七人のイヴ Ⅱ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) [Kindle]

  • 早川書房 (2018年7月25日発売)
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  • 小惑星をくっつけたISSは人類の最後の砦。各国から名目上の抽選で選ばれた若者たちが訓練ののち避難するノアの方舟。ハード・レインでオレンジ色になるまで高温化した地球を眼下に未来に向かって準備していく。正気を保てるか普通?そこに、元米国大統領が協定も何もかも破り捨て単独で打ち上がってくる。国民を全て見捨ててやってくるかね?そのくらいの人だから当然いろいろと問題を巻き起こすのです。
    カタストロフは政治的色合いを帯びてきます。行為の目的自体は愚かしいわけでもないのですが、そのやり方が最近見たばかりの大統領ににていて乱暴かつ下品。ここはハインラ
    インのようには描かないのだなとは思いつつも、現実世界でもそういう人を見たばかりだからなお恐ろしい。

    ハードレインを生き延びた1500人ほどの生き残りは政治的に分裂しながら、さまざまな試練によって人数を減らしていきます。もはや死にたくない一心で何でもする人類です。この状況になっても諦めない人々。諦めない理由はやはり知恵とスキルからくる自信か。世の中が単純に良くなる訳ではないけどやっぱり知恵とスキルは大事だな。

  • 第2巻はハードレインが起こってからクレスト到達と「七人のイヴ」に至るまで。第1巻がISS増築を主とした描写でリアリティを起点としたのに対し、第2巻はサバイバルとパニック、そして紛争が描かれており、とても面白かった。

    彗星核を取りに行ったショーンのイミール・エクスペディションから暗号通信があり、それと同時にマルクスがイズィの権力掌握について側近と語っていて、この二勢力の争いが描かれるのかと当初考えた。
    ところがショーンは死亡し、マルクスもまた自らイミールに赴き死亡してしまう。この両者の死は放射線が原因と言うこともあって壮絶だった。また、宇宙において加速度(作中ではデルタVと表現)がいかに重要でエネルギーを使う者であるかもよく描写されていた。

    ハード・レインの描写自体はあっけないもので、のちの火星植民派もそうだけど、ダイナの父も地下に潜って生き残るかと思いきや描写はなく、あっけなく人が死んで行った。
    最後に核戦争が起きたが、群体を運用し続けられるというのはしかし不思議ではあった。

    アークレットの経済圏が不明で、それではいくらなんでも社会を維持できないだろうと思ったが、きちんと離反していった。
    元大統領ジュリアの感じは、さすがにその器量で大統領か疑わしかったが、うつ病なら仕方がないか。
    とは言え、アークレットの狭い空間で数千年生き続けるというのは明らかに難しそうで、若干設定に無理があるような感じもした。

    クレストに到達までにこうも人が死んでいくとは思わなかった。
    しかし本書のタイトルの通り、最初から七人にまで絞るつもりだったと考えると、1巻、2巻の群像劇は納得。また、二つの巻をかけて人類が滅亡寸前まで追いつめられる様、その道程を描いたことが第三巻にどうつながっていくかも楽しみ。

    クレストに着陸したISSが樹木のヨウに描写される様子はとてもよかった。

    EOF

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