私の恋人(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 陽平が死んだ辺り(終盤)から作者の思想の押し付け感が鬱陶しくてやめた。

  • 「あれは私が一人目のクロマニョン人だった頃のことだ。」、そんな書き出しが存在するこの物語で、まさかこんなに感動するとは思わなかった。

    十万年越しの純度で想う、諦めを知らない、たまらなく可愛い、私(たち)の恋人。

    これだけ突拍子もない舞台において、一度も破綻しない圧巻のストーリー。最高にロマンチック。だけど無性に切なくて悲しい。

    ふいに泣きたくなるような気持ちにさせられてしまっても、次の瞬間にはまた期待出来る、そんなラストまで夢中で読んだ。この作者の作品は次も必ず読みたい。

  • 一人目は恐るべき正確さで世界の未来図を洞窟の壁に刻んだクロマニョン人。二人目は大戦中、収容所で絶命したユダヤ人。いずれも理想の女性を胸に描きつつ34年で終えた生を引き継いで、平成日本を生きる三人目の私、井上由祐は35歳を過ぎた今、美貌のキャロライン・ホプキンスに出会う。この女が愛おしい私の恋人なのだろうか。10万年の時空を超えて動き出す空前の恋物語。三島賞受賞作。

  • 三島賞受賞作。転生の記憶がある主人公が、前世の記憶で思い描いた女性に会い、その生い立ちに惹かれる。私の恋人を通して人間の歴史を語る小説。

  • 10万年前のクロマニヨン人、ホロコーストで殺されるユダヤ人、そして平成の日本を生きる井上由佑。生まれ変わって行くが、すべて過去の記憶を持ち、「私の恋人」と言うヴィジョンを共有している。そして、ついに「私の恋人」ではないかとあたりをつけたオーストラリア人女性キャロライン・ホプキンスは、井上由佑の同級生の兄に大きな影響を受けていた。人類が三週目の旅に出るというヴィジョンに激しく共感して。「ニムロッド」「私の恋人」「キュー」と読み進めると、転生と個のなくなった全人類の融合、というイメージは繰り返し語られていることに気づく。しかし「来世から本気出そう」てすごいフレーズだなあ。そして、キャロラインの「自分の都合で問題意識を棚上げしているわけではなく、日常的に人類を俯瞰するような物言いをしながらも、わがままな個人として振る舞う」姿勢も清々しい。出だしが少し観念的にすぎて読み進めるのが辛かったけど、通読すると、日常のミクロな出来事が些事に思えるほどのスケールの大きさ。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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