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感想・レビュー・書評
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噂通りほのぼの絵柄なのにクズばかり出てくる。とは言えみな完全な悪人ではなく誰しもが持つ刹那的なところを誇張したに過ぎないので笑って済ませららなかったり。
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Twitterで話題になってたので読んだら、うっかり読破。おもしろかった。コロナ騒動の最中にある2020年の5月、この「正しくない」作品が世に知られてバズったのは、正しさばかりが問われる世相と無関係ではない気がする。
ほのぼのした絵柄と内容のエグさのギャップがクセになるし、ショートショート的な話の展開のうまさがある。読ませ続ける力がすごい。90年代中頃に連載されていたらしく、90年代サブカルの空気を吸った作品なのかもしれない。O.L.H. aka 面影ラッキーホールの全曲を繋げて煮詰めたら、このマンガになりそう。初期の大人計画のようでもある。
ごくたまに人情噺な章がある。この章も人情噺かもな。と思わせてページをめくればアラびっくり。ローリング・ストーンという言葉が思い浮かんだ。人がこんなに転がり続けることは難しい。借金取りがいるからこそ、転がる石は転がり続ける。物語は終わらない。
登場人物を自分とは全く違うクズ!と切り捨てる気持ちにはならない。むしろ、登場人物に自分の暗い影を見てしまう。自分の中の道徳や倫理が金銭欲や衝動や怠惰さに負けてしまうこと、実行に移すまでは行かなくても、思ってしまうことくらいはあるだろう。立ち直ろうとする気持ちも、夫婦愛も、子を思う気持ちも嘘じゃないと思った。
幾人かの登場人物は、依存症だの障害だの症候群だのといった病名を付けることが可能かもしれない。しかしその可能性に触れる部分はごくわずかで、病ではなく、業として描いているのが良かった。人間の弱さを描いているのが良かった。
時節柄、「あれだけパチンコの後は手を洗えと」にうなった。オチも良かった。この先もきっと転がり続けるのだろう。