすかったよ』と口コミで広めてくれることが大事。せっかく日本に来たのに辛い目にあって日本を嫌いになられちゃ困る。長期的に考えれば、これから十年後、二十年後は日本中の自治体で外国人材を取り合いになると思いますが、そのときに安芸高田を選んでもらえるようにしておきたいのです」

    *浜田一義市長(74当時)はまだ かずよし

    どこの自治体も人ごとじゃないんですよ。人口減や老老介護は全国共通の問題です。いまどき『ワシは外国人は苦手なんじゃ』とか言ってる場合ではないんです。『多文化共生』は私達の必須科目なんです。

    労働力不足に陥った国々で働き手の奪い合いがはじまる。そして、国境を跨いだ労働力の移動はますます激しく、いよいよ複雑になっていくだろう。
    そんな環境の中で、すでに、老体となっている日本が勝ち残っていけるだろうか。老人ばかりの国で勉強したい、働きたいと思う外国人たちがどれほどいるだろうか。
    恐らく私達が考えている以上に事態は深刻である。

    そもそも長期的に見れば、これから人口が減っていく国は日本だけではない。
    労働人口=生産年齢人口(15歳〜64歳)を考えると、日本は既に1995年にピークを迎えている。ヨーロッパは2010年にピークを迎えた。そして、現在、日本にいちばん多く労働力を送り出している中国でさえ2011年にすでにピークを迎えているのである。

    ちなみに日本の総人口というのは、在留外国人も含めた数である。この十年で日本に住む外国人が40万人近く増えていることを加味すると、いま日本全体の人口減が比較的緩やかなカーブを描いている理由の裏には、外国人の増加がプラスに働いていることがわかる。

    ご存知のように、日本の人口はすでに減り続けている。
    日本の総人口がピークを迎えたのは2008年のことだ。それから十年が経ち、約150万人少なくなった。平均すれば1年間で15万人ずつ減ったことになる。減り方はそれほど急激なものではないように思える。
    しかし、人口問題に詳しい前出の毛受敏浩氏によると、「今後はジェットコースターのような勢いで減っていきます」という。
    「今はちょうど、ジェットコースターの先頭が下り坂に差し掛かったあたり。これからそのスピードはぐんぐん加速していきます」

    日本の総人口が1億人を割り込むのは2053年。その後も毎年80万〜90万人が確実に減っていくという試算だ。

    いま留学生のアルバイトは多様化している。コンビニで働いている留学生は全体から見ればごくわずかだ。
    アルバイトの職種が多様化したことで、新しいタイプのアルバイトあっせん業者も出てきた。これまでは人材派遣業者や日本語学校が受け持っていた部分だが、そこにブローカーとして留学生が入り込み、同じ国の留学生から仲介手数料を得ているという。
    留学する際には現地の斡旋業者から搾取され、借金を背負って日本に来ても悪質な日本語学校に入学してしまえば寮費まで搾取されることになり、さらに今度は同郷の留学生からも搾取される留学生がいるということだ。
    週に28時間という一線を越えて働いても一向に収入が増えず、疲れ果て、留学生活からドロップアウトすることになれば、残された道は「帰国」か「失踪」だ。

    週28時間という規定を守っていたのでは生活ができない。オーバーワークが見つかれば強制送還も免れないが、バイト先を2つ3つと掛け持ちして規定の倍近く働いていることを告白してくれた留学生も一人や二人ではない。

    一方では、留学生の本分は勉強することであり、アルバイトをすることではないという意見もある。確かに正論だろう。だが、強制送還を覚悟でオーバーワークしている留学生たちが日本の労働力不足を支えているのも事実である。

    多くの人にとって実際には今でも想像しづらいことかもしれないが、上司がアメリカ人やフランス人になってビックリという時代はとうに終わり、これからはネパール人やベトナム人が上司になっても全く不思議ではない。日本は既にそんな時代に突入しているのである。

    制度やシステムの歪みを矯正するためには、国立の日本語学校を作るのが無理だとしても、日本語学校を包括的に管理する機関を設置するか、公立の日本語学校を設立して地域ぐるみで問題を解決していくしかないのではないだろうか。
    しかし、現在、日本中を探しても公立の日本語学校は一校しかない。北海道・東川町が町ぐるみで運営する「東川日本語学校」だ。

    だが、例えば、日本語学校の学費がもっと安ければどうなるだろう。
    年間の学費が80万円として生徒が200人いれば、単純計算で年商は1億6000万円だ。200人の生徒に対し、ST比を40で計算すると教師は5人。事務など併せて10人の日本人を仮に年収500万円で雇ったとしてもせいぜい5000万円だ。残りの1億円以上はいったいどこに消えているのだろうか・・・・。

    しかし、今は彼らが日本語学校に通う理由もわかる。
    日本語学校は日本語教育機関であると同時に、彼らを留学生たらしめている機関でもあるのだ。留学ビザをもらうための最初の許可を与えるのが法務省から許可を受けた日本語学校なのだ。いくら家庭教師の方が効率よく日本語を学べても、それでは留学生として入国することはできず、アルバイトをすることもできないのである。

    いつか留学生が日本に来なくなってしまったら、その時は我々の生活が成り立たなくなる。でも、私達は、そういう状況を見て見ぬフリをしているような気がします。目の前の危機をきちんと直視できていないのではないでしょうか

    日本には今600校以上の日本語学校がある。
    それぞれのホームページを見ると、笑顔の学生たちの写真があり、夢や希望に満ちた言葉で溢れているが、留学生ビジネスの内情を知るうちに、そうした笑顔や言葉が物悲しいものに見えてくる。

    犯罪は認められないが、留学生には働き続けてほしい
    これが人手不足に悩む地方の経営者の本音なのだろう。

    日本にある日本語学校のほとんどは1年目の学費は一括で事前に納めることを求め、2年目以降の学費は分割払いが可能な制度を取っているが、学費の殆どを後払い可と謳って、実質的には単純労働者として受け入れている学校があるのは既に例を見た通りだ。
    日本語学校のホームページを見て、直接入学を申し込むパターンは稀だということを知っておきたい。

    現地の日本語学校やブローカーは、留学希望者から仲介手数料を取り、日本の日本語学校からも手数料を受け取る。

    一方、日本にある日本語学校も学生を求めている。しかし、自校のホームページで宣伝するだけでは生徒を集めるにも限度がある。現地の日本語学校やブローカーと組んで生徒を集めたほうが効率的だ。
    こうして何本ものパイプができ、ヒトとカネの循環がはじまる。

    しかし、書類を偽造までしてなぜ留学生を日本に送り込もうとするのか。
    「それは一人送り出すごとにいくらか(バックマージンが)入るからですよね」

    「実際、書類の偽造は横行しているようです」と語るのは、西日本新聞の記者・古川幸太郎氏(37)だ。
    西日本新聞は2016年12月から「新移民時代」という日本に住む外国人労働者にスポットを当てたキャンペーンを展開。一連のキャンペーンは優れた報道に贈られる「早稲田ジャーナリズム大賞」も受賞した。

    「もちろん『書類は偽造では?』と聞いてハイと答える学校はないんですが、かつて日本語学校を経営していたという人に話を聞くと、結構あからさまにやっていた、と。例えば必要書類の一つ、銀行預金残高の証明書も、自分たちで金融機関をつくって、お金を持っているように証明するわけですよ。預けるようなお金が無くても自分たちの運営だから可能なわけです。かつては役場が発行するような書類でも、勝手に役場の印鑑を作ったり、担当者の筆跡をまねたりして、書類を作っていたそうです」

    2017年3月、宮崎県群城市で日本語学校「豊栄インターナショナル日本語アカデミー」や高齢者介護施設「豊の里」」などを経営する経営者ら5人が、留学生を強制労働させた疑いで逮捕された。
    入管法違反ではなく、強制労働など労基法で日本語学校の経営者らが逮捕されたはじめてのケースだ。
    労基署によると、インドネシア人留学生6人を自らが経営する介護施設などで働かせていたという。
    経営者らは、学費が後払いで留学できると宣伝して生徒を集め、あらかじめ留学と労働が一体となった契約を結んだ上で、給料から入学金や授業料などを天引きしていた。留学生の賃金は手取りでわずか月額1万4000円程度だった。
    週に28時間という留学生の就労制限や宮崎県の最低賃金は守られていたが、契約で退学時の違約金(約36万円)も設定し、マイナンバー設定カードも預かってアルバイト先を変える自由を奪っていた。そのため、留学生はグループの施設で働かざるを得ない状況だった。
    ここまで来ると、もはや途上国の留学生を食い物にした国際貧困ビジネスとしか考えられない。

    日本語学校が人材を派遣する先は専門学校や大学に限った話ではない。留学生のアルバイト先を違法にあっせんして摘発される日本語学校も少なくない。

    専門学校や私立大学の中には、日本語学校からの入学枠を堂々と謳っている所も多い。その実態は日本語学校との何らかの癒着を示すものだろう。
    日本語学校から一定の留学生を確保できれば、受け入れ先の専門学校や大学も安定した経営ができる。大量に確保できれば大きく稼ぐことができる。
    もちろん学校経営もビジネスだ。
    経営者は利益を追求しなければならない。だが、外側から見ていると、現場の日本語教師の思いと経営側の思いはかけ離れていて、主役であるはずの留学生が搾取の対象になっているようにも感じる。

    日本語学校の不祥事は国内外のメディアでも頻繁に取り上げられている。2017年2月には一部の中国メディアに次のような記事が載った。
    「日本では悪質な日本語学校や専門学校が乱立しているので騙されないように注意しましょう」と留学生に呼びかけた内容だ。

    日本語学校に対する本格的な管理は、600校を超えた段階に入ってようやくはじまったばかりなのだ。

    日本語学校は外国人に「留学」という在留資格を付与する機関とはいえ、本来的には教育機関であるはずだ。その審査を法務省が仕切っていることにも疑問がある。逆に言えば、日本語学校の教育の質を一元的に管理できるような機関がないということだ。一旦認可されてしまえば、ごく稀に入管から審査が入る以外は、事業内容に変更がない限りはほぼ認可されたままだった点も、質の悪い日本語学校を増やしてしまった要因の一つだろう。

    ここ数年、日本語学校は30校〜50校というペースで増加し、2017年には過去最高の643校を数えた。最近は不動産会社や人材派遣会社、健康食品会社といった異業種からの参入も相次ぎ、教育機関としての質の低下も懸念されている状況だ。
    しかし、なぜこれほど日本語学校が増えているのだろうか。
    後ろ盾としてその背景にあるのは、政府が進める「留学生30万人計画」だ。
    しかし、一言で言えばうまみがあるからだろう。
    留学生ビジネスは儲かるのである。留学生からは高い学費を取り、日本語教師は使い捨てのように雇い、一部の経営者だけが甘い密を吸っている。
    法務省は2017年8月から新設校の設置基準を厳しくしたものの、対応が少し遅かったようだ。

    「ST比」というのは教員(T)一人当たりの学生(S)の数のことだ。当然、その数が少ないほどきめ細やかな教育ができるとされる。
    法務省が新しく定めた規定では、日本語学校はこのST比が2020年には40より小さくなるように求められている。しかし、2017年の段階で、中には数値が100を超すような学校もあり、600校のうち半数近くは法務省の調査の呼びかけに協力すらしていないという有り様である。
    教師一人に対し、日本語がきちんと話せない生徒100人という状況は異常だろう。まともな授業ができるとは到底考えられない。

    割高な授業料が日本語教師に還元されているわけではないようだ。

    (日本語学校教師の)非常勤だと週給で3万円に届かないことが殆どで、「年収は恐らく100万円もいかないでしょう」と言う。専任でも年収は多くて300万円程度というから想像していたよりかなり低い額だ。

    45分〜50分の授業のコマ数(1授業あたりの報酬)が1600円〜1800円。
    それで一日平均で3コマ、週に15コマ持つのがやっとですね。
    だから非常勤じゃ生活できません。

    ちなみに河合塾や駿台など大学受験用の大手予備校の学費は70万〜90万程度(通常授業に夏期・冬期講習や入学金などすべて合わせた額)なので、一般的な日本語学校の学費とほとんど変わらない。
    しかし、日本語学校の場合は、丸一日授業に費やされる予備校と違って、授業は午前中だけ、もしくは午後だけというところが多い。
    学費はかなり割高だと考えていい。

    そんな日本語学校が現在では全国に643校を数える。全国の私立大学より多い数だ。しかも2017年だけで80校、この5年で200校以上増えた。異常なハイペースである。

    科学技術分野での中国の躍進を支えているのはチャイナ・マネーによる部分も大きいが、底支えしているのは人的資産だ。中国の学生はよく勉強する。中国は日本に勝る超学歴社会なのである。

    中国で大学に進学するには、年に1回行われる「高考(ガオカオ)」という1000万人規模の統一試験の結果が全て。日本のように二次試験で一発逆転を狙うこともできず、そもそも大学ごとの試験がない。つまり、「失敗したから次で頑張ろう!」は無いのだ。中国のエリートはたった1回のテストで難関の北京大学や精華大学を目指すのである(北京大学は2017年の「アジア大学ランキング」で2位、精華大学は3位。東大はかつての1位から7位に転落、京大は11位)。
    試験の結果でその後の人生も決まってしまうため、受験生は毎年6月の試験日には極度の緊張を強いられることになるという。
    あまりにも過酷な受験戦争は現代の科挙とも言われるそうだ。
    そこにゆとりや自由はない。
    「大学に入ってからも競争は続きます。まあ、中国人はたくさんいるからいつでも競争。これは仕方ない。だから日本の大学の自由な雰囲気がすごくいい。のんびりした雰囲気に憧れる中国人が多いです」
    皮肉にも聞こえてしまうが、日本の大学が自由というのは表向きの答えではなかったようだ。
    中国の大学は、今でも毛沢東思想概論やマルクス主義が必須科目に指定されており、それを無駄と考える留学派も多いのだという。また教授が絶対で、高校時代と変わらぬ詰め込み教育に反発する学生も少なくない。「軍訓」と呼ばれる軍隊訓練も不人気だ。そういった中国の大学の風潮を嫌う準エリートが自由な校風の海外の大学を目指すという側面もあるらしい。
    「でも、留学を目指す人たちでもトップクラスはハーバードとかアメリカの大学に行きますね。日本に来る留学生は北京大学もハーバードも受からない人」
    東大、京大に受かるような優秀な学生でも中国本土の超エリート集団の中では目立たない存在ということなのだろう。

    いつまでも中国をパクリとニセモノの国と思っている人は認識を改めた方がいい。

    新宿や高田馬場には、日本人には殆ど知られていないこうした中国人専用の予備校が十数校ある。

    日本人学生だけを相手にしていては学校経営が厳しくなるばかりの大学全入時代において、日本経済大学は留学生に特化した経営に舵を切った。今後、こうした経営スタイルが増えていくのかもしれない。

    (渋谷のスクランブル交差点が)なぜ人が多いのかと言えば、渋谷駅前の交差点は世界一忙しい交差点として海外にも知られているそうで、外国人観光客に人気のスポットになっているからだ。
    「だって1日で50万人もこの交差点を使うんでしょう?1回の信号で3000人?それだけの人が渡るのに交通事故も無いし、誰もぶつからないなんてすごいことだよ!すごく日本らしい場所だと思う」ということらしい。

    現時点でわかっていることは「コンビニの外国人の働き方が多様化する」ということだけだ。

    労働力を呼んだら、来たのは人間であった
    マックス・フリッシュというスイスの小説家の言葉

    一般的な会話の中で使われる「移民」のイメージは「経済水準の低い国から高い国へ入国して生活している人たち」を指すことが多いが、国連などの国際機関では、1年以上外国で暮らす人は全て「移民」に該当すると解釈している。つまり、国連などの定義に照らせば、イチローも「移民」であり、日本に住んでいる約247万人という在留外国人はほぼ「移民」である。

    外国人労働者の問題に詳しい日本国際交流センター執行理事・毛受敏浩氏は、著書『限界国家 人口減少で日本が迫られる最終選択』(朝日新書)の中で、その報告書について「外国人労働者政策の抜本的な転換を求める意味で画期的なものだった」としながらも、「移民」の定義については「世界的に見ても例のない奇妙な」ものだと述べている。
    その定義とは、「『移民』とは、入国の時点でいわゆる永住権を有する者であり、就労目的の在留資格による受入れは『移民』には当たらない」というものだ。

    つまり、入国の時点で永住権を持っていなければ、正規の労働資格を得て10年以上日本に滞在し、国税や年金保険料を欠かさず納め、最終的に永住権を獲得したような外国人でも「移民」ではないのである。

    政府は基本的に外国人を積極的に受け入れようとしていることがわかる。しかし、繰り返すが、「移民」の受け入れは認めてはいない。日本は世界第5位の移民受け入れ国という報告がある一方で、政府は「移民ネグレクト」とも言うべき対応を続けている。

    政府の方針をわかりやすく言えば、「移民」は断じて認めないが外国人が日本に住んで働くのはOK、むしろ積極的に人手不足を補っていきたい、ということだ。

    外国人の流入者数を見れば、既に2014年の時点で、経済協力開発機構(OECD)に加盟する34カ国(当時)のうち日本は世界第5位の「移民流入国」だという報告もある。

    あまり人目に触れていないだけで、日本は既に外国人の労働力抜きには成り立たない経済構造になっているのだ。日本人の生活は、既に外国人労働者にすっかり依存している状況なのである。

    コンビニでよく見かけるような外国人スタッフは全国で約4万人いるが、それでも128万人という全体から見ればほんの一部に過ぎない。

    日本語が上達し、他の職種が選べるようになれば、殆どの留学生がコンビニを辞めていく。このあたりの感覚は、コンビニで働きたがらない日本人大学生とあまり変わらないだろう。

    世界的に見ればこの「週に28時間まで」という規定はかなり緩い方だ。アメリカやイギリスなどは「学生ビザ」でのアルバイトは原則禁止、カナダやフランスでは留学生のアルバイトは認められているが20時間程度まで。韓国では日本語学校などの留学生は就学後半年以上経ってからという決まりがある。

    全国のコンビニで働く外国人は大手三社だけで2017年に4万人を超えた。全国平均で見るとスタッフ20人のうち1人は外国人という数字である。

    2025/01/03(金)記述

  • コンビニで働く外国人が増えた経緯、日本、そして日本ブームが来ているというネパールやベトナムの現状を体系的に学べる本です。

    インバウンドといった観光にも絡めた話が面白かった。

    これから伸びてくるであろうアジア圏の人々の状況、想いも垣間見えます。

  • 日本で働く外国人の数が増えてきている現状を紹介した本。


    日本は移民を受け入れない方針だが、単純労働力として外国人を使い倒すための市場の仕組みが出来上がっているという話。


    外国で仲介業者が「日本で働くともうかるよ」と釣り、日本語学校に人を紹介し、釣られた人は日本語学校で勉強しながら安い賃金でバイトし、それを日本語学校や仲介業者に払うという構図になっている。


    今はもう日本より別の国向けの釣りがもうかるとされているよう。


    著者はこの現状を憂いつつも、今後日本に人がほとんどいなくなる将来、外国人と共存しながら生きていくのが現実なのではと考えている。



    日本でサラリーマンやってると「搾取されて死ぬだけの人生ってどうよ」と思うものだが、日本のほとんどの企業はブラック企業なので、日本以外の国で働くのがもっとも現実的だという理性的な結論しか見えてこない。

  • ◆マネーポストWEB(2018年6月25日 11:00)「コンビニ店員20人に1人が外国人、語学留学生にとってはステータス」
    https://www.moneypost.jp/291361

    ◆書評:城繁幸(Joe's Labo) http://jyoshige.com/archives/9187912.html

    ◆著者コラム「これからどうなる? ニッポンの外国人:世界第4位の外国人労働者受け入れ大国」(nippon.com 2018.07.31)

    ◆書評:森健(YOMIURI ONLINE 2018.8.13) https://www.yomiuri.co.jp/life/book/review/20180806-OYT8T50071.html

  • コンビニに限らず企業は真面目なので、国内の人手が不足ならば外から補って、サービスの水準を保とうとする。僕らが移民に賛成の意見を保とうが反対の意見を保とうが、現実は対応していく。せめて、見て見ぬ振りだけはしないようにしたい。

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著者プロフィール

1973(昭和48)年、沖縄県生まれ。茨城県育ち。横浜国立大学経済学部卒。ライター、編集者、構成作家。NHK国際放送の番組制作にも携わる。日本在住の外国人の問題から、がんの最新治療法まで取材範囲は広い。著書に、外国人留学生の実態に迫ったルポ『コンビニ外国人』(新潮新書)、共著に『本の時間を届けます』(洋泉社)などがある。多文化社会研究会所属。

「2019年 『となりの外国人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

芹澤健介の作品

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