フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体 藤岡換太郎〈地球の謎解き〉シリーズ (ブルーバックス) [Kindle]

  • 講談社 (2018年8月22日発売)
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  • 日本のほぼ中央に横たわる海溝フォッサマグナ。この独特の地形がどのように出来上がったのかについて、著者が探偵よろしく挑まれています。現在のフォッサマグナを分析されることで、地球上の似た現象と比較されることで、地殻の成り立ちの理論から類推されることで、この地形がここにしかないものだということを導き出されています。そして、その独自性をもたらしているものが、とても微妙な偶然のバランスによるものであるということを書かれています。そのために火山や地震に悩まされる日本列島というものが存在することになってしまったことが分かります。
    フォッサマグナの形成が、日本列島の成立に大きな影響を与えていて、それが現在も続いていることをリアルにかんじることができます。というか、えらいところに住んでいることに不安になります。

  • フォッサマグナ、大地溝帯。単語は知ってて日本の中部にある地形、くらいの認識だったが、当たらずとも遠からず、なにやらフォッサマグナの定義は専門家の間でもいろいろあるらしい。
    著者が思う仮説を順を追って説明していくのだが、なるほど知るほどに日本列島の複雑な成り立ちがあらわになって、諸説あるのも頷ける。
    新たな知見も多く得られた。日本列島は観音開き。昔はフォッサマグナ(長野、山梨、静岡あたり)の山岳地帯は海で、日本海と太平洋はつながっていた。海溝三重点はレア地形。などなど。
    各地のジオパークも訪れてみたい。

  • 2023/7/22 Amazon より講談社夏電書2023科学・テクノロジー関連本セールにて770円でDL購入。
    2024/12/21〜12/23

    ブルーバックスでも数多くの地学関係本を書いている藤岡先生の本。日本人なら名前は聞いたことがあるであろう「フォッサマグナ」について丸々一冊。私も南北アルプスなどに良く登っているが、フォッサマグナがこんなにも謎めいた存在であったことはついぞ知らなかった。今度行く際にはこの本で仕入れた知識をもって観察してみたい。

  • ざっくりなフォッサマグナについて知れた。地質学に惹かれていった心理も

  • 世界に唯一の地形フォッサマグナ、そしてこれまた世界にひとつしかない海溝三重点。日本海の生成からフォッサマグナが生まれるまで何があったのか、謎は全ては解けてはいない。

    フォッサマグナといえば日本海から太平洋にかけて本州を横断する大地溝帯のことだが有名なのは糸魚川ー静岡構造線だろう。長野の大町から諏訪を経て甲府まで左に日本アルプス、右には八ヶ岳などの山塊に挟まれた地形は確かに地溝としてはわかりやすい。実際に糸魚川ジオパークでは糸静線が目に見える。しかし糸静線はあくまでフォッサマグナの西端であり東端は明確にはなっていない。秩父などを含む関東山地は日本アルプスや東北地方と同じ古い地層だが関東平野がフォッサマグナに含まれるかどうかがはっきりしない。フォッサマグナの底は少なくとも地下6000mで日本アルプスとの落差は1万mほどになる。大昔は日本海と太平洋は繋がっていたかもしれないというまさに大地溝帯なのだ。

    1900万年前日本は大陸にへばりついていた。その後日本海が拡大し1500万年前には日本列島は今の位置に落ち着いたと考えられている。ここからは仮設だ。プレートが沈み込むと冷えて重くなりマントルの底に沈み込む。一方高温のマントルからは地殻破って上昇するスーパーホットプルームが生まれマグマの供給源となる。このスーパーホットプルームが到達したことにより地殻は押し出されるように引き裂かれ拡大する。オラーコジンという説ではこの中心点から三方に裂け目が広がりTの字の上部は直線上に伸びる広い裂け目となり日本海を作った。下の細い裂け目がフォッサマグナとなったのだ。拡大する日本海に対しフィリピン海プレートが北上し、太平洋プレートが西進する。西日本は時計回りに、東日本は反時計回りに回転し今の日本列島の原型ができた。

    同時期、フィリピン海プレート北端の伊豆半島が本州にぶつかり一体化した。沈みきれず剥離した地殻は乗り上げ丹沢山地となる。フォッサマグナの南側の堆積は海からもたらされたわけだ。中央構造線は九州から豊橋までほぼ一直線に伸びその後諏訪に向けて北上する。そしてフォッサマグナでは一旦姿を消すが関東山地の北側から霞ヶ浦に向かってまた現れる。伊豆半島に押し上げられた形だ。

    北海道からフォッサマグナまでがのる北米プレートは東から太平洋プレートに南からはフィリピン海プレートに押され、西では西日本がのるユーラシアプレートで日本海が拡大した。房総沖海溝三重点から相模トラフ、糸静線からスーパーホットプルームの上昇点あたりまでが北米プレートの南端となる。プレートの境界に裂け目が広がり三重点を軸に北日本がねじれ、フォッサマグナが拡がったというのが本書から得たイメージだ。

    プルームから生み出された三方の亀裂と海溝三重点の対比で締めくくられるのだがひとつ疑問が残った。3つのプレートのもうひとつの三重点は本書ではあまり触れられていない。甲府盆地辺りでユーラシアプレートと北米プレートとの境界線(糸静線)とフィリピン海プレートの北端が1点で交わる。つまりフィリピン海プレートの北端にあるのが富士山だ。これは偶々なのか?地下では何が起きて起きているのだろう。

  • 何か受験勉強の際に聞いたような言葉だなという程度の印象しかない「フォッサマグナ」。実は世界でも唯一の地形であるとか、形成過程が未だ解き明かされていないとかいうことを本書で初めて知る。著者の藤岡氏は、そんなフォッサマグナの形成過程について本書で大胆に仮説を述べている。その仮説を紹介する過程で、分かっていることや分かっていないことの解説がなされるわけだが、読み終えた今でも正直ピンと来ていない。壮大な地球地質学の一部を垣間見た。

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著者プロフィール

1946年京都市生まれ。
東京大学理学系大学院修士課程修了。東京大学理学系大学院博士課程中退。理学博士。東京大学海洋研究所助手、海洋科学技術センター研究主幹。GODI研究部長、海洋研究開発機構上席研究員をへて、2012年退職。現在静岡大学客員教授。
著書に『フォッサマグナ』『三つの石で地球がわかる』いずれも講談社ブルーバックス、『深海底の地球科学』朝倉書店など多数。

「2024年 『扇状地の都 京都をつくった山・川・土』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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