ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来 [Kindle]

制作 : 柴田裕之 
  • 河出書房新社
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レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (567ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 2019/6/26読了。世界的ベストセラー『ホモ・サピエンス』の続編。読んでいると、人類の進化と併せてその恐ろしさを感じる。自らをデウスのごときに昇華させるサピエンスが今後何をしでかしていくのか?富むものと貧しいものとの間に、想像を絶する生物学的な格差をもたらすのか?我々人類がどこへ向かうのか戦慄を覚えた。

  • 本書は知の巨人が書いた、化物じみた本であり、あまりに学んだことが多くノートにまとめた要点は16ページに及んだ。

    近年はAIの出現により人間の仕事が奪われるという観点で書かれた書籍が多い。しかし、本書によれば、AIを含めたテクノロジーの進歩により奪われるのは人間そのものの存在価値である。正確には、本書では遺伝子操作、生化学操作、サイボーグ工学などを含めた総合的な視点での科学の進歩について言及している。私達は自らが信じるイデオロギーや宗教観が根本から崩されかねない危機に瀕している。

    しかも、「幸せの追求」という大義名分のもと、私達はそれらのテクノロジーの進歩を称賛し切望している。

    非死で能力を強化された超人を「医療」という体で生み出し、その技術による恩恵に預かれない「人間」という下等カーストが生まれる。

    また、膨大なデータから瞬時に答えを導き出すコンピュータにもはや人間は太刀打ちできないことを本書は事実に基づいて名言している。想像性と芸術の領域は安泰だと思っている方は是非本書を読んで欲しい。

    感情というものが空想の産物であることもまた、私達が今まさに自ら暴こうとしているのだ。もし人間がアルゴリズムでしかないのであれば、もはや生き物ですらないもの以下の存在となる。そして、データに所属すること、つまり自らの生体情報や知識をデータベースに提供することが生きる価値となると著者は言う。嘘だと思うなら、ウェアラブル端末に身を包み、必死にSNSに情報を発信している現代人を想像すれば良い。

    著者が本書に込めたメッセージは、これらの未来を防ぐために「私達はどう生きたいのか」選択する必要があるということだ。

    私は著者という知の巨人と比べてまったくの無知ではあるが、これから生きる上でこの人間の自己矛盾に注意して行動を選択していきたい。

    最後に、本書は哲学書ではなく、科学書であると述べて結びとする。

  • サピエンス全史の続編(?)ということで、利益に走ったのではないかと勝手に思って敬遠していたが、全くそんなことは無く、予想以上に深くて面白く、読み応えがあった。
    内なる単一の自己なんてものは存在しないと皆が思い、生物は有機的アルゴリズムだと考えるようになるならば、人間至上主義はデータ至上主義に取ってかわられる気がする。
    でも、必ず意思決定のための共同主観的な要素は残るので、果たしてその時に科学によるアップグレードは、一握りの価値観がより広く共有される方向と、多様性の共存を実現する方向のどちらに向くのか?

    最近流行りのSDGsとかは前者なのか後者なのか?サステイナビリティという観点でマクロでは単一の価値観を共同主観にしようという試みな気もするし、目指すゴールは後者に近い気もする。

    あと、ESG投資とかではない、旧来からの資本市場は既に限られた範囲内でのデータ至上主義になっているけれど、オルタナティブデータによる投資行動とかがもっと進むと、日常のあらゆる事象が市場の構成要素になって、その金銭的価値が人間自身を上回り、人は単なるデータ元になっていく気もする。
    信用スコアリングとかもそうだなー。信用のアルゴリズムを重視して、自身の欲求(生物の有機的アルゴリズム)を抑えるために薬とか使うのは、人間至上主義をデータ至上主義が上回っていることになるのか?タバコをやめるためにニコチンパッチを貼るのは、人間を有機的アルゴリズムの集合体として扱っていることになるのか?

    何にせよ、こういう観点がおると、ITと生物の勉強はとても面白くなりそう。

    (うーん、感想書きながら思ったけど、もう一回通して読まないと消化しきれてないなー)

  •  『サピエンス全史』で人類のこれまでを語った著者が、本書では人類の現在と未来を語る。話題の本であり、内容については随所で紹介されてると思うので感想のみ。

     知的読み物としては大変面白かった。ただ、本書で初めて知った衝撃的な事実のようなものがあるわけではない。自由民主主義と共産主義とファシズムの関係についての見方はやや目新しく感じたが、薄々思っていたことが明確に示されたという印象だった。ふむふむなるほどと読み進められた。

     将来に関する部分はあくまでも予測だが、決して荒唐無稽なSFのようなものではなく、現状すでに実現している事項の延長線上を見通すとこうなるというものだ。もちろん未来は我々自身が作っていくものだから、このまま進んで予想される未来が望ましくないと考える人が多ければ変わっていくだろう。

  • 内容をまとめるにも、うまく伝えられるかが自信がないという前提で書くと、サピエンス全史を現在から未来へ拡張したような本。筆者はあくまでドライな視点で、希望的観測によるミスリーディングを排除しながら、今後、世界で起こりうる倫理上のジレンマを描き出した。宗教が中心の時代から、自分らしく生きるという、人間中心の時代へ。さらに、人間の判断力を補うAIが人間の判断を代わりにする、ひいては支配するかもしれないという未来へ。

  • 感想を書くにもこれは広範にすぎて再確認したければ再読するか、せいぜいマーカーした部分を拾い読むしかない。とにかく今まで読んできたどんなSFより面白かったのは確か。5年ごとに「サピエンス全史」と再読し、どのように歩んでこれたかを検証できる楽しみが出来た。これがこの値段で手に入れることができる現在はそれこそが幸福だと言える。

  • 人が頭の中で処理することは全て電気信号である。その電気信号は実験により操作可能であることが立証されつつある。
    身体においても、テクノロジーの発達で今まで考え得なかった健康状態の維持や寿命の長さが実現しうる。

    これらの推論を頭に入れておかないと、10年スパンでの世の動きに飲み込まれてしまう。長い期間を念頭に置いた時、自分は何をすべきか?と立ち止まり考えさせてくれる書籍。

  • 「サピエンス全史」を書いた作者の最新作。かいつまんで書くと、上巻が人類による意味の創造と「全ての答えは神にある」とした古代から中世、そして科学の発展とともに「全ての答えは個々人の心の中にある」としたモダンへと至る過程を解き明かす。下巻では今後のこと、つまりはデータ工学、生命工学、サイボーグ工学との連携によるポストモダン的世界観、特にはデータ教による「全ての答えはデータ、AI の中にある」となるであろう人類の今後を批判的立ち位置から予測をしていくといった内容。未来予測としては今のトレンドすぎて近視眼というかちょっと冴えない感じだが、「予測を明確にすることによって、未来を変えたい」という著者の意欲を買いたい。ちょっと時間がないので、またヒマな時に詳細を書き足します。

  • サピエンス全史に続く良書。

    サピエンス全史がこれまでの歴史を振り返り、ホモ・デウスが現在から未来を見通すという作りになっています。

    これを読むと、利己的遺伝子で、DNAが自分を増やすために生物を乗り物にしてきたとの同じで、データが自身を増やすために人間を乗り物にしてきたのではないかという考えが湧いてきます。

    では、データがただ自分を増やすという本質を持っているとすると、今後どうなるのか?これまでは、データは人間がいないと増えることはできなかったのですが、ITの進歩により、必ずしも人間がいなくてもデータは増えることができます。

    これまで、人間はより多くのデータを扱えるものが力をにぎってきました。
    また、データは人間によって増えることができました。
    いわば、増えたいというデータの本質と人間は同じ目的を持って進化してきたとも言えます。

    ここで、データが増えるのに人間が必要でなくなった場合、データの増加欲求と人間の力を求める欲求に乖離が生じます。
    どのような未来が待っているのか、我々はどうしたらいいのか、考えるのに非常に面白いテーマが与えられたと思います。

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著者プロフィール

ユヴァル・ノア・ハラリ(Yuval Noah Harari)
1976年生まれのイスラエル人歴史学者。専門は世界史とマクロ・ヒストリー。
オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して博士号を取得し、エルサレムのヘブライ大学歴史学部で終身雇用教授として歴史学を教える。軍事史や中世騎士文化についての著書がある。オンライン上での無料講義も行ない、多くの受講者を獲得している。
著書『サピエンス全史』は世界的なベストセラーとなった。2015年にヘブライ語で"Homo Deus: A Brief History of Tomorrow"を出版。その翻訳書『ホモ・デウス』が2018年9月に刊行される。

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