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感想・レビュー・書評
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絵が綺麗で引き込まれる。
闇が濃い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「この街は、世界中から文化が集まり、この街で花ひらく。”長安の春”と言われて久しい――。しかし、それももうすぐ終わる!」「虚妄である。世はうつろい行く。永遠のものなどないのだ。密教の真理(ダルマ)を除いて。しかしこの国で、その密教の立場も危ういのだよ。」「腹に持った種子が重いかね。そうだろう、我(あ)が置いたものだ。密教の種子であるそれを安全な場所へ持って出て欲しい。」「青龍寺(ここ)は義操に任せる。お前さんには安住の地にその種子を植え、育て、花を咲かせて欲しいのだ。持って逃げて欲しいというに近い。」「心せよ、空海。真理(ダルマ)は変わらず、存在し続ける。しかしそれを断つものは、常に生きている人間だ。権力争い、戦争による侵略、国の方針転換……残念ながら密教はそれに巻き込まれてしまう。我々人間にできることと言えば、途中で真理を殺すことなく、後の世代に引き渡すことくらいだ。けれどそれが難しい……」「人たらしである空海よ。人事の網の目を抜けよ! 人に依らず、人に惑わされず、種子を守ってくれ。」「して、その地は、天竺ではなく、日本だというのだな。」
「日本は果ての国……四方を海に囲まれ、さらに山に守られた奥の里が多くある、不可侵の地である。こもりく――隠国(こもりく)、山々という花弁に包まれ隠された場所。蓮の花のように。豊かで清浄な水、神木の伸ばす根に、あらゆるものが飲み込まれる。しかしそれは「死」ではない。再生だ。其(そ)を畏れ、祈る心――古(はじまり)より日本の地には、神々の目が……芽が……張り巡らされているのだ。
その豊穣の地に、この密教の種子を植えようと思う。地はゆりかごのように種子を包むだろう。神々が受け入れ、花ひらく様を見守ってくれるはずだ。」
「火だ。ゾロアスター教は火を拝む。この世は、善と悪の戦いの場である。火は善の神、アウラ・マツダの象徴である。火は全てを照らし、包み、人を惹きつける。気持ちを集中させ引き上げる。」「日本に戻ると聞いたが、密教を持って出るのか?」「そうか。羨ましい。ゾロアスター教も、迫害の手が伸びているのだ。華やかに見えるのも永遠ではない。生き延びさせねばならないのだ。」 -
来るはずのない船が来た。空海にとって最大のチャンス。想いの強さは天さえも動かすのか。「火は全てを照らし、包み、人を惹きつける。気持ちを集中させ引き上げる。」拝火教の異名を持つゾロアスター教の教徒から得た知識は空海の中に熾火のようにくすぶっていたのか。「迷いは無明から来る…であるから火を灯せ!心を照らし行く道を示すだろう」ますます目が離せない阿吽。和国で再開を果たした逸勢と、最澄殿のもとに届いた経典一覧。はてさてどうなる空海の運命。
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