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Amazon.co.jp ・電子書籍 (243ページ)
感想・レビュー・書評
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まず、言いたいのは文庫の帯にこそっと書かれている「落ちこぼれ女子たちが奇跡を起こす物語」という煽り文句。これは全くのデタラメだと。
むしろ、奇跡なんて大層なものがなくとも、それでも必死に生きていくような懸命さがこの小説の屋台骨なのではないかと思った。
基本的に同じ学園を舞台として、各章ごとに語り部(主人公)が異なるストーリーとなっている。
それぞれ、非常に重たい悩みを抱えた女の子たちが、その悲惨な現実と打ちひしがれた人間の心境を吐露してくれている。どんな悩みなのか想像しながら読み進めるのも面白い。
語り部が違えば、当然に話の内容が違い、コンセプトもまた違っている。
一貫して純文学のような印象を受けたが、大衆文学らしく微笑ましいストーリーもあった。
冒頭にも言ったが、それぞれ持つ深く思い悩みが奇跡が起きてサクッと解決し、最後には皆んなでハッピーなんていう荒唐無稽で夢みたいなストーリーでは断じて無い。
一朝一夕にはどうにもできない中でも、まずは自分自身がその悩みのタネを見つめ、向き合うことから始めている。その手助けをするのが、人生経験の豊富な理事長先生なのである。
各人の悩みは、安易に共感できるほど浅いものではない(いや、中には浅いものもあったか……?)が、自分に当てはまり、ハッとさせられる部分がいくつもあった。
悩みの重さのことを強調してしまったが、決して心が沈んで暗くなるような作品ではないので、そこは安心して欲しい。
むしろ、ひたむきさ真剣さに励まされることと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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加納朋子の作品
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