睡眠こそ最強の解決策である [Kindle]

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  • 原題はWHY WE SLEEP。睡眠がいかに大切なのかを丁寧に解説する。健康的な食事よりも、運動よりも、睡眠が大事

    ●感想
     「寿命を延ばす画期的な方法がついに開発された。しかも、効果は長生きだけではない。記憶力と創造性も向上する。外見も魅力的になる。余計な食欲がなくなり、スリムな身体を維持することもできる。ガンや認知症とも無縁になれる。」 
     睡眠は何よりも大事。筋トレよりも前に睡眠。健康的な食事を摂る前にまずは睡眠。その知見を膨大なエビデンスと共に紹介してくれる本書。20代前半で、この知見を得られたのは大きな価値だろう。何より、睡眠を大切にするのに、さほどお金はかからない。必要なのは知識と心がけである。睡眠を中心に生活をデザインすることが、睡眠を大切にする何よりの方法である。そこに、高価な器具や健康食品は必要ない。睡眠がうまく取れれば、仕事にも日常生活にも高いエネルギーをもって挑めるので、パフォーマンスもあがるのだ。

    ●本書を読みながら気になった記述・コト
    ■睡眠が足りないと空腹を感じるホルモンが大量に分泌され、逆に満腹を感じるホルモンは少なくなるからだ。その結果、十分に食べても食欲が消えず、際限なく食べてたくなってしまう

    ■夢には、つらい記憶をやわらげたり、過去と現在の知識を融合させて創造性を刺激したりする働きがある

    ■食事、運動、睡眠のうち、健康のためにもっとも大切なのは、睡眠であることがわかってきた。きちんと眠れなかった1日と、不健康な食事をした1日、運動不足の1日を比べると、もっとも悪影響が大きいのはきちんと眠れなかった1日だ

    ■40%の人は朝型人間で、彼らは覚醒のピークが午前中に来る。一方、反対に覚醒のピークが遅くなる人たちは人口の30%。その中間が、人口の30%だ。なぜこの眠くなる時間帯がバラバラなのかというと、生存確率を上げるためである。敵の襲来に気づける時間帯を増やすために、群れの中でも眠くなる時間帯がバラバラになっているのである


    ■睡眠と覚醒を決める要素は2つある。1つは1日の概日リズム。2つ目の要素が、睡眠圧だ。常に脳内ではアデノシンと呼ばれる化学物質が増えている。アデノシンは常に増加していき、この増加によって眠りたい欲が高まる。
     →昼寝をすると、アデノシンが減少する。夜や夕方に昼寝をすると、アデノシンが減るため、寝つきづらくなる

    ■カフェインには半減期がある。カフェインが切れた瞬間に、眠たくなる。カフェインが体内にあっても、アデノシンの蓄積は続く。カフェインが切れた瞬間に、急激に眠気を感じることを、カフェインクラッシュという

    ■概日リズムによる覚醒・睡眠のピークが決まっている。午前5時や6時がもっとも眠いが、その時間を超えると、覚醒してくる

    ■朝起きてから、午前10時や午前11時ぐらいに眠気を感じるのであれば、睡眠不足である可能性が高い

    ■深いノンレム睡眠の一番大切な機能は、もういらなくなったニューロンのつながりを削除することだ。対照的に、夢を見るレム睡眠は、ニューロンのつながりを強化する役割を果たしている

    ■ノンレム氏睡眠時の脳は、他に類を見ない極めて高度なニューロンの連携活動を行っている。無数の脳細胞が一体となり、見事なユニゾンで発火を繰り返している

    ■レム睡眠が増えたおかげで、脳は急速に複雑化し、つながりを増やすことができた。ヒト科よりもレム睡眠が長い種族は存在するが、睡眠全体で見れば、ヒト科のレム市民の長さは突出している。

    ■EQの高さは、日々十分なレム睡眠をとっているかどうかで決まる

    ■レム睡眠の間に起こる記憶の衝突から、創造性の火花が生まれる

    ■レム睡眠は一歩引いて視野を広げ、答えのようなものを導き出すこともできる。つまり、バラバラの情報を個別に理解するだけでなく、情報全体が意味することも理解できるのだ。そして目を覚ますと、昨日までの難問の解決策が見つかり、革新的なアイデアが思いついたりするのだ

    ■アルコールは、現在分かっているかぎり、もっとも手強いレム睡眠の敵だ

    ■つまり思春期の間は、後頭部は大人だが、前頭葉は子どものままだということだ ...合理性を司る前頭葉は、脳の中で大人になるのがいちばん遅いからだ。もちろん、脳の成熟を促す要素は睡眠だけではないが、大人の理性を身に着ける上で重要な役割を果たしていることは間違いなさそうだ....統合失調症を発症するリスクの高い若者と、すでに発症した若者を観察したところ、ノンレム睡眠の長さが通常の2分の1から3分の1しかなかった

    ■思春期の夜更かし、朝寝坊は当然のこと
    ・小さな子供は、概日リズムのスケジュールが大人よりも早い。大人よりも早く眠くなり、大人よりも早く目が覚める
    ・10代の子どもにとって、夜の10時に寝るというのは、あなたにとって夜の7時か8時に寝るのと同じことなのだ。だから、あなた

    ■寿命を延ばすための正規の大発見
    ・それは、十分な睡眠時間を確保することである。睡眠こそが万能薬である。
    ・十分な睡眠には腸を健康にする力もあることが分かった。睡眠には神経を休める効果があり、とくに「戦うか、逃げるか」のストレス反応が静まることで、腸内細菌が元気になるのだ

    ■何か音を聞きながら眠ると、睡眠効率が上がる
    音を聞きながら眠った人は、記憶力が上がっている

    ■適度な揺れが睡眠に良い影響を及ぼすらしい
     赤ちゃんを優しく揺すりながら寝かしつけるという昔ながらの方法は正しかったということだ

    ■睡眠が記憶を定着させる
     睡眠は私たちが思っているよりもずっと賢いということだ。つい最近まで、睡眠の役割は新しい情報をすべて保存することだと思われていたが、むしろ覚えるべきことを巧みに選別していたのである。この睡眠による賢い選別は、今ではたくさんの研究によって証明されている

    ■運転中に眠くなったら、絶対に車を止めるべし

    ■6時間以下の睡眠で本来のパフォーマンスができる人はゼロに等しい
    ・レム睡眠が洞察力を養っている。レム睡眠が不足すると、感情が妨げられる

    ■睡眠不足と、ドラッグやアルコール依存の間位に大きな関係がある

    ■睡眠中に脳内の汚物を排出している

    ■若いころから慢性的に睡眠不足の人は、アルツハイマー病のリスクが飛躍的に高くなる

    ■睡眠不足によって血圧が上がる
     睡眠不足になると、交感神経の働きが活発になる。そうなると、コルチゾールと呼ばれるストレスホルモンが増加する。交感神経系の過活動が

    ■寝不足の男性は、十分に寝ている男性に比べ、睾丸のサイズが小さい
    ・先進国の慢性的な睡眠不足が、不妊の原因になっているのではないか

    ■レム睡眠が恐怖の体験から当人を癒す
    ・レム睡眠がしているのは、セラピーだけではない。記憶の本体から、悲しみや恐怖、怒りといった感情だけをはぎとるという離れ業も行っている。そのおかげで、大きな出来事の経験から学び、なおかつそれに伴うネガティブな感情忘れることができるのだ

    ■交換神経の過活動によって、寝つきづらくなっている
    ・横になったとたんに、今日の出来事や、明日やるべきことが次々と頭に浮かび、後悔したり、心配したりしている。ときには遠い未来のことまで気に病んでいる。この状態で、睡眠の穏やかな脳波を出し、一晩ぐっすり眠れるわけがない
    ・感情と記憶のプログラムがずっと処理中で、いくら目を閉じてもスリープモードに入れない。交感神経の「戦うか、逃げるか」反応と、感情、記憶、注意を司る脳の3つの部位の間には、直接的なつながりがある

    ■動物は眠らないと、自身が抱えるバクテリアや病原菌によって死ぬ

    ■寝る前のブルーライトが睡眠の効率を下げる。メラトニンの分泌を20%以上抑える

    ■頭、手、足の温度を下げると寝つきやすくなる
    ・寝る前に水で顔や足を洗うのは、生理学的に見ても理にかなった習慣である

  • 名著。この本を読むと、睡眠というのがいかに私たちの生命において最重要項目であるかを痛感する。ある種、ショック療法的にかなり激しい事実を突きつけられるが、ここまで睡眠の重要性を深く知れる書籍はなかなかない。読めて非常に良かったし、日々のパフォーマンスを最大限に生かすためにも、睡眠時間をしっかりと確保していきたい。

  • 睡眠の質を高めたいなー、と思って読み始めた。様々な実験データを提示しながら、凄まじいくらいに睡眠の重要性を説いてくる。そのため説得力があり、読んだからには睡眠習慣を改めなければという、もはや脅迫観念が湧いてきた。
    実際に何をしたらいいか、何をすべきでないかも書いてある。他の本でも見る内容ではあるが、根拠がしっかり提示されるので、やってみよう!という気にしてもらえた。
    少し長いので、気になる箇所をかいつまんで読むのもオススメ。

  • 起きてる場合じゃない!
    早く眠らなくっちゃ!

    寝室を整え、シルクの服に着替えて、質の良い眠りを
    実行したくなる

    眠らないことが、どれだけ、脳のストレスを減らせず
    心身共に弱らせてしまうのか

    すでに実感しているだけに
    苦しまない未来のために
    7時間は睡眠をとりたい

    4回に分けて速読したので
    再度熟読必要

  • 自分が入眠障害を持っており、それに対抗すべく睡眠に関して知識をつけるために購入。中身の概要としては、こうすれば寝つきが良くなります!といったものではなく、睡眠を適切にとることで得られるメリットや反対に睡眠不足によって生じるデメリット等が書かれており、睡眠とは?という疑問に答える内容であった。
    例えば、レム睡眠やノンレム睡眠と言った単語は聞いたことはあったが、その役割は?と言われたら以前は答えられなかっただろう。しかし、読了後はレム睡眠は覚醒時より脳がよく働き、覚醒時に得た情報を整理している。ノンレム睡眠はそこで整理した情報を脳全体に通達する役割を持つ、といったように答えられるようになった。
    睡眠のメリットは凄まじく基本的に任意の身体能力向上や健康に繋がり、昼間の仕事や学業の効率も向上し、睡眠を適切にとるだけで人生サイコーみたいな状態になる。反対に睡眠不足になると、集中力低下を始めとして健康状態の悪化、しまいにはガンや心臓病、肥満の発症率もぐんっと上がってしまう。人生の8時間を疎かにすることで人生の16時間も捨てゲーする羽目になる。

    最後に、この本を読めば毎日7時間の睡眠は取ろうと思えるだろう。私も睡眠に対する態度が大きく変わった。睡眠に関して知りたければ読んで欲しい。

  • 他の実用書、ビジネス書でよく参照される書籍でもあったことで、読んでみたかった1冊。
    読了して思ったのは、もっと早く読んでおきたかったの一言。

    眠りについて、そこまで深く考えて過ごしてなかったことも痛感させられた内容があったり(睡眠負債は、寝だめで回復するものではなく一生蓄積されていくこと)、人類の歴史では、過去は工業化社会で通常となった単相睡眠(1日に1回眠ること)ではなく、二相睡眠(昼寝を含む)だったこと、夢について、記憶と睡眠の関係性(眠ることによる記憶の定着)など、多岐にわたる。
    そして自分自身の人生さえも睡眠を通して振り返ることが出来ることが、何よりの発見だった。

    眠らずに頑張る、徹夜での勉強などフィクションで描かれる風景さえ、全くもって真似することではないことも、本書を一通り読んでみると覆されることだろう。

    後は、本書を通してどこまで今後の生活に取り入れることが出来るか。
    睡眠と悪癖ともいえる習慣(寝る前のアルコール摂取やスマホを見ないetc)を止めることが出来るか。
    人生の3分の1が睡眠時間に費やされる意味は、本当に大事だと考えることが出来た1冊だった。

  • 睡眠は全ての健康の土台。分かってたようで認識していなかった睡眠の重要さを教えてくれる一冊。
    全ての病気の根源は寝不足の可能性もある。日々の睡眠を大切にしていきたい。それが健康と生産性を高める万能薬だ。
    そのために同じ時間に寝て、同じ時間に起きることは意識していきたい。まずは6時間以上寝る。

  • ・コーヒーのカフェインの効果は思っているより長い時間残る。
     → 夜更かしを避けるために、13時以降にコーヒーを飲むのはやめようと思う。

    ●健やかな眠りのための12のアドバイス
    (1) いつも同じ時間に寝て、同じ時間に起きる。
    ・睡眠パターンがコロコロ変わると適応するのに苦労する。
    ・週末に寝だめをしても、平日の睡眠不足の埋め合わせにはならない。それに月曜の朝に起きられなくなるという弊害もある。寝る時間にもアラームが鳴るようにする。
    ・このアドバイスが一番重要。

    (2) 夜寝る前に運動してはいけない。
    ・運動は寝る2時間前か3時間前に終わらせること。

    (3) カフェインとニコチンを接種しない。
    ・午後の遅い時間にコーヒーを飲むと、夜になかなか寝付けなくなる。

    (4) 寝る前にアルコールを摂取しない。
    ・レム睡眠が失われ、眠りも浅くなる。

    (5) 夜の遅い時間に大量の飲食をしない。
    ・夜遅くに沢山食べると消化不良を起こし、熟睡の妨げになる。

    (6) 可能なら、睡眠を妨げるようjな薬を飲まない。
    ・市販の風邪薬、アレルギー薬には睡眠を妨げる成分が入っていることもある。

    (7) 午後3時を過ぎたら、昼寝をしない。
    ・午後の遅い時間に寝るとよるに眠れなくなる。

    (8) 寝る前にリラックスする。
    寝る直前までスケジュールを詰め込みすぎないこと。リラックスできる寝る前の習慣を作る。

    (9) 寝る前にお風呂に入る。
    中核温

    (10) 寝室を暗くする。寝室を涼しくする、デジタル機器を持ち込まない。

    (11) 日中に太陽の光を浴びる。
    ・毎日、最低でも30分は日光を浴びる。

    (12) 眠れないままずっと布団の中にいない
    ・20分以上眠れなかったら、または寝付けなくてイライラしたら、布団から出て眠くなるまで何かリラックスできる活動をする。

    要約(英語):
    https://tylerdevries.com/book-summaries/why-we-sleep/

  • やりたいことが沢山あり、犠牲にしてきたのが睡眠時間。
    しかし日中に強い眠気を感じることもあり、「睡眠を改善しなければ」と思っていたところ、参考になりそうな本が話題になっていたので、読むことにしました。

    本書は大きく、4つのパートに分かれています。

    PART1は、眠りとは何か?
    レム睡眠とノンレム睡眠については、「なんとなく」違いをわかっているつもりでしたが、本書を読んで理解を深めることができました。

    PART2は、なぜ眠りが重要なのか?
    睡眠不足と心血管疾患、糖尿病、ガン等との関係を読んで、睡眠が足りないことが恐ろしいことであると、思うようになりました。

    PART3は、夢について。
    調査・分析の難しい夢について、かなり研究が進んできていることに、驚きました。

    PART4は、睡眠とどう向き合うべきか?
    アルコールは睡眠に対してマイナス効果である、さらには記憶力にも悪影響を及ぼす。
    そして睡眠薬は、アルコール並みかそれ以上に、体に悪い影響を与えるという部分が、特に印象に残りました。

    これまで何冊か、睡眠に関する本を読んできましたが、睡眠不足による悪影響について多くのページ数を割いていることが、本書の特徴と感じました。
    本書を読み終えて、いえ、読んでいる途中から、「睡眠時間を長くしよう」と、寝る時間を見直しました。

    自分で出来る身近な健康管理、その中でも特に大切なこととして、睡眠と向き合う。
    この本を読んだことを契機に、睡眠に対する意識を切り替えたいと思います。

    睡眠に関する本;
    『スタンフォード式 最高の睡眠』
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/B06XC5BZ4Q
     .

  • 長かった~~!!
    ちびちび読み進めていたら読み終わるまでに数ヶ月かかってしまった。10時間くらい読んでいたような気がする。
    しかし、かかった時間に見合う収穫はあった。

    とにかく、滾々と「睡眠を取らないとこんな悪いことが起きますよ」という内容を語り続けている本。
    しかしそれが具体的でわかりやすく、しっかりと根拠を示しながら綴られているので、興味を持って最後まで読み続けることができた。
    途中で「そこまで繰り返し言わなくても、睡眠を取らないとダメなことはもうわかったよ……」という気分になるものの、ついつい読み進めてしまう引力がある。
    とにかく事例の豊富さがすごい。似たような内容に見えて全然そうでない内容をこのボリュームで語り続けている。それが面白い。

    逆に、具体的な睡眠改善のために割いている文章量はかなり少ない。
    睡眠の悪影響を語る間でちょこちょこ挟まってくるのと、巻末にまとまっているので終わり。
    しかしそのくらいがちょうどいいのかもしれない。
    「睡眠を取らなければならない」と思わせることこそがこの本の一番の目的で、最も大切なことなのだろうから。

    しかしまあ、この胡散臭い表紙はどうにかならなかったものか。このほうが売れるんだろうけど……。
    怪しい表紙に反して内容は堅実。ほんとだよ。

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