現代社会はどこに向かうか-高原の見晴らしを切り開くこと (岩波新書) [Kindle]

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  • 2018年発行。1973年から2008年のアンケートで、世代の精神の軌跡、価値観の変化を基に、社会の変遷から行き先を探る。
    2016年頃の生活スタイルの変化、高原を登った後の現代人の生きる目的の項がおもしろかった。確かに、当てはまる部分は多い。
    「加速に加速を重ねてきた走行の果てに、突然目的地に到達して急停車する高速バスの乗客のように、現代人は宙を舞う。」とは辛辣。吹き飛ばされるか、何かにしがみつくのか。シートベルトは締められているか?
    最近よく口にする「富と財」。金銭ではない価値をどう扱うか。
    格差があるから、幸福が多様化して欲望や羨望になる。「欲しがりません勝つまでは」などの均一化や強制的な状況では、幸福が内面化して他人と同程度で満足させられる。
    コロナ禍でのささやかな幸福のあっけない崩壊は、誰にも平等に降り注ぐ厄災に、脆弱な層から追い打ちをかけた。
    大きく価値観が変わった今、「どこに向かうのか」をインターネット社会という「魔術」によって考えなければ、政治や社会に影響されてしまうと感じた。

  • p.2023/1/8

  • 現代社会は成長曲線の高原に位置しており、急成長の時代のような加速度的に成長する未来は見込めない。さらなる経済的かつ物質的な豊かさや精神的な満足を求めるのではなく、日々の生活にあるささやかな幸福を大切に生きたい。われわれは総じて豊かな時代に生きているのだ。

  • 実現できそうな幸福な世界
    今この時を一人一人が幸福に生きれば
    例えばそれを一年かけて一人と分け合えれば
    そうやってみんなが歓びを分け合い、緩いつながりがあちこちにでき、そのつながり同士がまた緩くつながることができれば天国がなくても幸せに生きていられる
    それはそんなに難しいことか?
    兵器を作って人を殺すことよりも難しいことか?

    ひとりひとりが真の幸せを感じたい
    政治は政治家に任せておけばいいのではなく一人一人が参加するもの
    やたら難しそうにしてしまってはダメなんだよね 

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著者プロフィール

1937年生まれ。社会学者。東京大学名誉教授。著書に『まなざしの地獄』『現代社会の理論』『自我の起原』『社会学入門』など。『定本 見田宗 介著作集』で2012年毎日出版文化賞受賞。東大の見田ゼミは常に見田信奉者で満席だった。

「2017年 『〈わたし〉と〈みんな〉の社会学 THINKING「O」014号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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